解約権留保特約の有効性 [豆知識]
借地借家法の適用がある借家契約で、
2年間の賃貸借契約の契約期間中でも、家主は正当事由があれば、「6ヶ月前」の予告で契約を終了させることができる
との特約があった場合、その特約は有効でしょうか。
いわゆる、「解約権留保特約」は借地借家法30条により無効となるのではないか、との論点ですが、
分かったような、分からないようなところです。
下級審では無効という裁判例もありますが(東京地判昭和55年2月12日判時965号85頁、東京地判昭和56年7月10日判タ465号139頁、京都地裁平成20年1月30日判決23頁但し傍論)、一律無効となるわけではなく、事案によるというところでしょうか。
そんな中、 不動産流通近代化センターのホームページの不動産相談のコーナーの「建物賃貸借の期間および中途解約に関する民法と借地借家法の関係」の解説の理由付けとしてそれなりに説得的かな、と思いました。
ちょっと表現が、端折られているので ゴタゴタしていますが、使わせていただくことにします。
要約すると、
借地借家法29条2項は、「民法第604条の規定は、建物賃貸借については適用しない。」と規定している。
これは、借地借家法の適用のある建物賃貸借では、賃貸借契約の契約期間をどのように取り決めてもよいことである。
賃貸借契約の契約期間をどのようにでも取り決めれてよいわけなのだから、わざわざ、民法第617条や第618条の解約申入れに関する規定の適用を、借地借家法の適用のある建物賃貸借において、(一時使用目的の建物賃貸借以外には)考える必要などないはずである。
したがって、解約権留保特約は借地借家法30条により(原則として)無効である。
ということになるのだろうと思います。
(参考)
1 賃貸借の存続期間は、20年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、20年とする。
2 (略)
1 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
第618条 (期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保)
当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保したときは、前条の規定を準用する。
1 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から6月を経過することによって終了する。
1 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。
2 民法604条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない。
第30条 (強行規定)
この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。
この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。
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