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民事第一審訴訟(過払金等以外)の終局区分別の事件数 [検討]

最高裁は、今月12日に「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第5回)」を公表しました。

この「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」では、

司法統計年報からは窺い知ることができない、興味深いデータを提供していてくれていることに気付きました。

と言うのは、この「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」では、第3回の報告書以降、

地方裁判所における通常訴訟事件及び人事訴訟事件のことを「民事第一審訴訟事件」と称し、

この「民事第一審訴訟事件」のうち、多くの過払金返還請求訴訟が含まれる事件類型を「民事第一審訴訟(過払金等)」という統計データとし、「民事第一審訴訟事件」からこれを除外した統計データである「民事第一審訴訟(過払金等以外)」と区分した、

データを提供していてくれるからです。

「民事第一審訴訟事件」の既済件数の総数は、司法統計年報からも件数を確認することはできます。

しかし、司法統計年報は、民事第一審訴訟を、

「民事第一審訴訟(過払金等)」と「民事第一審訴訟(過払金等以外)」とに分けたデータを提供してくれているわけではありません。

そのため、司法統計年報からは、過払い事件とそうでない事件のそれぞれの件数が何件であるかは分かりません。

「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」は、司法統計年法からは分からないそれを提供してくれているというわけです。

 

下のグラフは、民事第一審訴訟の既済件数の推移を表したもので、「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第5回)概要3頁」から引用させていただきました。

このグラフは、平成24年の場合を例にすると、

全地方裁判所で処理された民事訴訟の既済件数は、総数が168,230件。うち、「民事第一審訴訟(過払金等)」は 77,670件であり、

他方、過払い事件でない、「民事第一審訴訟(過払金等以外)」は 90,560件 であったということです。

 

過払い以外の民事訴訟事件は、全国の地裁で平成24年に 90,560件処理されたということです。

平成15年以降の10年の民事第一審訴訟の事件数の推移を見てみますと、

巷間、民事訴訟が減ったと言われますが、過払い以外の事件数は、多少の波はありますが、減っているというわけでもなさそうです。

 民事第一審訴訟既済件数の推移.jpg

 

次に、 民事第一審訴訟の終局区分別の事件割合や事件数がどうなっているかですが、これも「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第5回)」が、データを提供していてくれています。

過払い以外の民事第一審訴訟は、平成24年は90,560件でしたが、判決(対面)、判決(欠席)、和解、取下げ、その他の 各件数は、下の「民事第一審訴訟(過払金等以外) 終局区分別の事件数・事件割合」のとおりとなります。

それを円グラフで表すと下の「民事第一審訴訟(過払金等以外)の終局区分別の事件割合」のとおりとなりました。

 円グラフ(第一審民事訴訟の終局区分別事件割合.jpg

データ(第一審民事訴訟の終局区分別の事件数).jpg

 

(補足)

なお、「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」では、下のように、「判決」の中の、「うち対席」のみのデータを提示しています。

しかし、判決の中で、「うち対席」でないものが、何を指しているのかを定義していません。

そのため、「対席でない判決」とは、「欠席判決」のことであるとして、終局事件数・割合を整理しています。 

 民事第一審訴訟終局区分別の事件数・割合.jpg


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