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花博記念協会 (1) [検討]

大阪では、大阪府や大阪市などが出資する財団法人「国際花と緑の博覧会記念協会」(花博記念協会、同市鶴見区)が、資産運用に失敗して約14億円の含み損を出した問題で、大阪府と大阪市が花博記念協会に、出資金と寄付金を返還せよと求めていますが、

この問題は、大阪府の監査委員が今年2月24日に監査結果を公表し、「協会役員の経営責任は免れ得ない」と指摘したことが直接の火種となっています。

多少下火となったかもしれませんが、それでも現在も、鎮火することはなく、燻っています(2月24日の朝日デジタル「大阪の花博協会、14億円評価損 仕組み債への投資響く」、4月28日の産経ニュース「〝天下り〟元官僚VS府市、全面対決 花博協会、14億円含み損問題で火花」)。

これらの新聞の元ネタは、「大阪府監査委員告示第9号」という大阪府の監査委員の監査結果となりますが、この告示第9号では、監査委員の監査結果に対して、大阪府の都市整備部が意見を述べるという体裁を採っていて、何が言いたいのかがストレートには分かりません。

都市整備部の意見の一部を引用しますが、意見では、

花博記念協会は、基本財産と記念基金を元手にした資産運用収入により事業費及び管理費を賄っており、運用資産の保全と運用収入の確保は重要な経営事項である。

運用資産の45%を占める仕組債の時価が大幅に下落したことから、平成22年度末において保有有価証券に14億円もの評価損が発生している。

また多くの仕組債は為替変動の影響を受けて運用利回りが0%又は1%未満の低水準にあり、運用収入が減少傾向にある。

記念基金等の運用益から事業費及び管理費を捻出するという花博記念協会にとって資産運用は安全性と収益性のバランスが重要であるが、

元本保証のない、為替レートの動向で償還額や運用利回りが大きく影響を受ける仕組債に投資した結果、現状は収益が上がらずリスクだけが高いハイリスク・ローリターンの運用状況となっている。

等といった内容が述べられています。

でも、花博記念協会に関する基礎知識がないと、都市整備部の意見からは、花博記念協会が仕組債での資産運用に失敗し、健全な運営が出来なくなっているという程度の理解しが出来ません。

どの程度、協会が危機的な状態なのかなど、全く分かりません。

何のための監査結果の報告なのでしょうか。本当、腹が立ちますね。 

そこで、花博記念協会は、当然、ホームページを立ち上げていますので、協会のホームページをチェックして、協会のアウトラインの把握です。

さすが、官立の財団法人。花博記念協会はホームページで「平成22年度事業報告書及び財務諸表等」を公開しています(但し、単年度分だけ)。

協会のこの平成22年度事業報告書及び財務諸表等から、事業年度が4月1日から3月31日までのことで、平成22年度とは平成22年4月1日から翌23年3月31日までのことだということと、

協会が平成23年3月31日時点で約91億円の資産を保有していることぐらいは分かりました。多少の前進です。

いよいよ、次に、新聞の内容のチェックです。

新聞検索で、全国紙を読み比べてましたが、

新聞報道の中では、「『花博協会』14億円の評価損 ハイリスク『仕組み債』で 」という2月24日の朝日新聞の大阪朝刊の記事が内容的に一番充実しているようです。

この朝日の記事は要約すると、

  1. 花博協会は、平成3年11月1日に設立。
  2. 花博の剰余金62億円と、大阪府と大阪市の寄附各15億円などを運用して事業費に当てている。
  3. 監査結果によると、「仕組債」に47億円を投資。
  4. 平成23年3月31日時点で21億円の評価損が発生。
  5. 他の有価証券の含み益で補っても、試算全体で14億円の評価損となっている。
  6. 利回りも当初の5~8%から8銘柄がゼロ、3銘柄が1%未満に低下。
  7. 協会は運用収入が大幅に減り、平成22年度決算が約1億円の赤字となった

というものでした。

花博記念協会の仕組債の問題も、無理して高収益を目指したために、虎の子の資産の大部分がデリバティブに汚染されてしまい、元手の多くを失っただけでなく、デリバティブの清算も出来なくなってしまっている、というよくある問題であることが掴めました。

デリバティブまみれになってしまっている、花博記念協会側が、どんな言い訳をしているかについて関心が及びますが、それは次回にします。


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