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AIJ問題は投資詐欺 [旬の話題]

AIJ投資顧問の問題は、巨額投資詐欺というのが結論のようです。

日経新聞の記事によると、AIJ投資顧問と契約をしている企業年金は84件、その厚生年金基金が74件、厚生年金基金の大半は、同じ業種や地域の中小企業が集まる「総合型」といわれる厚生年金基金であることが、分かったということだそうです(J-cast ニュース「AIJ投資顧問 中小企業が9割占める」)。

今年2月1日現在での、総合型の年金基金は495基金(企業年金連合会「厚生年金基金の統計」)ということなので、今回のAIJの件では、総合型の厚生年金基金の約15%が被害にあった、ということになります。

私の2月1日のブログ(「厚生年金基金1」)では、総合型(=総合設立)の厚生年金基金の数が全然減っていないこと、その理由が積立金の不足分を返せないため解散もできない状態にあることを指摘させていただきました。

財政難の総合型厚生年金基金が、AIJ投資顧問という詐欺師に引っ掛かったというわけです。

私が厚生年金基金のことを2月1日のブログに書いた際の問題意識は、「銀行や証券会社が基金に売りつけたデリバティブにより、莫大な年金資産の目減りとなっている(であろう)」ということでした。

よもや、今回のAIJ投資顧問のような、年金を扱う投資運用会社が詐欺をする、などとは思いも至りませんでした。

でも、よくよく考えてみれば、銀行や証券会社が詐欺的なデリバティブを販売し、年金資産を分からないように騙し取る、穏やかな手口の詐欺もあれば、今回のAIJ投資顧問のように、年金資産を、ごっそりとかっぱぐ手口の詐欺があっても全然不思議でも何でもありません。

 詐欺的なデリバティブの販売とAIJ投資顧問は手口が違うだけです。

経電子版では、「2011年3月末で595の厚年基金のうち、資産運用の失敗で、積み立て不足は445にのぼる。しかも、厚年基金の約6割は、運用資産の保証利回りを5.5%にしたままだ。だが厚労省は『積み立て不足は、母体企業による穴埋めが原則』とし、積み立て不足に見て見ぬふりを続けてきた。」と報じ(「厚労省、積み立て不足放置基金チェック甘く」)、厚労省の監視が不十分だったと指摘している。

しかし、そんな偉そうなことを言う、日経新聞も、少なくとも朝日新聞の記事で、昨年2011年3月時点で、次のことは分かっていたはずです。

すなわち、一昨年(2010年)3月末時点で、厚生年金基金は608基金(当時)のうち、積立金不足の基金は363基金(全体の60%)、うち242基金(全体の40%)は企業年金の積立金がすべてなくなってしまっていること、厚生年金基金は平均で、積立金が約292億円必要なところ、約32億円不足していること。

501億円必要なのに265億円しか積立金がない基金など3基金が必要額の5割台、7基金が6割台、24基金が7割台、65基金が8割台だった、という厚生年金基金が惨憺たる状況にあることを知っていたはずです(昨年3月6日のasahi.comの「厚生年金、242基金が積立金不足 3百万人に影響も」)。

その時、声を上げたけわけでもないのに、今になって、厚労省の監督が不十分だったという言うのはどうなんでしょう。

水に落ちた犬を打つことなら誰でもできます。

日経新聞が、今更、よい子ちゃんぶるのは、実に不愉快です。


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