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残業月80時間以上の事業場へ立ち入り調査の基準を拡大 [検討]

政府は、長時間労働に歯止めをかけるために、1カ月の残業が100時間に達した場合に行う労働基準監督署の立ち入り調査の基準を月80時間に引き下げる方向だということです(日本経済新聞2016年3月24日「残業80時間で立ち入り調査  対象、300万人に拡大」)。
   
現状において、1カ月80時間以上の残業をしている常勤労働者は約300万人いて、労働基準監督署がこれまで立ち入り調査の調査対象としていた、100時間超の常勤労働者約110万人から、対象者が190万人増え、
 
調査対象事業場についても(記事では100時間超の事業場数が書いてないため分かりませんが、) 20万超 になるといういことです。 
   
 
労働基準監督署の定期的な立ち入り調査は、記事にあるように、平成26年(2014年)で12万9881件でした。
 
厚生労働白書で、労働基準監督官の定期監督件数を確認してみたところ、最近は年間10~14万件ほどです(平成27年版厚生労働白書 資料編4 労働条件労使関係」)。
   
  
どうやって残業次回月80時間の事業場 20万超の立ち入り検査を こなすのだろうかと一瞬、疑問が生じましたが、それは大間違いでした。
   
記事には、
    
「実際は労基署の監督官の数が限られるため従業員による通報などを通じて悪質な企業を把握し、重点調査する」 
 
と ちゃんと書いてあります。
   
年度内に全事業場の立ち入り調査をするというわけでなく、残業時間月80時間の、20万超ある事業場のうち、重点調査先となる事業場への調査を行うということです。
 
現時点での労働基準監督官の人数の下でも調査は十分可能です。
   
網の目の粗さをどうするかという問題はあるのでしょうが。

        
    

厚労省が2010年7月1日の省内事業仕分けにおいて「労働基準監督業務」を仕分け対象とした際に提出している「労働基準監督業務について《事務・事業説明資料》という資料の中に、「監督策定の具体例(A局B署)」」と題したポンチ図(下図はそれの引用)が載っています。
 
労働基準監督の計画策定を説明した資料ということになりますが、この図から、、
 
労働基準監督署に所属する労働基準監督官の総業務量を、定期監督を含む各業務ごとに業務量を割り付ける。
   
定期監督分の監督件数については、考慮すべき事情を勘案して、重点対象ごとに件数を設定していく。、
 
というようにして計画が策定されることが理解できます。 
 
 
 監督計画の策定の具体例.jpeg
 
 
残業時間月80時間以上の事業場の定期監督であれば、 
 
管内の残業時間80時間以上の事業場のうち、「従業員による通報があった事業所  〇〇件」というよに、立ち入り検査をする定期監督の件数についての計画を立て、その計画に基づいて調査を実施していく
  
ということになるわけですね。
     
 

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