愛知県の地方税滞納整理機構(下) [調査]
下表は、総務省が作成している「地方税滞納額及び徴収率(平成21年度決算)」という表です。
この表では、「平成21年度分の地方税ごとの徴収率」と、「滞納繰越分と呼ばれる、過去の会計年度分の滞納地方税ごとの徴収率」が整理して作表されています。
表からは、滞納地方税の徴収率は、都道府県税では、法人税割の都道府県民税が18.2%と最低で、最高な不動産取得税でも徴収率が29.3%しかないこと。
次に、市町村税の徴収率では、法人税割の市町村税が14.1%と最低で、最高なのが所得割の市町村税で、それでも徴収率が21.3%に過ぎないことが分かります。
滞納繰越分の滞納地方税の徴収率は、このように20%程度にしかなりません。
そんなことから、滞納繰越分の地方税について徴収率30%を実現することは、実際には、夢のまた夢のようです。
そうしたところ、愛知県の地方税滞納整理機構(機構)の平成23年度の徴収率の実績は、下図でも示していますが、
- 個人住民税 56.9%
- 固定資産税・都市計画税 63.2%
- 国民健康保険税(料) 43.6%
- その他 47.5%
- 平均 53.3%
というものでした(「愛知県地方税滞納整理機構の平成23年度徴収実績について」)。
この機構が叩き出した「初年度から、いきなり徴収率が5割超の徴収率」という成果は、他県の地方税滞納整理機構も達成していない、偉業です。
絶賛されるべき、すばらしい実績だと言えます。
しかし、この愛知県の地方税滞納整理機構の戦果について、地元の中日新聞を含め、新聞社はどこも報道しませんでした。
機構は、民主商工会からは、「滞納額を一括で払え」、「3回までしか待てない」、「誰かから借りてでも払え」、「さもなければ差し押さえ」というやり方で、脅迫じみた徴収をしていると非難されているようです(津島民主商工会のホームページの「『地方税滞納整理機構』に名を借りた不当な徴税を許さない!」参照)。
民商の主張が真実であるか、どうかなど全く分かりません。
しかし、実際、徴収率5割超の実績を叩き出すためには、滞納者に相当なプレッシャーを掛けなければ、到底実現などできることではありません。
職員が、滞納者に対して、「差押え」という武器を無用に振りかざして、行き過ぎた、民商が言うところの、「脅迫じみた徴収」を行っている可能性がないとは言えません。
新聞社の沈黙は、もしかしたら、それが理由であるのかもしれません。
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