屁の河童 [感想]
千葉大が、責任者であった小室一成元教授が所属する東京大学に対して、同元教授の処分の検討を求めるべきだとした
責任著者であるK氏についても、現在の所属期間に対して本委員会の調査結果を伝達した上で、しかるべき処分の検討を要請すべきである。
小室教授は今年6月の調査委員会の事情聴取まで、 研究グループ自らが統計解析をしており、ノバルティスファーマの白橋伸雄被告人からは助言を受けていただけ
(参考)
7.結論
主論文には「明らかな誤り」、「千葉大学病院における原資料とデータセットの照合から明らかとなったデータの不一致」、「論文とデータセットとの比較で明らかとなったデータの不一致」、そして、「統計解析方法の妥当性の問題」が存在する。したがって、主論文の結論は信頼性に著しく欠け、その科学的価値も乏しい。
本委員会は、平成26年4月25日付で取りまとめた報告書をもとに、本臨床研究についての調査結果を既に本学学長へ報告しており、その後、学長から関連論文の著者に対して平成26年5月23日付で論文の取り下げ勧告を行ったが、現時点において、「プロトコル」論文の取下げ勧告に対しては責任著者を含め8名中 6名が、「メインスタディ」である主論文に関しては責任著者を含め7名中3 名が、「サブスタディ」論文に関しては8 名中3名が勧告に同意しない意思を示している。
しかし、本年4月中旬以降、第 8 回の本委員会(6月23日開催)までに実施した主論文の執筆者らに対する事情聴取によって得られた証言を踏まえると、①「本臨床研究の一部のデータが、データを固定する前と固定後の複数回に渡ってノバルティスファーマの関係者であるS氏に提供」され、②「S氏によって中間、最終段階の統計解析が行われた可能性が高く」、③「S氏による統計解析の過程において意図的な操作が行われた可能性が否定できない」と考えられることから、本研究は臨床研究の基本的なルールから逸脱したものであると判断する。
また、本委員会が行った追加解析によって、①「本臨床研究における副次項目データの脱落率が60%~80%と異常に高く、このことがバルサルタン群、アムロジピン群の群間差の評価に大きな偏りをもたらしていることから、当該試験結果に対する科学的信頼性は低い」こと、②「これらの症例の脱落は、複数の副次項目においてバルサルタン群に有利に働き、アムロジピン群には不利に働いている傾向が見られた」こと、③「このような傾向が偶然に生じたとは考えにくく、結論をある方向に偏らせた可能性を否定できない」ことが明らかになっており、さらには、④「本臨床研究の評価委員会メンバーに、臨床データを取った担当医が含まれており、委員会としての中立性が担保されていない」こと、⑤「被験者がいずれの群に割り付けられたかを知らない第三者がイベント評価を行うというPROBE法に違反している」といった新たな問題点も明らかになったことから、各著者に対し、あらためて関連論文(3報)についての取り下げを勧告すべきであると判断した。
また、これまで、研究者個人への信用を前提として組織的な対応を行ってきたにもかかわらず、多くの患者さんや関係者の協力によって実施された臨床試験において、その信頼を裏切るような事案を生じさせた責任は重大であると結論づける。
本臨床研究には、「公表データの信頼性の問題」、「研究遂行上の手続き的な問題」が存在することから、K氏、T氏及びN氏を含め、本臨床研究に従事した研究者に対しては、本事案が社会に与えた影響の重大さを真摯に受け止めるともに、今後の研究活動を実施するにあたっては適切な対応がなされるよう要請する。
特に、本委員会の調査の過程において、①「本臨床研究に関する統計解析を大阪市立大学の疫学教室という第三者機関に委託したものと主論文に明記しているにもかかわらず、実際にはN社の関係者であるS氏個人に行わせていた」こと、また、②「統計解析をS氏に行わせていたにもかかわらず、本委員会が行った事情聴取に対して、本年4月に至るまで、統計解析及び図表の作成を研究グループ自らが行っていた(S氏はアドバイスのみ行い統計解析への関与はなかった)ものと虚偽の説明をし続け、調査を混乱させ長期化させた」こと、に対するK氏、T氏及びN氏の責任は極めて重く、中でも、本臨床研究実施時にN氏に対し指導する立場にあったK氏及びT氏がこれまでとってきた行為は厳に戒められるべきである。
それゆえ、今後速やかに学内に委員会を設け処分の検討を求めるとともに、責任著者であるK氏についても、現在の所属機関に対して本委員会の調査結果を伝達した上で、しかるべき処分の検討を要請すべきである。一方、研究機関においても、本事案が発生したことは慙愧に絶えず、真摯に反省して、医学研究院及び医学部附属病院が連携して再発を予防する手段を講じる必要がある。
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