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弁護士への第三者情報の提供と個人情報保護法(1) [豆知識]

 弁護士が事件処理を依頼された際、依頼者が保有する第三の情報の提供を受けることがあります。この場合、依頼者の弁護士への情報提供が個人情報保護法23条1項の第三者提供となるのでないかが、弁護士会の会合で議論となったことがあります。 

個人情報保護法23条1項は「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」と 規定していますが、弁護士がここに言う「第三者」に該当することになるのかを議論しているわけです。

個人情報保護法に関しては、色々な省庁が事業分野別に40余りの「ガイドライン」が策定しているが、どのガイドラインも、個人情報保護法23条1項の「第三者」とは「個人データを提供しようとする個人情報取扱事業者及び当該個人データに係る本人のいずれにも該当しないものをいい、自然人、法人その他の団体を問わない。」と言う定義が書かれているだけです(http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/gaidorainkentou.html)。

そのためガイドラインを読むだけでは、「第三者」となるかは分かりません。 

むしろ、ガイドラインの表現どおりの理解では、事件処理を委任した弁護士も「第三者」に該当することになってしまいますが、その結論では正しいのでしょうか? 

 直感的に誤りのような気もするのですが…  どうなんでしょう?


個人情報保護法の逐条解説(記述された内容が、本当に正しいのかどうかを私は判断する能力がありませんが、)東大教授の宇賀克也著「個人情報保護法の逐条解説」[第3版]の118頁には、「弁護士が個人情報取扱事業者の代理人として個人データを利用する場合や、公認会計士が監査のために個人情報取扱事業者の個人データを利用する場合には、ここでいう第三者への提供にあたらない。」と記述されています。

つまり、依頼者が、代理人である弁護士に第三者の情報の提供をすることは第三者提供に当たらないから、第三者の同意なくして弁護士に提供してもよいと書かれているというわけです。

あなたが、依頼者から第三者の情報の提供を受けた弁護士でしたなら、「第三者の同意なくして、依頼者から第三者情報の提供を受けることは、個人情報保護法違反だ」とのクレームを受けた際には、「東大教授が書いた本に、弁護士が個人情報取扱事業者の代理人として個人データを利用する場合には、第三者提供とはならないと書いてある」と言ってやりましょう。

なんせ、文献的根拠があるわけですから。

弁護士稼業をして行くうえで、おまじないとして使える豆知識ではないですか?


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