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大阪市の職員アンケートで民事訴訟提起

大阪市は、全職員を対象に労働組合活動や政治活動への関与を問うアンケートを2月しましたが、

その件で、大阪市労働組合連合会(市労連)など5労組と、労組加入している市職員28人が、大阪市と調査を担当した野村修也弁護士を被告とする損害賠償請求訴訟を、大阪地裁に昨日(24日)、提訴したということです(朝日新聞「大阪市アンケート、職員が集団提訴 『思想の自由侵害』」)。

原告である組合員は、思想良心の自由や個人としての政治活動の自由、プライバシーなどを侵害され、精神的苦痛を受けたと、また、組合は団結権を侵害されたと主張し、原告1人あたり慰謝料として30万円、労組と合わせて総額1340万円の賠償を求めているということだそうです。

組合の賠償請求額が書いてありませんが、 (1340万円-(30万円×28人))÷5組合=100万円 になるので、たぶん、組合の賠償請求額は1組合 100万円ということなのでしょうか。

私などは、(アンケート調査には調査の必要性が認められ、回答についても、市から回答するよう業務命令が発せられていたとしても、回答を思想信条により拒否するという回答をすることは可能であり、現実に回答自体をしなかった者に対する不利益処分はされていないので、)アンケート調査には違法性はなく、不法行為は成立しないと、すぐに考えてしまいます。

しかし、識者の人の考えは違うんですね。

共同通信の配信記事によると、「大阪市立大の西谷敏名誉教授(労働法)は、『司法の判断を待つまでもなくアンケートの違法性は明白。市長は提訴を契機に、事務所明け渡し要求や(給与から組合費を天引きする)チェックオフの廃止など違法性が疑われる行為自体をやめるべきだ』と話」したということだそうです。

この西谷敏名誉教授は、有斐閣で「労働組合法 第2版」を出版されているような労働組合法の偉い先生です(私も持っています。)。

労働組合法の権威が言うのだから正しいんだろうと一瞬思ってしまいます。

が、西原名誉教授の考え方は、ちょっとズレているのではないかというような気がしてしまいます。

西谷名誉教授は、

  1. 市の職員の大多数をその影響下に置き、市の職員人事に影響力を行使している労働組合に関し、市ないし第三者委員会が、職員に対し、その団体に関するアンケート調査をすることは違法という考えなのでしょうか?
  2. それとも、アンケート調査をすること自体は違法でないけれども、市が業務命令として職員に回答をさせようとしたことが違法だと言っておみえなのでしょうか?
  3. それとも、アンケート調査をすることも、市が職員に業務命令として回答をさせることも違法ではないが、「思想信条の自由から回答しない」という回答をなすことが許されていることを、事前に告知なかったことが違法だというお考えなのでしょうか?

いずれのお考えなのでしょうか?

西谷名誉教授は、「もちろん、1番です」と仰られるだろとは思います。

ですが、上記の問いにおける「労働組合」を、例えば、「大阪市議会」に代え、アンケートの内容を「議会構成員である議員の口利き」に関するものとした場合、西原名誉教授はアンケート調査はその場合でも違法だと仰られるということなのでしょうか。

むしろ、その場合には、違法性はないと言われるのではないかと邪推しますが、どうなんでしょう?

労働組合法


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コメント 2

bruckhardt

棟居快行先生にしろ、この西谷敏先生にしろ、関西の先生方はかなり左翼的な人が多いので、学者として意見なのか党派的な意見なのかわかりにくいですね。
by bruckhardt (2012-05-02 13:51) 

tomo-law

コメントありがとうございます。本当にそうですよね。学者としての意見なのか、そうでないのか、立場をはっきりさせて発言していただきたいものです。
by tomo-law (2012-05-02 16:04) 

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