SSブログ

AIJ投資顧問 [旬の話題]

金融庁は、昨日24日に独立系投資顧問会社「AIJ投資顧問」に1ヵ月の業務停止命令と業務改善命令を出しましたが(「AIJ投資顧問株式会社に対する行政処分について」)、AIJ投資顧問は、企業年金から一任勘定で運用していた2000億円を、ほぼ全額をすってしまっているのではないかということで大騒ぎになっています。 

 グラフ(日経より).jpg

の図は24日の日経電子版から引用させていただいたグラフですが、グラフからは AIJ投資顧問はこの6年くらいの間に、契約資産を250億円から2000億円へと大幅に増やしていることが分かります。

  AIJ投資顧問の浅川和彦氏は野村証券出身の方で、 89年(平成元年)にAIJ投資顧問を設立したという人物だそうで、「エイム・ミレニアム・ファンド」と称する投資商品を、浅川氏自ら、約10年で元本が3.5倍に増えたとする実績をアピールして顧客を勧誘していたことということだそうです(24日の47NEWS「AIJ、10年間で元本3・5倍 実績偽り資金集め、刑事告発も」)。

毎日JPの24日の記事( 「企業年金:揺らぐ信頼 投資顧問会社調査へ」)によりますと、企業年金連合会のまとめでは、「企業年金の運用利回りは90年代までプラスだったが、00年度にマイナスに転落。その後、05年度にプラス19.16%を記録するなど乱高下している。10年度(平成22年)は資産の約27%を国内債券、約5%をヘッジファンドで運用し、利回りはマイナス0.54%だった」ということです。

そんな環境下、10年で元本が3.5倍に増やしている AIJ投資顧問の「エイム・ミレニアム・ファンド」は、よく売れたということなのでしょう。

AIJ投資顧問の今回の問題の発覚は、AIJの「高収益」に疑問を感じた外部からの指摘があり、証券取引等監視委員会が1月23日に検査に入り、発覚したということだそうです。

浅川氏は、1月20日まで勧誘を継続し、浅川氏自らが中部地方の厚生年金基金を訪問して売り込んでいたということだそうです(中国新聞onlineの本日の記事「検査直前まで投資勧誘 年金資金消失のAIJ)。

AIJ投資顧問が資産を減らした理由について、毎日jpは、「金融派生商品である「日経平均オプション取引」の「売り」を駆使したリスクの高い資産運用に失敗し、大幅に資産を失った疑いがあることが24日、証券取引等監視委員会の調べで分かった」としています(「AIJ投資顧問:金融派生商品、運用失敗か」)。

しかし、この点について、FNNニュースでは、取材に応じた格付投資情報センター「年金情報」編集長の永森秀和氏は、

「中小企業の場合は、そのAIJのようなところに大きく依存する。そうしたところは、年金の財政が非常に痛んでいる。(AIJは)安定的に利回りが出ているというところに、不可思議さがあった。業界では結構、黒い会社、疑わしい会社で有名でしたね」

と話しています。

AIJ投資顧問は「弱った企業年金を狙って、高利回り商品だと言って、『エイム・ミレニアム・ファンド」』を売り込んでいた」ようで、そのことは業界内では有名なことだったようですAIJ投資顧問」に委託の企業年金約2,000億円の大半消失 金融庁、投資会社263社調査へ」)

投資の失敗だけが、AIJ投資顧問が資産を減らした理由だったわけではないようです。

 先程の毎日jpの記事も、その点を配慮して、、識者からの取材として、「2000億円規模の資産を消失させるのは異常」(大手生保)、「海外の信託銀行などを取引に使ったり、複雑なデリバティブ(金融派生商品)などを組み合わせて損失が見つからないようにしていたのでは」(大手証券アナリスト)と触れています。

この識者らの言い分は、簡単に言えば、「AIJ投資顧問が一度限りの投資で2000億円全額をすってしまうことは考えられないので、何度も損失を重ね、損失が2000億円になったのだろう。」、「それまでに発生していた損失は、「飛ばし」をして、隠していたんだろう」ということになろうかと思います。

実際に何があり、何が行われたのかは、ここ数週の間に、明らかになることでしょうから、これ以上、今の時点で推測しても仕方がないことだと思いますが、私は識者の方の考えが正しいのだろうおもっています。

後に、J-castニュースの昨日の記事(「AIJ投資顧問の巨額損失 企業年金もう戻ってこない?」)によると、「金融庁は一般論としながらも、『投資一任契約を結んでいる以上は基本的には自己責任です』と話」しているということだそうです。

とは言うものの、時事通信が、2時間ほど前に配信した記事によると、「日本の格付け会社「格付投資情報センター(R&I)」が2009年に『不自然な』会社として警告していたと報じた。R&Iは日本の金融当局ともこうした懸念について議論したという。

WSJによると、R&Iは09年、顧客宛てのニュースレターで、社名には直接言及しないながらも、市場が低迷する中で『不自然な安定配当』をする会社としてAIJを取り上げた。年金業界の大半の専門家には特定するのに十分な説明だった」ということだそうです(「AIJは『不自然』=09年に格付け会社が警告-米紙」)。

記事の内容が本当なら、日本の金融当局はAIJ投資顧問に関する有益な情報を得ていたにもかかわらず、2年以上、検査に入ることもなく、放置をしていたということとなります。

金融庁は、投資家の「自己責任」などとは言ってられないでしょう。

間違いなく、火ダルマでしょう。


 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0