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基礎ぐい工事問題に関する委員会の中間ともまとめ報告書 [感想]

基礎ぐい工事問題に関する対策委員会が、25日、石井国土交通大臣に、中間とりまとめ報告書を提出しました(NHKニュース2015年12月25日「データ流用・改ざん問題"国がルール作りを"」)。

報告内容の概要は、下のポンチ図「Ⅳ 再発防止策」の欄に書かれていることがらとなります(図は国土交通省HPの報道発表資料「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会中間とりまとめ報告書について」中の「【概要】中間とりまとめ報告書」を引用)。 

 中間とりまとめ概要 - コピー.jpg

ありきたりの再発防止策しか書かれていません。

 

工事監理についてどのようなことが書かれているかを見てみると、 図では【工事監理 】 として、

〇 適切な施工管理を補完するための工事監理ガイドラインを策定 

と書かれています。

工事監理ガイドラインならすでに策定されています(2015年11月9日のブログ「工事監理ガイドライン」参照)。なのにガイドラインを策定するとは何を言っているいるのでしょう。

それを確認するため、本文(【本文】中間とりまとめ報告書)に目を通してみたところ、30頁に、

(3)  適切な施工管理を補完するための工事監理ガイドラインの策定

〇国土交通省は、建設業における基礎ぐい工事に関する適切な施工体制の構築に併せて、これを補完する観点から、基礎ぐい工事の工事監理における確認項目・方法等を明確化するとともに、地盤やくいに関する設計者からの指示事項を確認し、関係者間で情報共有することや、工事施工者の施工管理体制を把握すること等の留意事項を盛り込んだ、基礎ぐい工事に関する工事監理ガイドラインを別途策定すること

と書いてありました。

既に策定した工事監理ガイドラインの別紙の「地業工事」の箇所の、工事監理者の確認項目や具体的な確認方法 を追加することを、「ガイドラインの策定」と表現していることになるようです。

 

報告書本文15頁では、今回の旭化成建材が杭を打った横浜市のマンションの工事監理の体制について、次のように整理をしています。

⑤工事監理の体制

工事監理者は、一定規模以上の工事を行う場合に建築主により定められ、施工者が工事を設計図書のとおりに実施しているか確認を行う。工事監理の方法については、国土交通省が定める「工事監理ガイドライン」(平成 21 年9月国土交通省策定)において、立会い確認若しくは書類確認のいずれか又は両方を併用して、工事に応じた合理的な方法で確認を行うこととされている。一般的には、試験ぐいの施工に立ち会い、支持層の位置等の確認項目や施工方法について全て確認し、以降の施工については、定例会議の際の立会いや施工記録等の書類確認を実施している。

横浜市のマンション事案では、工事監理業務を受注した三井住友建設の一級建築士が工事監理者となっており、工事監理代理者及び工事監理担当者を選任して工事監理を行っていた。工事監理報告書等によれば、試験ぐいの施工に立ち会って(10 本中9本)、施工手順や支持層への到達を確認していた。本ぐいの施工については立会いではなく、施工記録等により確認していた。

 

工事監理はやることはされていたという理解をされているかのようです。 

いくらガイドラインの確認項目を増やそうとも、施工記録によって確認することも可とするのであれば、何も変わらないのではないと危惧します。

 

報告書には、施工と監理の関係について「連携」という表現は出てきません。

委員会の議事要旨を斜め読みした限りでは、施工者にしっかりとやらせるという意見ばかりのようで、工事監理者に見張らせるという意見は見当たりません。これが委員会の立ち位置ということのようです。


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