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特定商取引法違反で検挙 [検討]

ローカルな話ですみませんが、 

昨日20日の中日新聞朝刊の市民版に、

中警察署などが、特定商取引法違反(不備・虚偽書面の交付)の疑いで、リフォーム会社の元経営者を逮捕した

とのベタ記事が載っていました。

記事によると、 

容疑は、昨年9~12月、中区と緑区の男女方を訪問してリフォームの契約を交わす際、クーリングオフに関する記載がなく、法人登記のない虚偽の株式会社名を書いた書面を交付したとされる

とのことでした。

 

訪問販売の際には、顧客から申込みを受けた事業者は、

事業者の氏名・名称・住所・電話番号、法人の代表者名 

クーリング・オフに関する事項

等の法定の事項を記載した書面を、直ちに、申込者に交付することが義務付けられています(特定商取引法4条6号、特定商取引法施行規則3条、6条)。

もし、事業者がこの書面の交付義務義務に違反して、

書面を交付しなかった

あるいは

法定事項が記載されていない書面、または、虚偽の記載のある書面を交付した

場合、100万円以下の罰金に処せられることとなります(特定商取引法72条1項1号)。

特定商取引法 

第72

第1項 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。

 第4条、第5条、第18条、第19条又は第42条の規定にに違反して、書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項が記載されていない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者

 

記事が言う、 「 特定商取引法違反(不備・虚偽書面の交付) 」 とは、この特定商取引法72条1項1号違反のことのようです。

 

特定商取引法違反での逮捕という記事は余り見たことがありませんが、警察による特定商取引法違反の検挙の状況はどうなっているんでしょう。

警察庁生活安全局生活経済対策管理官作成の「平成23年中における生活経済事犯の検挙状況等について」 によると、

昨年(平成23年)における 特定商取引法違反での検挙件数は 全国で 161 件。

検挙人数は 314 件だったということだそうです。

下図は、ここ 5 年の特定商取引法違反による検挙状況の推移を図にしたものですが、年ごとによって、

余り増えても減ってもいないようです(「平成23年中における生活経済事犯の検挙状況等について」の10頁 の図表8 を引用してあります)。

 特定商取引法等事犯の検挙状況.jpg

以上は全国の状況ですが、では、愛知県の場合ではどうなっているでしょうか。

愛知県の場合ですと、特定商取引法違反の検挙件数は、昨年(23年)は 5 件、一昨年(22年)は2件、だったということになります(愛知県警察本文刑事部刑事総務課作成「平成23年犯罪統計」の23頁の「21 特別法犯違反法令別検挙件数・送致件数・検挙人員(前年比較)」参照)。

愛知県では、特定商取引法違反での検挙は熱心ではないようです。

警察の特定商取引法違反事犯の検挙について、どういう感想を持たれたでしょうか。

感想は、人それぞれなのでしょうが、私は、端的に

 「少ないんだなぁ」

 という感想を持ちました。 

 

 

でも、見方によっては、警察による検挙は、全国で 160件 ほどあるわけですから、

訪問販売法違反で 刑事告訴をして、警察に検挙してもらう

との武器の使用は、実効性が無いは言えません。

翻って言えば、「それなりに使える」と評価できるのではないかと考えます。

機会があったら、私も、一度、特定商取引法違反で悪質業者を刑事告訴をしてみよう、と思いました。


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コメント 7

おり

私も特商法に違反する悪徳業者にひっかかっており、書面不交付によりクーリングオフをしましたが、個人事業には特商法は関係ない、とか、裁判で負けても支払わないなど、たちが悪いため刑事告訴を考えていました。
告訴が受理される可能性が低いのでは?という意見もありましたが、こちらのブログを見て心強く思いました。
by おり (2013-02-27 17:28) 

tomo-law

おりさん、コメントありがとうございます。

悪徳業者が、どしどし刑事告訴され、立件もされもようになれば、悪徳業者も多少は行儀がよくなるのだろうと私も思っています。

刑事告訴、頑張ってください。
また、その後の経過も報告して下さいね。
by tomo-law (2013-02-28 07:58) 

New申出人

トモローさん、たいへん勉強になりました。

掲示告訴できるんですねえ。

おととい特定商取引法60条で経済局長に
申出書送ったばかりなんです。

「訪問販売」というのも素人消費者には
分かりにくい面あります。

いい武器なのに消費者に知られてないですね



by New申出人 (2013-06-14 22:38) 

tomo-law

New申出人さん、経過がどのようになったのか、また、教えて下さい。、
by tomo-law (2013-06-15 00:37) 

New申出人

トモローさん、進展がございましたらお知らせします

現在も進行形で悪事を繰り返す組織的な団体
(株式会社=ダミーの一般財団法人 代表者同じ)です。

ところで特定商取引法には罰則がありますが、
「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」で加重はされないのでしょうか?

組織体である事業者が想定されているとは言え、個々の取引単位で問題点が判断される特商法と、組織的に継続している「組織的な処罰法」は、悪さの次元が異なるので加重しなさいよと思ってしまいます。長文御免。
by New申出人 (2013-06-15 11:13) 

tomo-law

New申出人さん。
特定商取引法は、組織的犯罪処罰法第3条1項、第7条1項などで規定する犯罪にはなっていません。そのため、特商法違反の犯罪を、組織的犯罪処罰法で加重処罰することは、そもそも、できないのではないでしょうか。

また、同法別表にも入っていないので、同法13条に基づいて犯罪収益の没収・追徴もできない、ということになるのではないでしょうか。


by tomo-law (2013-06-16 15:34) 

悪徳リフォームの被害者

特定商取引法の法定書面不交付の公訴時効の起算点はいつか?
業者側の無知により、例えば、連絡用事務所や会議室が営業所等(店舗に類するもの)に該当すると思い込んでいる案件で、業者側が、訪問販売に該当しないので、法定書面の交付義務はないと主張して、悪徳業者ともめにもめて、時間だけが過ぎていく場合も多々あると思います。極端な場合には、民事訴訟に突入して、業者側が、訪問販売に該当しないと主張しつづけて、3年が経過する場合もあります。
ところで、特定商取引法の法定書面不交付は、法定書面を交付しない間は、クーリングオフの起算が進まず、いつでも、消費者はクーリングオフを行使することができるとされています。
では、直罰規定が設けられ、消費者が告訴することができる特定商取引法の法定書面不交付の公訴時効の起算点はいつになるのでしょうか?
特定商取引法の法定書面不交付は、「真性不作為犯」であると思慮しますが、法定書面が交付されない不作為の状態は、法益が侵害された状態が継続し、かつ、法定書面を交付しないという行為、すなわち、構成要件該当行為も継続しているので、不退去罪や逮捕監禁罪のように「継続犯」にあたると思います。
法定書面不交付が継続犯であれば、書面を交付するまで、犯罪行為が終了しないので、公訴時効の起算も進まないと考えられますが、じっさいのところ、法定書面不交付の場合の、犯罪行為の終了をいつの時点と考えるべきでしょうか?
by 悪徳リフォームの被害者 (2016-10-15 04:34) 

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