懲戒処分の指針について [検討]
人事院は、「懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職-68)(人事院事務総長発) 」を作成し、府省庁が職員に懲戒処分を付する際における処分量定の参考指針を示しています。
昨日、東京地検特捜部の田代政弘検事が虚偽の捜査報告書を作成した件について、
佐久間元特捜部長に対し人事上の処分、具体的には、訓告処分とするか、国家公務員法に基づく懲戒処分とするかについて最終調整を進めている
と産経ニュースが報じたことをブログにしました。
人事院が作成した「懲戒処分の指針について」の「第2 標準例」の「5 監督責任関係」では、
5 監督責任関係
(1) 指導監督不適正
部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた職員は、減給又は戒告とする。
(2) 非行の隠ぺい、黙認
部下職員の非違行為を知得したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認した職員は、停職又は減給とする。
と規定しています。
この「5 監督責任関係(1)指導監督不適正」で定める指針に準拠して、佐久間元部長に懲戒処分が科されることになったのであれば、
佐久間元特捜部長には、部下の田代検事が懲戒処分を受けたことについて、田代検事の管理監督者としての指導監督に適正を欠いていた
と判定されたことになります。
ところで、佐久間元特捜部長には、国家公務員法に基づく懲戒処分の可能性のほかに、法務省の内規に基づく訓告処分が科される可能もあるとの報道でした。
ところで、「訓告」とは懲戒処分までには至らない非違行為を対象とした内規に基づく措置でした。
そのため、もし、仮に、佐久間元特捜部長に「訓告」が科されることになったのであれば、
佐久間元特捜部長には、部下である田代検事の指導監督に不適正があるものの、指導監督の不適正の程度は、懲戒処分を受けるまでのものではない
と判定されたことになります。
「 懲戒処分を受けた部下の指導監督に不適正はあるが、その不適正さの程度は懲戒処分を受けるまでのものではない」という、指導監督不適正のレベル(ないし程度)が概念として存在するの間違いなく、否定の余地はありません。
でも、実際にはどうなんでしょう。
何か、私には言葉の遊びのような気がします。
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