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ハンセン病特別法廷 最高裁、違法を認めて 謝罪 [検討]

最高裁が、ハンセン病患者の刑事裁判を療養施設に設けた「特別法廷」で開廷していた問題について、「社会の偏見や差別の助長につながった。患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、お詫(わ)びする」と謝罪した、ということです(朝日新聞DIGITAL2016年4月25日「最高裁、謝罪したが違憲性は認めず ハンセン病特別法廷」)。
     
    
    
    
最高裁事務総局が委員会を開催し、有識者の意見を聞いた上で調査報告書を公表し、その調査結果に関し,最高裁判所裁判官会議が談話を発表した
   
ということで、それを新聞等が報道しているということになるようです。
     
    
ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する報告書」は最高裁判所事務総局を作成者とした報告書ということになりますが、
   
「第六 総括」「1 まとめ」(58、59頁)の箇所では、要約すると、
 
 
昭和23年2月13日の最高裁判所裁判官会議で、ハンセン病患者を被告人とする下級裁判所の刑事事件につき,裁判所以外の場所において法廷を開かせることについては,事務総局に処理させる旨の議決がなされた。
   
この専決権限の付与は法に適合しないものではないが,遅くとも昭和35年以降においては,当事がハンセン病に罹患していることが確認できれば,原則として開廷場所の指の上申を認可するという,専決の前提となった運用が相当性を欠く状況になっていた。
   
事務総局が,遅くとも同年以降,専決の前提となた状況が変化し運用の考え方が相当性を欠く状況になっていたことを裁判官会議に諮ることなく,その後も専決権限を行使し続けたことは相当ではなかったと考えられる。
   
開廷場所の指定は,指定する場合の開廷場所の特定方法及び開廷場所指定の内部手続において相当でない点があり,また,裁判所外での開廷の必要性の認定判断の運用は,遅くとも昭和35年以降,裁判所法69条2項に違反するものであった。
 
ということが述べられています。その上で報告書には、 
    
「このような誤った指定の運用が,ハンセン病患者に対する偏見,差別を助長することにつながるものになったこと,さらには,当事者であるハンセン病患の人格と尊厳を傷つけるものであったことを深く反省し,お詫び申し上げる。 」 
      
と書いてあります。
       
 
なんと、報告書で、最高裁事務総局が謝罪しています。
      
    
記者会見の映像を見ていて、どうして最高裁長官ではなく、事務総長が出てきて記者会見をし、謝罪の言辞を述べているのかしらんと思っていましたが、謎が解けました。
   
報告書において最高裁事務総局が謝罪をしていたから、そのトップの事務総長が謝罪したということか(記者会見の模様は、YouTubeのANNnewsCH「最高裁が"違法"認め謝罪  ハンセン病特別法廷(16/4/25)」、KYODO NEWS「ハンセン病隔離法廷『違法』と謝罪 最高裁、憲法判断は示さず」参照してみて下さい。)。
                                 
     

そのような前提で、最高裁判所裁判官会議談話、
  
「ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する調査報告書」を公表するに当たり,同報告書に示されたとおりハンセン病に罹患された方々への裁判所による違法な扱いがなされたことにつき,ここに反省の思いを表すものです。
 
長きにわたる開廷場所の指定についての誤った差別的な姿勢は,当事者となられた方々の基本的人権と裁判というものの在り方を揺るがす性格のものでした。国民の基本的人権を擁護するために柱となるべき立場にありながら,このような姿勢に基づく運用を続けたことにつき,司法行政を担う最高裁判所裁判官会議としてその責任を痛感します。
    
これを機に,司法行政に取り組むに当たってのあるべき姿勢を再確認するとともに,今後,有識者委員会からの提言を踏まえ,諸施策を検討して体制づくりに努め,必要な措置を,速やかに,かつ,着実に実施してまいります。
    
ハンセン病に罹患された患者・元患者の方々はもとより,御家族など関係の方々には,ここに至った時間の長さを含め,心からお詫びを申し上げる次第です。」
   
を読み返してみると、専決権限を与えた事務総局に対して 監督不行き届きがあったことを 謝っているだけにすぎないようにも読めます。
   
    
 
来週5月3日は憲法記念日で、恒例の最高裁長官の談話がありますが、ハンセン病の件についても何か述べられることでしょう。
      

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