返済期日の解釈 [豆知識]
貸金に関する示談では、
「毎月末日限り、〇〇円を支払う」
との、分割弁済の約定をすることが多々あります。
では、この取り決めは、
「末日が日曜日の場合、翌日の月曜日に支払えば履行遅滞とならないのでしょうか?」、
あるいは遅滞となるのでしょうか?
弁護士をしてても、詰めた理解をしていないと、
簡単そうに見えるこの問題に、自信をもって答えることができないのではないでしょうか。
それは私も一緒です。
調べてみますと、平成11年3月11日最高裁第一小法廷判決というのがあり、
毎月1回ずつ分割払いによって元利金を返済する約定の消費貸借契約において、返済期日を単に「毎月X」と定めただけで、その日が日曜日その他の一般の休日に当たる場合の取扱いが明定されなかった場合には、その地方においては別異の慣習があるなどの特段の事情がない限り、契約当事者間にX日が右休日であるときはその翌営業日を返済期日とする旨の黙示の合意があったことが推認されるものというべきである。
現代社会においてはそれが一般的な取引の慣習になっていると考えられるからである(民法142条参照)。
と判示していることが分かりました(金融・商事判例1067号3頁、金融法務事情1549号24頁、判例タイムズ1013号106頁、判例時報1673号80頁)。
この最判について、国民生活センターが「貸金の分割返済期日が休日に当たるときの解釈」と題して、最高裁判例の分かりにくい評釈をホームページにアップしていますので、(余り参考になるとは思いませんが、)ご参考にしてください。
法律雑誌の掲載状況からして、結構、有名な最例のでしょうが、
白状しますと、私はこの判例、知りませんでした。
ちなみに、民法142条は、期間に関しての規定なので、期日については適用がないことになりますが、同条の法意は期日の場合でも妥当するとのことのようです。
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(参考)
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和23年法律第178号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
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