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法人は何社あるという理解が正しいのか [検討]

 国税庁は、誰でも法人番号を調べることできるように「法人番号公表サイト」を開設しています。この法人番号公表サイトを利用して、法人都道府県ごとの株式会社、有限会社、合名・合資・合同会社、その他別の法人を調べることが簡単にできることに気付きました。


下のグラフは、法人番号公表サイトを使い、昨日(平成30年2月16日)現在での、都道府県別に、株式、有限、合名・合資・合同、その他の法人の法人数とそれら法人の合計数を整理し作表したものです。


さすが、東京だけで全体の2割の法人があります。


法人番号公表サイト都道府県別会社数.jpg


都道府県別会社数.xlsx


全国では、株式会社 2,032,435社、有限会社 1,615,874社、合名・合資・合同会社 256,442社、その他(医療法人など) 478,389社という結果で、それらの合計は 4,383,140社 ということになりました。そんな数の、登記が閉鎖されていない現存する法人が存在していることになります。


ところで、国税庁は法人税の申告状況を公表しています。下図は、直近である「平成28年度における法人税等の申告事績」の報道資料である平成28事務年度 法人税等の申告(課税)事績の概要」4頁の一部を引用したものですが、そこでは、昨年(平成29年)6月30日現在で、


法人数が 307万9千法人があり、うち 286万1千法人が法人税申告をしている


という趣旨のことが書かれています。


国税庁 法人数.png


 



法人番号が付与されている 株式、有限、合名合資合同会社は438万社でした。なのに、法人税等の申告事績の方では 法人数が 307万9千法人になっています。


どういうことなのでしょう。法人として存在している以上は、法人税の申告義務は免れることなどできないはずではないかと考えられます(国税庁「法人税地方法人税の申告」、法人税法地方法人税法 参照)。なのに、法人数が307万法人しかないというのは合点がいかない話です。税務署(国税庁)は、法人番号が付いている法人のうちの約3分の1にあたる130万社は、登記はあるものの、企業活動はしておらず、実体がないため、存在自体を否定し、(そんなことが許されるとは思えないが、)統計上も無視しているとしか考えられません。 


法人番号が付いた法人数438万社と、法人税の申告法人の数(307万9千法人)の二者の数がなぜ相違しているのかというだけでも混乱しているわけですが、これに中小企業庁が公表している企業数を加えて考えると訳が分からないことになってしまいます。


中小企業庁が、2年前の平成28年1月29日に公表している、2014年(平成26年)における企業数は、


中小企業   380万9000社

大企業      1万1110社

    合計 382万0000社

というものでした(「中小企業・小規模事業者の数等(2014年7月時点)の集計結果を公表します」)。

全体の382万社は、法人と個人事業主の合計になるわけですが、382万社のうち法人が何社で、個人事業主が何社なのかは調べてみてもよくわかりませんでした。

中小企業庁が平成25年9月に作成している「小規模事業者の現状と課題について」3頁に、2009年(平成21年)時のデータとして、

〇 中小企業の個人事業者は243万者(58%)、会社は178万社(42%)。 

との記述が、また、平成26年4月に作成している「個人事業主を巡る状況と事業承継に係る課題について」の3頁にも、個人事業主が2009年(平成21年)時に、2,425,953人 であったことを記したグラフが掲載されています。

個人事業主は、おおよそ5割程度だとすると、2014年(平成26年)の企業数382万社の内訳は、

個人事業主  191万社

法人     191万社 

ということになりそうですが、法人の191万社という数字は、法人番号が付されている法人438万社の半分にも満たないですし、国税庁が法人税の申告法人数としている307万9千法人よりも大幅に少ない数です。

税務申告をしている法人が 286万1千法人あることは間違いないようですので、それより少ない数字を示している中小企業庁の法人企業数は全く当てにならないものとして、無視すべきものだという理解でよいのでしょう。


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特商法改正と迷惑FAX [感想]

FAXを使った通信販売の広告規制が、昨年(2017年)12月1日から始まりました(消費者庁HP「平成28年特定商取引法の改正について」参照)。

FAXの広告規制が始まってから2ヶ月が経ちました、私の事務所に来たFAX広告はこの間、1件だけでした。規制の効果が出ているようです。 


今回の特商法の FAX規制 は、迷惑FAX対策の決定版になるのではないかと一瞬、期待しましたが、実は、

一般消費者への 通信販売を目的とするFAX広告を規制している 

だけです。事業者には法律の適用がありません。


「 事業用にお使いいただけると考え、商品(サービス)のお薦めをFAXでさせていただいております」などと言い訳されてしまえば、おしまいです。


(下図は電気通信サービス向上推進協議会安心ファクシミリ推進ワーキンググループ編「2017年12月施行特定商取引法におけるファクシミリオプトイン規制のポイント」3頁から引用したもの。同ポイントで引用されている「特定商取引法に関する法律の施行について」26条について「特定商取引法に関する法律の施行について」の解説参照。)

除外.jpg


事務所に届いた 一件のFAXは、

集客でお悩みの弁護士様

と題し、インターネットを活用したネット集客を勧誘する会社のものでした。

「勇気のある会社だなぁ」と感心したので、会社のホームページを見てみたところ、複数の顧問弁護士の名前が掲載されていました。


この会社も今は、「セーフ」というリーガルオピニオンを貰ってはいても、「本当に大丈夫なのだろうか」と恐る恐るFAXを送信してきているのでしょうが、「大丈夫だった」との情報は当然のこと、速攻で伝播していくことでしょう。そのうち 迷惑FAXは 元と同じになってしまうのでしょう。

   


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