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株式会社は激増 ? [はてな?]

「事業を始めるなら『事業協同組合』が絶対お得です!」という本を読んでたら、

2006年に法律が変わり、株式会社は1人で設立できるようになりました。

以前なら、株式会社で1000万円、有限会社で300万円必要だった資本金は不要になり、とても気軽に設立できるようになったのです。

さらに、新規で有限会社が設立できなったことにより、有限会社からの以降を含め株式会社数は激増しました。

と何気なく本文に書いてあり、脚註には、

法律が変わり

「会社法」 2006年6月29日国会可決。商法「第2編会社」、有限会社法、商法特例法はすべて会社法に吸収。大きな変化が生じた。

この改正を受け、中小企業組合制度も大きく変わった。

株式会社数は激増

2004年に150万7245社でずっと横ばいだった株式会社の数は、2006年度には257万1304社と、100万社以上増加した。

と解説されていました。

私は「えぇ~、そんなことになっとったんか。知らんかったなぁ。」と最初は、単純にびっくりしました。

が、少し経って冷静になって考えてみて、「株式会社が急に100万社も増えるなんて、おかしないか?」と思い直し、調べて見ることにしました。

法人登記事務は法務省が所管しているので、登記された法人の統計は法務省が集計しているのではないかと思ってしまいます。 

しかし、おかしなことですが法務省は、組織別法人数の統計を取っていません。 

国税庁長官官房総務課が「会社標本調査結果」という統計情報を毎年発表し、その中で、組織別法人数の集計結果を公表しています。

この会社兵法調査結果が、組織別法人数を探る手掛かりとなります。

下図は、平成21年度分と平成17年度分の「組織別・資本金回収別法人数」の図を並べたもので、上で平成21年度分、下が平成17年度分のそれになります。

合成.jpg

図を見てみると、確かに平成17年度では、104万社であった株式会社が、21年度では252万社になっています。

株式会社数は、100万社ではなく、150万社の増加です。

でも、図をよくよく見てみると、平成17年には『有限会社』の名前がありますが、平成21年の中にはその名前が見当たりません。

ここで、恐竜の頭の私も、やっと気付きました。

「有限会社分の145万社が、株式会社の数に振り替わっているだけじゃん」 

会社法の改正で、有限会社は株式会社として存続することとなりました。有限会社は株式会社となったわけです。

145万社あった有限会社は、統計上、株式会社としてカウントされることになったわけです。

法律が代わり、株式会社数が激増したことは間違いではありませんが…。

ですが、激増の理由は、法改正により、有限会社が株式会社に振り替わったためです。

平成17年度では、「株式会社+有限会社」の総数が249万社でしたが、その数は平成21年度の株式会社の総数252万社と、ほとんど変わりません。

「新規に有限会社を設立できなくなったことにより、株式会社が増えた」というのは間違いです。

株式会社が激増というのは、ちょっとミスリードと言わざるを得ませんね。

最後に、有限会社が株式会社として扱われる根拠について補足をさせていだたきますが、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年7月26日法律第87号)(「整備法」と呼ばれているもの)は、第2条1項で、

第2条

1    前条第3号の規定による廃止前の有限会社法の規定による有限会社であっててこの法律の際に存するものは、この法律の施行の日以後は、この節の定めるところにより、会社法(平成17年法律第86号)の規定による株式会社として存続するものとする。

と規定しているからです。


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