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民事執行法改正、金融機関に口座情報の回答をさせる制度導入へ [感想]

法務省が、強制執行を容易にするため、裁判所が金融機関に口座情報を照会して回答させる制度を導入する方針を固め、来年の通常国会への改正案の提出を目指すそうです(YOMIURI ONLINE 2016年6月4日「横行する養育費不払い、債務者口座を裁判所特定」、時事ドットコムニュース2016年6月「養育費・賠償金不払い許さず=民事執行法改正-法務省」)。 
   
    
強制手段の独占的所持者である国家が、自力救済を禁じられた権利者(執行債権者)に対して、その請求権を実現し、また、その前提として権利者(執行債権者)が差押可能な対象財産を確保できるように助力することなど、当然なことなわけであるわけですが、日本はそうはなっていません。
   
権利者の権利実現は、蔑ろにされています。
    
    
金融機関に口座情報を回答させる制度を導入することより、どれだけ 権利実現に実効性があるかは分かりません。しかし、これまでには、そんな 制度などなかったわけですから、一歩前進であることは間違いありません。改正には諸手を挙げて大賛成です。
     
   
ただ、債務者の中には
  
「銀行が開く 9時前に預金を下ろしてしまえば、絶対、差押えなどされることなどない」
 
などと豪語する者がいたりします。
   
   
今回、法改正では、
  
債権差押命令の差押えの効力の発生時期を、命令書が銀行(第三債務者)に送達された場合のほか、
   
差押命令送達後の特定日間とすることができるよう
   
にするなどして、不届き者の執行逃れができないよう、債権回収の現場の意見(「困った」)を反映した改正にしてもらいたいものだと思います。
  
      
 
養育費の回収のため、法務省は、民事執行法を平成15年と平成16年に続けざま、改正しています(下図は厚労省HP「母子家庭等の方へ」「ひとり親家庭の支援について」「3.養育費の確保」44頁から引用)。
   
具体的には、
 
    平成15年改正(平成16年4月施行)により、 
 
一度の申立てで、将来の分についても(期間の制限なく、)給料等の債権を差し押えること 
 
     ができるようになりました。 
     
     また、平成16年の改正(平成17年4月施行)により、
 
関節強制(不履行の場合には養育費債務とは別に上乗せの金銭(関節強制金)を支払うよう債務者に命じ、自ら履行することを心理的に強制する方法    
   
    をとることができるようになりました。
     
 
養育費の確保.png 
 
 
                       
    
今回、養育費の確保を民事執行法の改正の目的の一つとしているということは、平成15年、平成16年の改正によっては、養育費の確保を 十分図ることができなかった、つまり、不十分であったことになります。  
  
     
今回の改正の論議では、平成15年と平成16年の改正の総括をしっかり行って、実のある改正に繋げていただきたいものです。
    
       
 

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