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勾留状請求の却下 [感想]

器物損壊罪で現行犯逮捕された人の法律相談をしました。

その方は、少し前に逮捕されたのですが、勾留されることなく釈放されたとのことで、御本人に事務所に出向いていただいて、事情をお聞きしました。

 

私が警察署に電話をして、担当刑事に処理方針を聞いた際には、

きっぱりと 「明日、送致です」と言って、今後は余罪捜査に力を入れることになるなどと刑事が言っていたので、当然 勾留になると思っていました。

 

ところが蓋を開けたら、勾留されることなく、釈放です。

変な話だなぁと思って、細かく事情を聞いてみたところ、

裁判所に行き、女性の裁判官から質問をされた

ということが分かりました。

 

これで分かりましたが、

勾留請求が却下されたということのようです。

 

署に戻ってからの担当刑事らの態度は 「どうでした」と尋ねたところ、

「苛立っていました」ということなので、間違いはなさそうです。

 

勾留請求の却下率は、かつては「1千件に数件」のレベルだったのが、平成15年以降、その比率が上昇してはいます。

ですが、それでも 平成23年の却下率でも 1.2%程度に過ぎません(平成24年版犯罪白書第2編第2章第2節 「2-2-2-2図 勾留請求却下率の推移」参照) 。

 

今回の事例、極めて珍しいのではないでしょうか。

 

私は不埒にも、

検事が、この糞忙しい年末に、余分な身柄を抱えていたくないので、勾留請求をするのを差し控えて、在宅に切り替えて釈放を してくれたのではないか

と思っていました。

でも、そんな甘い話が あるわけないですよね。


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つむじまがり弁護士

勾留状請求は却下されません。
却下されるのは勾留請求です。
もう少し刑事訴訟法を勉強されたらいかがでしょうか。
by つむじまがり弁護士 (2013-12-18 23:37) 

tomo-law

つむじまがり弁護士さん、ご指摘はそのとおりで、「勾留状請求」なる表現は誤りです。

刑事訴訟法207条4項は「裁判官は、第1項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。ただし、勾留の理由がないと認めるとき、及び前条第2項の規定により勾留状を発することができないときは、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。」と規定しているわけですので、ご指摘いただいたとおり、「勾留状請求」という表現は×で、「勾留請求」が〇 ということになります。
ですが、インターネットで「勾留状 却下率」をキーワードにして検索をしていただけばお分かりいただけることではないかと思いますが、「検察官の裁判官に対する勾留請求は認められ、勾留状が発令されるのは当然である」との発想を背景にしてか、「勾留状請求」という誤った表現が平気で使われていて、膾炙しているようです。
コラムの表題で、「勾留状請求」という表現を使ってみたのは、間違っている表現に引っ掛かりを感じて、何かコメントをしてくれる人でも出てくるかなと思ってのことで、つむじまがり弁護士さんからのコメントは私の狙い目どおりのものでした。

今後ともコメントよろしくお願いします。
by tomo-law (2013-12-19 05:37) 

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