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「請求代表者の押印を欠く委任状」 (1) [調査]

   昨年(2020年)12月13日のブログ(「直接請求事務資料」)で、愛知県選挙管理委員会から「愛知県知事解職に関する直接請求事務資料」の開示を受けたことを記事にしていたが、早いものです。

それから 8ケ月ですが、事務資料の十分な読み込みができてなかったようです。


 と言うのは、愛知県選挙管理委員会が 大村秀章愛知県知事のリコールに関して作成し、県下市町村選管へ情報提供していた「直接請求質疑応答集(R21030 時点)」という質疑応答集の開示を受けたのですが、書かれている質疑応答の内容が ちっとも腹に落ちてきません。

  愛知県選管が「委任状に請求代表者の押印がないときは、収集された署名は無効になり、補正もできない」と回答している場面が質疑応答集に何回も出てきます。

しかし、大村秀章知事のリコールでは、請求代表者の委任状は(自著でなく)記名押印です。しかも、請求代表者37人全員の判子をまとめて1回で押印できるように作成された印鑑(セット)を使っていました。

そのため「請求請求者の押印を欠く委任状」など、今回のリコールでは存在しようがないと思っていました。そのように思っていたため、愛知県選管が言う「請求代表者の押印を欠く委任状」という事実を無意識に拒絶し、受け入れることができない心理状態にあったことが、理解が進まなかった原因ではなかったのかと思っています。

  下図は、「愛知県知事解職に関する直接請求事務資料」の「第4 署名簿の審査」「3 審査の内容」の【判定基準】(形式的審査)と囲みの箇所(10、11頁)となります。

   そこに書かれているように、「請求代表者の全員によらない委任状、請求代表者の氏名の自署ないし記名押印のない委任状を添付した署名簿」は、署名簿の添付書類の内容に瑕疵があるとして、無効となってしまいます。そんなことになれば、せっかく集めた署名(簿)はパーです。 

形式的基準 - コピー.png



  下図は、仮提出された署名簿を受理した市町村選管が作成する「署名総数計算票及び署名簿点検票」です(「愛知県知事解職に関する直接請求事務資料」38頁の様式第2号)。同票には、「点検事項欄」が設けられていて、「委任状」の有無を記載する欄があるのは、委任状がない署名簿は無効と形式的審査で判定できるので審査の便宜に資するため設けられているということのでしょう。

票.png


   愛知県での大村秀章知事のリコール署名の収集時に、委任状に瑕疵があったため、多数の署名簿が無効となってしまっていようとは想像すらしてませんでした。

   しかし、それは無知であっただけのことでした。


   下図は、愛知県選管から開示を受けた、名古屋市中川区の「署名総数計算票及び署名簿点検票」のうちの署名簿番号1991番から1999番、3000番から3005番が記載されたものです。なお、名古屋市中川区の「署名総数計算票及び署名簿点検票」は CD-Rにより開示してもらいましたので、全ての内容を入手できました。

  委任状の内容ですが、ここでは委任状は、いずれも「無」となっています。つまり、署名簿15冊の署名109筆は全て無効ということになります。

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  (続く)


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