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尖閣のギロンの不思議 [検討]

東京都の石原都知事が、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島の3島を購入すると表明していますが、

識者の中には、「都ではなく、国が買うべきだ」と主張されている人がいます。

でも、変な議論です。

それは、国が所有者から3島を購入したとしても、現状において3島が領土として保全されている状況に、何ら変更が加えられることになるわけではないからです。

「3島が国の所有になる」 → 「自衛隊が3島に駐屯するなりして、3島を守る」というような、イメージを持っている人がいるかもしれませんが、3島の所有権の取得と自衛隊の出動等とは全く別の問題です。

3島の防衛と、3島を国が所有権を取得するかとは、直接には無関係です。

次に、3島への上陸についてですが、外国人、例えば、中国人や台湾人、が3島に上陸したのであれば、出入国管理及び難民認定法に違反し、処罰の対象となりうることについては、3島が現所有者の所有であろうと、国の所有であろうと、何も変わるものではありません。

なお、3島の上陸については、国の許可がいるかのような論調の記事が載っていますが、

これは、賃借している国に無断で3島に上陸した場合には軽犯罪法1条32号に違反し、拘留または科料の刑罰が課されることがあるので、同法に違反することなく3島に上陸するためには国の上陸の同意が必要であるという理屈から、上陸には「国の許可がいる」と言われていることです。

軽犯罪法違反

第1条  左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

32号 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

このように見ていくと、東京都が3島を買おうと、国が買おうと、ほとんど何も変わりません。

そのため、「都ではなく、国が買うべきだ」と主張する識者が、何が主張したいのか、私には全く理解できません。

もし、東京都が3島を購入した場合に、国が3島を購入した場合とで違いが出るとしたら、

  • 3島に日本国の領土であることを示す施設が設置されることになる、
  • 定期的に3島への上陸セレモリーが行われることになる、

というぐらいの違いぐらいのことではないかと思いますが、どうでしょうか。

この尖閣の問題では、3島を国が取得すべきか否かは本質的な論点ではないと考えます。

私は「3島の領土保全のために、国としていかなる措置を講ずるべきか」が本質的な論点であると思います。

しかし、そのような形での議論はなされていません。不思議な気がします。


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