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即決裁判手続、最盛時の1割近くに [報告]

即決裁判手続とは、明白軽微な罪で起訴された被告人が有罪を認めれば、起訴から14日以内に公判期日が開催され、開催された期日に審理を終え、即日判決が言い渡される刑事手続のことで、平成16年(2004年)の刑事訴訟法改正で導入され、平成18年10月2日から施行されている手続のことを言います(コトバンクの解説参照)。 

この即決裁判手続ですが、手続を選択するかは 検察官 が決めることになります。

 

産経ニュースの記事(2016年3月21日「『即決裁判手続き』 昨年最小  制度10年で最盛期の1割近くに」) によりますと、この即決裁判手続ですが、 

刑が軽い事件を迅速に処理し法曹三者の負担を軽減するために導入したが、関係者からは「負担はそれほど増えておらず、必要性は薄れた」「反省を深める機会が減り、被告にマイナスの制度」との指摘が出ている。

(中略) 

 即決裁判を導入した狙いは、裁判員裁判実施に伴う裁判官、検察官、弁護士の法曹三者の負担軽減にあった。法曹界では21年から開始した裁判員裁判で法曹三者の業務が過大になると予想。初犯は有罪でも執行猶予が付くことの多い薬物事件や不法滞在などの入管法違反事件などを迅速に処理することで、業務に余裕を持たせることを狙った。

ということが制度を導入した狙いだったということになるそうです。

「法曹三者の負担を軽減する」制度ということになるようです。

 

私は、てっきり、刑事施設の過剰収容問題対策の一環なんだろうと誤解していました。                  

(刑事施設における過剰収容状況については、「平成16年版 犯罪白書」「第3章 成人矯正の動向と課題」 「第1節 過剰収容の深刻化-過剰収容とはどういうことか」「1過剰収容の現状」以下を参照ください。)

 

犯罪白書には刑事施設の収容人数が載っていますが、「平成27年度版 犯罪白書」には下に引用したグラフが掲載されています。

昭和20年(1945年)から平成26年(2014年)までの69年間の推移です。

刑事訴訟法が改正された平成16年(2004年)は、未決拘禁者も急増中でしたが、平成18年の8万人をピークに、減少が続いていて平成26年(2014年)は6万人程度になっていること、平成13年(2000年)頃と 同水準になっていることがわかります。 

 過剰収容が緩和されたので、事件処理を急ぐ必要が薄れ、即決裁判手続の件数も減少したというわけではないのですね。

 

 刑事施設の年末収容人員(昭和21~平成26年).jpeg


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