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川崎重工業の社長解任劇 [はてな?]

川崎重工業の社長解任劇が世間を騒がせていますが、

同社が13日に公表したニュースリリース(「代表取締役の異動、役員の異動、業務執行体制の改定等について」)では、

13日開催の臨時取締役会において、長谷川聡氏ら3名を代表取締役・役付取締役から解職し、社長付きの取締役にしたこと、

要するに、

長谷川聡 氏   代表取締役  社長   →  役なしのヒラ取

高尾光俊 氏   代表取締役  副社長 → 役なしのヒラ取

廣畑昌彦 氏   常務取締役 企画本部長→役なしのヒラ取

としたことを、まず、報じています。

その上で、第190期定時株主総会招集ご通知では、長谷川聡氏ら3名を取締役候補者として挙げていたが、

上記臨時取締役会で長谷川聡氏ら3名を取締役の候補者としないことと決めたので、長谷川聡氏ら3名については株主総会では取締役選任を付議しないことにした、と(正確に)報じています。

    

役員人事などについて、取締役会が決議できるのは、

代表取締役の選任と解職(会社法362条2項3号)、

重要な使用人の選任解任

ぐらいのものです。

取締役の解任は株主総会の専決事項ですので、取締役会で、取締役を解任などできません(同法339条1項)。

取締役会で代表取締役・役付取締役から解職された長谷川聡氏ら3名は、

任期満了により取締役を退任し、川崎重工業と縁が切れるうことになるわけです。

任期途中に解任されたわけではありません。

    

にも関わらず、川崎重工業の社長解任劇の報道では、あたかも、長谷川聡社長ら3名が臨時株主総会で取締役からも解任されたかのように報じられています。

下の記事は共同通信の記事(「川崎重工が社長解任 三井造船との統合で対立」)の抜粋ですが、

他社の記事も似たり寄ったりです。

造船重機大手の川崎重工業は13日、長谷川聡社長(65)ら取締役3人を臨時取締役会で解任したと発表した。

後任社長には村山滋常務(63)が同日付で昇格した。…

長谷川氏の他に解任されたのは高尾光俊副社長(63)と広畑昌彦常務(61)。

    

 

会社法の知識のない読者の方は、長谷川聡氏ら3名は取締役会で、代表権等を剥奪されただけでなく、取締役からも解任されたと誤解されるのではないかと思ってしまう記事です。 

川崎重工業のニュースリリース(「代表取締役の異動、役員の異動、業務執行体制の改定等について」)を、正確に読み込んで記事として整理する能力が、

現場の記者は言うまでもなく、また、新聞社の編集局にもないということのなのでしょうが、

もう少しレベルアップしてもらいたいと思います。

    

    

 

(参考)

会社法

第362条

2  取締役会は、次に掲げる職務を行う。 

   代表取締役の選定及び解職

4  取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。 

   支配人その他の重要な使用人の選任及び解任 

第339条

1  役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。


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