保釈率は やっとこさ 半分戻し [検討]
地裁における 勾留された被告人員 と 保釈率の1949年(昭和24年)から2015年(平成27年)までのデータを簡単に見つけることができたので、それを使い作表してみました。
前回のブログ(2016年9月8日「保釈率10年で倍増」)の記事やグラフでは、簡裁を第一審とする刑事通常第一審事件における、簡裁での勾留状発布者人員と保釈許可人員を含んでいますが、今回のグラフやデータは簡裁分のそれを含んでいません。
そのため、例えば、平成17年の勾留中であった被告人の人員は、地裁分に簡裁分を含めると 8万2798人なのですが、簡裁分を含めないと 7万1552人 と開きが生じています。
とは言っても、大掴みの傾向として違いはないはずです。
前回の記事は 表右側の 破線部分の期間を 記事の題材としていたと言えますが、
昭和24年(1949年)からの全期間の傾向からすれば、「保釈率は半分戻しとなった」というところでしょうか。
保釈率10 年で倍増 [感想]
保釈率が10年で倍増したということだそうです(朝日新聞DIGITAL 2016年9月5日「保釈率10年で倍増 司法改革背景 犯罪防止も課題」)。
記事では、
最高裁のまとめによると、 刑事事件の被告が一審の判決前に保釈された件数は昨年1年間で 1万4233件で、10年前の2005年より約3800件増え、勾留された被告人の25.7%が保釈され、10年前の 12.6 %から倍増した
と報じられています。
保釈の件数が10年前から3800件増えて、保釈率が12.6%から25.7%に 13.1%増えたということですが、勾留されている被告人の数に変動がなければ、
勾留されている被告人の総数は 2万9000人(≒3800人/13.1%)ということになります。でも、勾留されている被告人の人数がそれほど少ないわけがありません。
調べてみると朝日新聞デジタルの記事は、
最高裁事務総局編「司法統計」の平成27年度司法統計の刑事事件編 「第16表 勾留・保釈関係の手続及び終局終局前後別人員-全裁判所及び最高,全高等,地方,簡易裁判所」
中の、「本年中に勾留状を発付された被告人員」と「本年中に保釈を許可された人員」のデータを使っていることが分かりました。
司法統計の平成17年度から平成27年度までのデータを使って、勾留された被告人員と保釈を許可された被告人の比率(保釈率)について作表してみると、下表のようになります。
下表に勾留されている被告人員の年度別の人数を整理して作表してみましたが、8万2798人から 5万5440人へと 購入されている被告人の人数は、2万7000人、率にして 33.0% も減少しています。
勾留されている被告人の数が3分の2に減っているため、保釈の許可を受けた人が 3800人増えただけで、保釈率が25.7%へと跳ね上がっています。
勾留されている被告人が一貫して減少していますが なぜなのでしょうか。