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設計監理受託契約の締結前の重要事項説明 [感想]

平成17年(2005年)11月に発覚した、姉歯建築士の耐震強度偽装事件を受けて、翌年、建築基準法と建築士法が改正されることになりました(建築基準法の改正法の概要については北海道庁HPの「平成18年建築基準法等改正概要」、建築士法の改正法の概要については群馬県HPの「【建築士法】平成20年11月28日施行の改正建築士法について」をそれぞれ参照して下さい。)。

 

建築士法の改正では「 建築士事務所の業務の適正化」が柱の一つで、 (1) 管理建築士の要件強化 、(2) 設計又は工事監理の再委託の制限、(3) 設計又は工事監理の受託契約に関する重要事項説明の実施 をさせる改正がなされることになりました。

そのうちの「設計又は工事監理の受託契約に関する重要事項説明の実施」ですが、

国土交通省住宅局建築指導課監修「平成18年12月改正建築士法の解説」20~21頁では、

〈改正の趣旨〉

建築主が設計又は工事監理を委託するにあたっては、その具体的な内容について十分に理解をし、確認した上で契約を締結することが望ましいといえます。

しかしながら、実際上、一般消費者である建築主は設計等に関する十分な知識を持ち合わせていないことをが多く、また、宅地建物取引業者など専門的な知識のある建築主であっても、今日の建築設計における専門分化を背景に重層的な分業体制が常態する中、設計等の詳細な内容や業務体制について適切な把握をすることは困難な状況にあるため、建築主が契約について十分な理解しないまま契約を締結してしまうこともあり、これが後になって紛争の要因になったり、予期せぬ損害の発生に繋がるケースがあります。

このような契約をめぐる紛争等を未然に防止するためには、契約の締結に際し、建築主に設計等の内容や業務体制等が的確に示されることが必要であり、このため、建築士事務所の開設者に対し、設計又は工事監理の受託契約の契約締結前に、管理建築士等にこれらの事項を説明させることを義務付けることとします。

との説明がなされています。   

これを読んで、私は不動産取引の際の重要事項説明と同様、設計監理契約の受託前に重要事項説明がなされることによって、建築主の保護が図られることになるのだと理解をしました。

 

ですが、私の理解は誤りでした。

最初に、設計監理受託契約の締結前に交付される重要事項説明書を見せてもらったとき、「これだけですか」と素直に驚きました。

一般社団日本建築士事務所協会連合会のホームページに、四会推奨標準様式「重要事項説明書」の説明記載例 が載っていますので、それを見ていただけば、私が驚いたのを理解していただけるのではないでしょうか。 

ちなみに、工事監理契約のひな型はこちらです。重要事項説明書と内容的にどれだけ違うというのでしょうか。

 

なお、参考に、不動産取引時の重要事項説明書の記載例を示しておきますが、このようなもの です。

建築士事務所が報酬の取りっぱぐれがないようにするための改正で、建築士事務所は改正で肥え太ったのではないかと勘繰ってしまった記憶が蘇ってきました。

 


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