生活保護制度のゆくえ [感想]
生活保護費は平成24年予算で3兆7232億円となりました。
日本の一般会計予算は90兆3339億円(財務省「平成24年度一般会計予算(平成24年4月5日成立)の概要」)。
したがって、生活保護費の支出は一般会計の約4%を占めていることになります。
生活保護費のここ10年余りの金額の推移は、下の「生活保護費負担金(事業費ベース)実績額の推移」のとおりです。
平成13年には2兆円だったのが、順調に増加し、平成21年には3兆円の大台に乗り、さらに増加し3兆7232億円まで育っています。
生活保護費を受け取っている年齢階層の年次の推移は下の「年齢階層別被保護人員の年次推移」のとおりです。
60歳、70歳の人の受給者が急増していることが、目に取るように分かると思います。
労働意欲を失った若年層(10~30歳台)の生活保護費の受給が激増しているかのような報道がなされますが、眉唾であるかもしれません。
日本では、超高齢化が進行中です。
下図は日本における高齢化の推移と今後の推計を表にしたものですが、
日本における高齢化は今後、40%に向かって進んでいくことになります(現在は高齢化率は23%)。
生活保護費を負担することになる生産年齢人口の減少は、歳入の減少を意味することになりますが、それに人口減少が追い打ちを掛けることになります。
高齢化の進行によって毎年数千億円ずつ、生活保護費は増大していくかもしれません。
高齢化が生活保護費の増大の主たる原因だということであれば、
生活保護制度の制度を、どのようにいじったとしても、有効な対策にはならないと思います。
経済成長を図ることによって、国の歳入を増やし、同時に、雇用を創設し、生活保護受給者を減らすというのが特効薬なのでしょうが、
そんなことは何年も前から分かっていたことで、そのための具体的な青写真すら描けなかったのがこれまでです。
残念ですが、いまのままで生活保護制度を維持していくことは無理なことだと思います。 私は打つ手なしだと思っています。
註)
1枚目の表は、 、第1回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会資料の資料3-2「生活保護制度の状況等について」の11頁目「生活保護費負担金(事業費ベース)実績額の推移」から引用したもの。
2枚目の表は、第1回社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会資料の資料3-2「生活保護制度の状況等について」の8頁目「年齢階層別被保護人員の年次推移」から引用したもの。
3枚目の表は、平成24年度版高齢社会白書の5頁目「高齢化の推移と将来推計」から引用したもの。
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