花博記念協会 (2) 「専務理事の言い草」 [検討]
財団法人「国際花と緑の博覧会記念協会」(花博記念協会)の14億円の含み損問題で、
花博記念協会の日尾野専務理事は、産経新聞の取材に対し、次のように述べています(4月28日の記事「天下り〟元官僚VS府市、全面対決 花博協会、14億円含み損問題で火花」)
(記者) 府監査委員は高リスクな外国債券の購入が不適切だと指摘したが
(理事) リスクが高いのは事実だが、ルール違反をしたわけではない。含み損の原因はリーマンショックや急激な円高だ。
(記者) 府や市から解散や出資金返還を求められた
(理事) 出資金の根っこは税金だが、補助金を受けているわけではなく出資金を返す返さないという話ではない。
(記者) 約1400万円の報酬は高すぎないか
(理事) 見直しで今年度から1割減を決めた。ただ、民間の人がこの額で専務理事を引き受けるかといえば疑問だ。民間で仕事のできる人を引っ張ってきたら2千万円でも来ないだろう。
日尾野専務理事とは、花博記念協会のホームページによると、フルネームは日尾野興一氏、前職は前近畿中国森林管理局長だったということです。
協会では、常勤の専務理事を務められています(「財団法人国際花と緑の博覧会記念協会概要」)。
協会の法人登記簿では、日尾野氏の理事の就任日は平成20年4月1日となっています。
想像しますに、日尾野氏は、前任の専務理事の方と入れ代わりで、平成20年4月1日付で協会の専務理事に就任なされ、専務理事を4期務め、この4月からは5期目に突入、という状況におありなんだろうと思われます。
この日尾野氏は、ググってみますと、昭和27年1月生まれで60歳、東大卒業後、農林省に入省されたキャリア官僚の方のようですが、退官された時期までは確認できませんでした。
いずれにせよ、日尾野氏は、花博記念協会へ天下りです。
日尾野氏は、デリバティブの購入について、「ルール違反をしたわけではない」、「含み損の原因はリーマンショックや急激な円高だ」と、開き直った発言をされていますが、
日尾野氏自身は、協会のデリバティブ購入には全く関与されていないようです。
協会の専務理事という立場上、日尾野氏は、本意ではないにしろ、「ルール違反をしたわけではない」とか「含み損の原因はリーマンショックや急激な円高だ」と強弁せざるを得なかったことは、十分理解できるところです。
そのため、そう発言されたのでしょう。
花博記念協会のデリバティブ汚染は平成20年より、ずっと前から始まっていました。
大阪市は、平成20年に発表した包括外部監査の結果において、平成19年度時点で花博協会が、仕組債を45億97百万円購入し、ハイリスク商品でハイリターンを獲得し続ける運用体制にあることを既に指摘してました( 「包括外部監査の概要」20~21頁)。
協会のデリバティブ汚染は、5年以上前から進んでいたわけです。
しかしながら、日尾野氏の発言のうち、「見直しで今年度から1割減を決めた。ただ、民間の人がこの額で専務理事を引き受けるかといえば疑問だ。民間で仕事のできる人を引っ張ってきたら2千万円でも来ないだろう。」と発言されたようですが、これはいただけません。
1千万円の報酬で専務理事を公募すれば、日尾野氏と同様に、相当、優秀な方が得られるのではないでしょうか。
産経の記者は、日尾野氏に対し「約1400万円の報酬は高すぎないか」といい質問をしていますが、これは協会が発表している「役員報酬等について」を見てたから出た質問だと思われます。
花博記念協会が発表している、この「役員報酬等について」では、平成22年度の年額の役員報酬額を、
- 理事長 1,200,000円
- 専務理事 13,760,000円
- 常務理事 9,870,000円
としたと書いてあります。
産経の記者はこれをみて、日尾野専務理事の報酬約1400万円が高すぎるのではないかと質問したと思いますが、
惜しかったですが、踏み込み不足です。
専務理事については、役員報酬額とは別に、年額516万円の退職手当金が積み立てられていくことになっていて、それも報酬と同じだと見れば、報酬額は1900万円ということになります。
日尾野氏は、産経の記者が「役員報酬等について」を見ていることに気付いて、
先回りして、「民間の人がこの額で専務理事を引き受けるかといえば疑問だ。民間で仕事のできる人を引っ張ってきたら2千万円でも来ないだろう。」
と発言をされたのでしょう。
この気の回し方というか、危険の察知能力の高さは、流石ですね。
産経の記者も、日尾野氏が、なぜ、急に2000万円が云々と言い出したんだろうと思わなかったんでしょうか。
日尾野氏は、花博記念協会の専務理事を、いつかの時点で退職され、どこか他の団体に天下りされるのでしょうが、協会退職時には、500万円×勤続年数分の退職金を、(退職所得控除のおかげで、余り税金を支払うことなく、)頂戴なされることになるわけで、本当にうらやましいですね。
(注記) 消線部分は誤りでありましたので、平成24年5月17日に訂正をしました。
「協会退職時には、500万円×勤続年数分の退職金を、(退職所得控除のおかげで、余り税金を支払うことなく、)」は、誤り。516万円は、就任した時から22年度末までの合計額です。まともな弁護士だったら、記述は正確にしてください。
by 太郎 (2012-05-15 19:22)
太郎さんから「『協会退職時には、500万円×勤続年数分の退職金を、(退職所得控除のおかげで、余り税金を支払うことなく、)』は、誤り。」と指摘をお受けしました。
この「誤り」だとのご指摘は、産経ニュースの5月14日の松井知事のコメントを根拠とされているものと思いますが、松井知事のコメントか、あるいは記者のコメントの引用が誤っているんではないか、と私は思っています。
詳細は、5月16日のブログに書きます。
by tomo-law (2012-05-16 09:25)
産経ニュースとは関係ありません。協会に退職金に係る規定を照会していただければ、お解りいただけると思います。勝手な推測はいかがなものでしょうか。
by 太郎 (2012-05-16 20:21)
太郎さん、ご立腹させましたことをお詫びいたします。今後、根拠のない推測と誤解をされないように注意をするよういたします。
もし、よろしければ、退職金規程が、どう規定をしているのか、お教えいただけないでしょうか?
by tomo-law (2012-05-16 21:41)