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『真摯に受け止める』ではないのか [感想]

小川前法務大臣が、昨日(6月4日)の退任記者会見で、指揮権の発動を検討したが、野田総理大臣の了承が得られなかったことを明らかにしたということ報道が各社から流れました。

指揮権発動とは、小沢一郎民主党元代表の政治資金規正法違反事件を巡り、検察審査会の起訴議決を受けて元秘書の石川知裕衆院議員を再聴取した際、東京地検特捜部(当時)の田代政弘検事が、実際にはなかったやりとりを捜査報告書に記載した問題に関する検察庁の捜査に関してのことです。

報道各社の報道のうちNHKニュース詳説「法相“指揮権検討も首相了承せず”」)が比較的詳細ですが、

その内容は

「小川前法務大臣が『検察庁に対する信頼が損なわれているときに、検察が身内に甘い、適当な形で幕引きをすれば、信頼回復ができないのではないかと心配した』と述べた上で、

『検察が身内に消極的である場合に、積極的ならしめることが法務大臣の本来の姿ではないか。そういう意味で、指揮権の発動はふさわしいケースで、私自身は指揮権の発動も決意したが、野田総理大臣の了承が得られなかったので大変残念に思っている』と述べた」

というものでした。

このNHKの報道からは、なぜ、小川前法務大臣が「検察が身内に甘い、適当な形で幕引き」をしようとしていると判断したのかその理由が明らかでありません。

読売新聞(「特捜の報告書虚偽記載、首相が指揮権発動認めず」)を読んでみると、

「小川氏は5月上旬、検察当局が、虚偽有印公文書作成などの容疑で告発された元東京地検特捜部の田代政弘検事(45)を不起訴にする方針との報道を受け、法務省内の担当部署に確認。インターネット上に流出した報告書などを自分で読み、「(検事が弁解する)記憶違いはあり得ない」と判断し」となっており、

小川前法務大臣はネット流出した報告書を自ら読んで、「記憶違いはあり得ない」と判断したということがやっと分かりました。

でも、日経(「小川前法相、首相に指揮権発動相談  虚偽報告書問題で」)では、小川前法務大臣が

「田代検事が虚偽記載の理由を『以前の取調べと記憶が混同した』と説明していることについては、『客観的証拠を見れば、記憶違いではないと誰しも思う』と指摘した」

となっていて、読売の表現と微妙に違っています。

新聞記事の内容を読み比べても隔靴掻痒の感は否めません。

ストレートに、小川前法務大臣が退任記者会見の発言を見たいと思って探してみましたが、会見を短く編集した動画しかありません。 

そうしたところ、八木啓代さんのブログ「八木啓代のひとりごと」で、「小川敏夫前法相 退任記者会見(抄録)」がアップされていることを発見しました。

 この記者会見での記者との一問一答で、小川前法務大臣は、

-相談した時点では、既に報道各紙で不起訴方針が出ていた。

報道関係は随分早かった。5月の始めくらいからいろいろ出ていた。

-報道内容を受けてそのような気持ちになったのか。

報道そのものが、具体的事実関係を反映しているのか、というのはあるので、一つの資料として、報道内容について、ちゃんと担当部署に直接・間接に確認するようなことはあった。

-それを踏まえてそういう判断に至った

はい。

-不起訴という報道。どういう考えだったのか。

客観的資料を見れば分かることだが、捜査報告書の中身、捜査状況の録音を詳細に見てみれば、記憶違いではないと、誰しもが思うんじゃないかと思う。逆に、捜査報告書と録音をインターネットで流出しているようだから、それを見れば判断できると思う。

捜査資料は捜査に干渉するので入手しなかったが、流出した資料を基に比較対照すれば、そういう結論になる。

-それを見て指揮権発動を考えたのか。

それも含めて。総合的な判断

-報道が出たことについて、直接・間接に確認したと・・

検察庁に確認したことはないので。直接は消して。間接だね。

-省内で

省内。捜査の具体的情報そのものを、検察庁から話を直接聞いたことはない。

等と答えています。

この小川前法務大臣の発言に対し、唯一、検察庁幹部のコメントを拾っているNHKのニュース詳説「法相“指揮権検討も首相了承せず”」によれば、

検察幹部の1人は「指揮権発動は大臣の権限であり、検討すること自体は否定しないが、それをわざわざ公の場で明らかにすることの真意が計りかねる」と話しています。

また、別の幹部は「法と証拠に基づく検察の判断を覆そうとする趣旨を含んだ発言であればおかしな話だと思う」と話しています。

ということですが、

検察幹部としては、小川前大臣のご意見を「真摯に受け止めたい」ではないのでしょうか。


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