『デジタルデータは消えない』 [証拠収集]
『幻冬舎ルネッサンス新書』について12月14日のブログでは記事にしていますが、
今日は、引用していた幻冬舎ルネッサンス新書『デジタルデータは消えない』(佐々木隆仁著)について。
デジタル機器上に残るデータを抽出・調査分析し、「コンピュータやネットワーク上で、実際に何がどのように行われたのかを、法的に証拠となりうるよる確保する手法・技術を「デジタルフォレンジック」と言うそうです。
ディスカバリー制度により、民事訴訟において手持証拠を強制的に開示させられるアメリカでは、
デジタルデータについても、ディスカバリーの取扱ルールを定めているそうで、そのデジタルデータについて定めているディスカバリー上のルールのことを電子情報開示」(Electronic Discovery))といい、それを略して、 eディスカバリー と言うそうです。
『デジタルデータは消えない』では、デジタルデータは簡単には消えないこと、アメリカにおけるeディスカバリーの仕組みについて平易に説明しているので、類書がないので一読に値すると言えます。
ただ、同書では、アメリカではeディスカバリーによる訴訟コストが増大しているが、日本にもその波が押し寄せてくると述べているが、それは、デジタルフォレンジック、eディスカバリーに関連した業務を仕事としている筆者のポジョントークでしょう、と言わざるを得ません。
日本でも、アメリカのディスカバリー制度のような強力な証拠開示制度が民事訴訟法で採用されるのであれば、筆者が言うように、日本でもeディスカバリーによる訴訟コストの増大が起こるかもしれませんが…。残念。
そもそも、日本の民事訴訟では、証拠開示制度はなきに等しく、しかも、虚偽の証拠を提出しても、また、偽証をしても、ペナルティーはないのが現実です。日本の民事訴訟制度は、アメリカと対比できるようなものではありません。少なくとも数十年は遅れています。
日本で民事訴訟を行うのであれば、eディスカバリーなんか考える必要はないのでしょうが、アメリカで闘う人には、eディスカバリーの理解は不可欠なんでしょうね(ある意味うらやましいことですね)。
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