あいトリの寄付金の大部分は「企業メセナ協議会」経由であった [報告]
今年1月18日のブログ(「あいちトリエンナーレ実行委員会 2019年度財務諸表、寄付金収入一覧等」)では、愛知県から開示を受けた寄付金収入、協賛金収入、民間団体助成金収入の一覧表を掲載しました。
開示された文書から、協賛金は 4,750,000円、民間団体助成金は 2,293,170円で、寄付金は 86,872,815円で、373人から寄付があったことが 一覧表 から理解できました。
ところで、あいちトリエンナーレの検証委員会では、下記したように、津田大介芸術監督が費用負担をしていた点を検証のポイントの一つとしていました(中間報告書52頁)。
「3 1芸術監督は、自分の会社の負担で、展覧会の詳細を解説するウェブサイトを提供し、また本来は、不自由展実行委員会側が負担すべき費用の立替えを約束したが、これは不適切ではないか。」
検証委員会は、この津田氏の費用負担に関し、
「あいちトリエンナーレ実行委員会は、不自由展実行委員会と業務委託契約を締結する関係にある。その中で、芸術監督が自費とはいえ相手方の費用を負担することは、あってはならない行為である。なお、事務局も、それを知りながら黙認していたことも問題である。」
との指摘をしていました。
津田氏は、検証委員会から「芸術監督が自費とはいえ相手方の費用を負担することは、あってはならない行為である。」と厳しい指摘を受けたことに対し次のように反論されていました。
「今回政治・社会的なテーマの作品を出展希望したほかの参加作家に対しても一様に機会やリサーチャーの紹介、資金繰りやノートPCやプロジェクターなど機材の貸与を行ってきた。
その過程をキュレーター陣は皆把握している。
そのように考えるキュレーターはいないと思います。
また、複数の作家の作品をトリエンナーレ準備中に個人的に購入しており、制作や滞在費補助とした例もある。
キュレーターたちからは、作品のプランの予算が足りないことが何度も告げられ、それに対応するため6000万円以上の企業・個人協賛を集めてきている。
それを繰り返していたにも係わらず、事務局やキュレーターからは何も問題であるとは言われなかった。」(芸術監督からの意見19頁、下線は著者が付した。)
下線を付けた箇所は、津田氏の誤解を招きそうな箇所ですが、それはさておき、
津田氏はここで「6000万円以上の企業・個人協賛を集めた」と言われています。しかし、愛知県から開示された協賛金一覧には数百万程度しかありません。「6000万円以上の企業・個人協賛」があるとすると、愛知県が「寄付金」としている費目ではないかと思われますが、愛知県からの開示内容では不明です。
愛知県から開示されたのは「平成31年4月1日から令和2年3月31日までの寄付金収入に係る総勘定元帳」でした。
あいちトリエンナーレ実行委員会が作成している総勘定元帳中の「7350 寄付金収入」勘定がそれで、47頁のものです。
早速、エクセル に打ち込み整理してみました。
取引記帳は374ケですが、356ケは「公益財団法人 企業メセナ協議会 〇〇〇 『あいちトリエンナーレ2019』 助成金」を「寄付金収入」としているだけなので、コピペでそれほど手間取りませんでした。
企業メセナ協議会から あいちトリエンナーレ協議会への助成金というものが、津田氏が言っている「6000万円以上の企業・個人協賛」ということなのでしょう。
愛知県から開示を受けていた「2019年度 寄付金収入一覧」の一覧表では、373人から 86,872,815円 の寄付を受けたことになりますが、86,872,815円は、貸方欄の寄付金収入の総合計額である 87,159,565円から、371番目の取引記帳「あいちトリエンナーレ2019豊田会場実行委員会(寄付金収入)」の借方欄の 286,750円を引いた金額です。
「2019年 寄付金収入一覧」は、役所が作るものなので当然正しいと思っていましたが、間違いがあるようです。
一覧表が間違っているという前提で見てみると、寄付金の下3桁は全て「000」であることが分かり、合計額が 86,872,815円 になるわけがないということが即座に分かります。
「『寄付金勘定』には「7350 寄付金収入」勘定だけでなく、『0101 寄付金収入』という別の勘定があること」、「諸口勘定を使い、送金された資金を処理し直している」という気付きがありますが、時間がないので、今回はここまでとします。