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大津地裁の保全異議審の構成 [感想]

関西電力の高浜原発の運転差し止めを認めた大津地裁の仮処分決定に対して、関西電力が大津地裁に保全異議と執行停止の申立てたそうだが、担当する裁判長が仮処分決定を出した山本善彦裁判長に決まったということです(時事通信2016年3月16日「異議審も同じ裁判長=高浜原発差し止め-大津地裁」) 。
     
報道機関は、「同じ裁判長」が異議審を担当するに 関心を持っているようで、後追いで他社も報道をしています。
      
読売では「裁判官の人選は同法にも規定がない。過去には裁判所の事情によって同じ裁判長が担当したことがあるが、裁判所関係者によると、別の裁判長に代えるのが通例という。」と、裁判所の配慮が足りないかのような報じ方がされています(読売新聞2016年3月16日「高浜原発運転差し止め、保全異議審も同じ裁判長」) 。
     
   

今回の件は、大津地方裁判所(本庁)は、民事部が1部しかなく、元の仮処分事件が合議体で、保全異議審も合議体なので、同じ裁判長になったというだけのことです(大津地方裁判所HP「担当裁判官」の頁参照)。
    
      
下級裁判所事務処理規則第5条第2項本文は「合議体では、第三条第二項又は前条第四項の裁判官が裁判長となる。」と、また、同規則第4条第4項は「部に属する裁判官のうち一人は、部の事務を総括する。」と規定しています。
  
大津地裁民事部には部が一つしかないため、部総括である山本裁判官が、大津地裁民事部において合議体が構成される場合には常に裁判長になってしまいます。
            
保全異議審を合議体の構成とすることとすれば(裁判所法第26条第2項第1号参照)、山本裁判長が裁判長となってしまうことになってしまいます。
   
   
読売新聞は 「裁判所関係者によると、別の裁判長に代えるのが通例という。」と書いています。
   
保全異議審を合議体でなく、山本裁判官以外の別の一人の裁判官が担当することとすれば、同じ裁判長を避けることが出来ますが、まさか、そうせよということなのでしょうか。 
     
                            
 
    
(参考)
     
裁判所法第26条 
 
 
第26条 (一人制・合議制)
 
1  地方裁判所は、第2項に規定する場合を除いて、一人の裁判官でその事件を取り扱う。
    
2  左の事件は、裁判官の合議体でこれを取り扱う。但し、法廷ですべき審理及び裁判を除いて、その他の事項につき他の法律に特別の定があるときは、その定に従う。
   
一  合議体で審理及び裁判をする旨の決定を合議体でした事件
   
二  死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪刑法第236条 、第238条又は第239条の罪及びその未遂罪、暴力行為等処罰に関する法律(大正15年法律第60号)第1条ノ2第1項若しくは第2項又は第1条ノ3の罪並びに盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和5年法律第9号)第2条又は第3条の罪を除く。)に係る事件
    
三  簡易裁判所の判決に対する控訴事件並びに簡易裁判所の決定及び命令に対する抗告事件
    
四  その他他の法律において合議体で審理及び裁判をすべきものと定められた事件
 
3  前項の合議体の裁判官の員数は、3人とし、そのうち1人を裁判長とする。

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