労働政策審議会職業安定分科会の了承 [豆知識]
厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会が今月5日、
労働者派遣法改正法の改正政省令案や要綱案等を、おおむね妥当と了承しました(労働政策研究・研修機構のメールマガジン労働情報N0.832「派遣法改正法の政省令案要綱等を妥当と了承/厚生労働省職業安定分科会」)。
労働政策審議会職業安定分科会が了承した、労働者派遣法改正法の改正省令案や要綱案等は、
① 施行日は今年10月1日
② 日雇い派遣の原則禁止の例外業務は、専門26業務のうち17.5業務
③ グループ企業内派遣の8割規制について、「派遣元事業主の親会社等」と派遣割合を定義
④ マージン率等、情報公開を規定
との概要のものです。
省令案等の内容については、これまでいろいろ報道がなされてきていますが、内容的には新たな内容は特にないようです。
ところで、労働政策審議会職業安定分科会が、労働者派遣法改正法の改正省令案や要綱案を了承したということです。
この職業安定分科会の了承は、
小宮山厚生労働大臣が、労働審議会宛に「意見を求める」と諮問したのを受けてのものです。
なぜ、労働政策審議会の分科会である職業安定分科会が、労働者派遣法改正法の改正省令案等を了承したことが、わざわざニュースとして取り上げられているのか、疑問に思われなかったでしょうか。
私などは「労働政策審議会の本会で省令案を了承しないと意味がないんじゃないの、なんでだろうと? 」という素朴な疑問を、かつては持っていました。
その疑問は、
「労働政策審議会(の本会)が、審議を付託された全事項について、調査し審議する権限を独占していて、その権限の一部を職業安定分科会に委任している」
との発想から生まれてきたものではないかと思いますが、
実は、「審議会が審議を付託された事項について調査審議する権限を独占している」との発想に間違いがあります。
というのも、分科会は、審議会(の本会)の下部組織ではなく、審議会(の本会)にない専権を持っています。
逆に言えば、労働政策審議会(の本会)の権限は極めて限定されていて、審議会に審議を付託された全事項について調査審議する権限を独占的に与えられていません。
労働者派遣法改正法の改正省令案等を調査審議する権限は、労働政策審議会職業安定分科会にだけ与えられていて、労働政策審議会(の本会)には全く権限が与えられていません。
以上の点についての確認ですが、
まず、労働政策審議会令第6条は、
労働政策審議会職業安定分科会が、
厚生労働省設置法第4条第1項第53号から第56号まで及び第58号から第62号までに掲げる事務に関する重要事項を調査審議することを所掌(=法令によって、ある事務が特定の機関の職務に属するものと定められていること。)する
と規定しています。
そして、労働政策審議会令第6条で引用されている、厚生労働省設置法第4条第1項では、第55号が、
55号 職業紹介、労働者の募集、労働者供給事業及び労働者派遣事業の監督に関すること
と規定しています。
この労働政策審議会令第6条と厚生労働省設置法第4条第1項第55号の二つの規定からは、
「労働者派遣事業の監督に関する調査審議権は、労働政策審議会職業安定分科会の専権となっており、労働政策審議会の本会の職務権限には属していない。
そのため、労働政策審議会職業安定分科会が 労働者派遣法改正法の改正省令案の調査審議を行い、労働政策審議会職業安定分科会の審議結果が労働政策審議会の審議結果となる。」
ということになります。
したがって、労働者派遣法改正法に関しては、労働政策審議会(の本会)は、蚊帳の外に置かれることになるわけです。
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