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「報道機関としてあるまじき行為」なのは、なぜ? [検討]

殺人、死体遺棄事件の被害者女性(72)の顔写真を、

中日新聞の女性記者に5000円で売った静岡放送の20代男性記者が懲戒解雇され、

静岡放送の責任者(大森繁総務部長)が、これについて、

「報道機関としてあるまじき行為で、本人を懲戒解雇、上司を厳正に処分した。再発防止に努める」

とコメントしているそうです(産経ニュース2013年12月13日「記者どおしで顔写真売買、静岡放送男性記者を懲戒解雇」)。

 

静岡放送が、記者のどのような行為を捉えて、懲戒解雇しなければいけないほどの重大な非違行為があったと判断をしているのかが、この記事からだけでは よく分かりません。

金をもらったことなのでしょうか。あるいは、被害者や被害者の親族の感情を逆撫でしているからなのでしょうか。

 

静岡放送が定めている記者の行動基準はインターネット上では見ることができません(静岡放送のHPのサイトマップ 参照)。

仕方がないので、朝日新聞が定めている 「朝日新聞記者行動基準」 を参考にして、

もし、今回の記者が朝日新聞の記者だったとしたら、朝日新聞記者行動基準のどの条項に触れることになるのか、確認してみました。

結果、記者の行動は、

□ 取材方法 

 【情報源の明示と秘匿】

7.情報提供者に対して、情報源の秘匿を約束したとき、または秘匿を前提に情報提供を受けたとき、それを守ることは、報道に携わる者の基本的な倫理である。秘匿が解除されるのは、原則として情報提供者が同意した場合だけである。

【情報の対価】

20.情報の提供には金銭等の対価を渡さないことを原則とする。専門家などに支払う談話料は原稿料の一種であり、ここで言う対価には当たらない。

□  公正な報道

【報道写真の扱い】

13.写真掲載に当たって、肖像権を不当に侵害しない。被写体となった人物の人格や社会的信用を不当に傷つけるような写真は使用しない。

□  目的外使用の禁止

1.取材で得た情報は、原則として報道目的にのみ使用する。この場合の報道とは、朝日新聞と朝日新聞社に関連した媒体での報道を指す。上司の承認を得て、出版・講演等の社外活動に使う場合がある。

2.取材で得た情報を報道する前に、外部の第三者(個人・団体)に漏らしたり、第三者と共同で使用したりしない。ただし、専門家の意見を求める場合などに、情報を提示することは許される。その場合も、必要最小限にとどめ、情報源の秘匿には特に配慮する。

3.職務に関連して得た公開前の情報を利用して、利益を得たり、損失回避をしたりしない。親族を含む第三者についても、同様の扱いとする。

□社外活動

【言論活動】

3.社外メディアへの発表は、事前に上司の承認を得る。記者個人が運営するホームページやブログは社外メディアであり、同様の扱いとする。

4.社外メディアからの出演要請等に応じる場合は、事前に上司の承認を得る。緊急の場合は、事後に届ける。

5.取材や職務で知り得た情報を、朝日新聞社が報道する前に社外メディアを通して発表したり、その情報に基づいて論評したりしない。ただし、専門性が極めて高い情報で、朝日新聞と関連媒体での公表を予定しないものは、取材先の同意を得た場合に限り、使用できる。

といったあたりの条項に触れそうであることがわかりました。

 

もっとも、「報道機関にあるまじき」と静岡放送の総務部長が力説しているわけですので、

被害者の肖像権

のあたりを一番、問題にしているであろうと予想できそうです。

 

そんな目線で、念のために、他紙の記事にも目を通してみたところ、

毎日新聞(「静岡放送記者:事件被害者の顔写真 中日新聞記者に売る」)は、

静岡放送の大森繁・総務部長は「取材で入手した素材を社内規則に反し報道目的以外で使用した。男性記者は現在会社にいない」と説明。

と報じていることが分かりました。

 

静岡放送は、記者が、「取材でに入手した素材を社内規則に反し、…使用した」ことを問題としていることが分かってしまいました。

「報道機関にあるまじき」などと言いながら、「自社の利益を蔑ろにして、情報を他に横流しした」、記者の目的外使用を問題にしているだけで、

本当に、がっかりです。     

もしはありませんが、正規の手続を踏んで、中日新聞の記者が写真を買い入れてくれていたのなら、ノープロブレムだった ということになるのでしょうか。


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