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勾留質問 [はてな?]

今朝のボ2ネタ[ボ2]の最初の見出しは、「 ■[司法]千葉地裁の勾留質問で「あり得ないミス」 書記官ではなく事務官を立ち会わせる 検察庁はやむなく被疑者七名釈放 千葉地裁は現在に至っても事実を公表せず http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120613-00000011-mai-soci 」となっていました。

この千葉地裁のニュースは、毎日新聞がスクープした、

刑事訴訟法上、裁判所書記官が立ち会わなければならない勾留質問に、千葉地裁の裁判官が今月2日に、書記官ではない事務官を立ち会わせるというミスを犯した。

地裁から手続きミスの連絡を受けた千葉地検は6日にいったん全員を釈放し、5人を再逮捕する事態になった。

千葉地裁は12日現在、ミスを公表していない。

という、裁判所の不祥事に関する記事ではありますが、

記事を読んだ私は、毎日新聞が報じていないであろう「ある事実」が気になってしようがありませんでした。

午後になっても、私の気掛かりに応えてくれる後追い記事が出てこないため、やきもきしていました。

そうしたところ、やっと、夕方になり、私の疑問に多少は応えてくれる、東京新聞の記事( 「送検の7容疑者釈放 千葉地裁 書記官不在、手続きミス」)が配信されてきました。

この東京新聞の記事によりますと、

地裁によると、刑事訴訟規則では、裁判官による勾留質問には書記官が立ち会うように定められている。

しかし、今回は事務官一人が同席し、勾留質問調書を作成していた。

地裁は五日、関係書類の確認中に手続きの不備に気づ(いた)

ということだそうで、勾留質問調書が作成されているということです。

私が気掛かりになっていた「ある事実」とは、

(1) 勾留質問調書は作成されているのか、

(2) 勾留質問調書が作成されていたとして、誰を作成名義人とした調書となっているのか、

という二つの事実でした。

私は、

(1)は、「勾留質問調書が作成されていないとすれば、あるべき調書が存在しないということで、すぐに不正が露顕してしまうことになるであろうから、勾留質問調書は作成されている」、

(2)は、「現存する他の書記官の名前を借用して勾留質問調書は作成されている」

との予想を立てていましたが、

東京新聞の記事から、(1)の勾留質問調書の作成の事実は明らかとなりましたが、(2)の勾留質問調書が誰を作成名義人として作成されているのかが明確にはなりませんでした。

今回の事務官の勾留質問の立会の件は、勾留質問調書までが作成されているということであるのであれば、

単に裁判所内部での懲戒等の処分で済まないかもしれません。

なぜなら、最悪の場合としては、有印公文書偽造罪ないし虚偽公文書作成罪に該当する犯罪が行われていた可能性もあるわけです。

報道機関には、今回の千葉の件は、うやむやにすることなく、しっかりと報じていただきたいと思います。

勾留質問調書.jpg

上図は、勾留質問調書の書式例ですが、文書の作成名義人は「裁判所書記官」となります。

(補足)

刑事訴訟規則39条1項は、勾留質問に立ち会った裁判所書記官が勾留質問調書を作成すると規定し、同条2項では、調書への記載事項を定めています。

そのため、勾留質問に立ち会った裁判所書記官が存在しない今回の千葉地裁の件で、勾留質問調書が存在するということは刑事訴訟規則の規定からはありえないことで、調書の偽造が疑われるわけです。


びっくりした [はてな?]

先程、簡易裁判所に行ってきましたが、裁判官の訴訟指揮にびっくりしました。

被告の黒子として、答弁書や準備書面の作成や書証の準備の協力をしている事件がありますが、

原告が準備書面でのこちら側の主張に対して、ちゃんと認否をせずに、自分に都合のいいことばかりを並び立ててばかりいます。

そのため痺れを切らし、今日は、被告に委任状を書いてもらって代理人として簡易裁判所の弁論期日に出頭することとなりました。

そしたら、裁判官が、弁論を終結し、判決をすると言うではありませんか。

(前回の期日では、裁判官は「次回に弁論を終結する」等何も言っていなかったということです。)

「えっ」 … 。 

心底、驚きました。

被告側はマンションの借り主ですが、原告が雨漏りと手摺りの修理をしていないので、損害賠償請求権があり、賃料請求権と相殺するとの内容の抗弁を出しています。

そして、雨漏り箇所と、手摺り部分の写真も証拠で出しています。

原告はその被告の抗弁に対して、曖昧にしか答弁していませんが、修理をしようとしていたと主張していることから、雨漏りと手摺りが修理されていないこと自体は認めている状況にあります。

私が今日代理人として出頭することになったのも、原告が被告の修補請求権が存在することを認めるのか、認めないの、曖昧な態度を続けているため、ガツンと言ってやるためでした。

「判決をする」という裁判官に対し、私は「機に熟してない」と異議を述べました。

そして、被告の今後の立証として、被告が雨漏りと手摺りを修補しているという認否をするのであれば、検証の申出をすると被告の立証予定も伝えました。

(本当は、もっと色々と過激なことも言っていますが、差し障りがありますので省略します。)

裁判官は、少し考えて、原告に対し、被告の準備書面に対して認否するかと尋ね、原告が認否をすると言うと、「では続行します」と言うではありませんか。

それだけでなく、その舌の根も乾かないうちに、私に対して「地方裁判所に訴訟を移送したいと思うが」と、水を向けて来るではありませんか。

私はきっぱりと「裁量移送の必要なし」とお答えさせていただきました。


統計数値が大幅に変更されている !! [はてな?]

金融庁は、金融機関が、中小企業や住宅ローンの借り手から、中小企業金融円滑法に基づき返済負担の軽減の申込みを受けた申込件数を、3ヶ月ごとに、「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について」として公表しています。

直近のものは、今年の3月30日に公表された「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(平成24年3月30日)」で、昨年12月末時点での申込件数を、中小企業からのものと、住宅ローンの借り手からのものに分けて集計公表しています。

その3月30日の前回の集計は、今年の1月20日に公表された「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(平成24年1月20日)」で、昨年9月末時点の申込件数となります。

下表は、平成23年1月20日に「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(平成23年1月20日)」で、中小企業が金融機関に対し貸付条件等の変更申込みをした件数として公表をしていた件数と、

同年3月30日に「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(平成23年3月30日)」で、中小企業が金融機関に対し貸付条件の変更等申込みをした件数として公表をした件数を整理し、対比したものです。

中小企業申込件数.jpg説明は不用ですね。

3月30日発表された中小企業の申込件数は、1月20日に発表されていた件数の約60%の件数に激減しています。

3月30日の申込件数の数値が正しいとすれば、それまで公表されていた申込件数の数値は

70%以上水増しされていたことになります。 

3月30日に公表された「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(平成24年3月30日)」は、2月28日に速報値が公表されていますが(「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について速報値(平成24年2月28日)」)、おおむね、3月30日公表分と同じ内容です。

したがって、1月20日以降、2月28日までの間に、申込件数が見直されたことになりますが、 金融庁からは従前公表していた申込件数から大幅に減少していることについての説明がなされた形跡がありません。

共同通信と朝日、読売で、新聞検索をしてみましたが、何も引っ掛かりません。

新聞報道された形跡もありません。

何が起こっているのか、大変不思議で、興味深いと思います。

金融庁は、金融機関が中小企業金融円滑法8条に基づき報告した内容を集計して、「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について」として公表しているだけです。

申込件数の減少は、金融庁側の理由からではなく、金融機関の報告内容が過大であったのだろうとは推測できます。

誰が、事情をお知りであれば教えて下さい。

(参考)中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律

(行政庁への報告等)

第8条

1 金融機関は、6月を超えない範囲内で主務省令で定める期間ごとに、主務省令で定めるところにより、第4条から第6条までの規定に基づいてとった措置の詳細に関する事項として主務省令で定めるものを行政庁に報告しなければならない。

2  都道府県知事は、前項の報告を受けたときは、当該報告に係る事項を内閣総理大臣その他の政令で定める大臣に通知するものとする。

 内閣総理大臣は、おおむね6月に1回、第1項の報告及び前項の通知を取りまとめ、その概要を公表するものとする。

 (お詫び)

中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(平成24年1月20日)」では、主要行等の銀行のほかに、信用金庫、信用組合等の金融機関を加えた集計結果となっていますか、「中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(平成24年3月30日)」は主要行等だけを集計しています。

それが、申込件数の大幅な差となっているだけです。

金融庁の資料から容易に読み取ることが出来ることですが、見落としていました。

そのため、間違い箇所には消し線を付しました。

(平成24年5月21日午前8時40分)


裁判員裁判の実施状況 [はてな?]

裁判員制度施行から3年を迎えるのを前に、最高裁は14日、裁判員裁判で言い渡された判決の傾向などをまとめ、公表をしました。

日経web刊の記事(「 裁判員制度、性犯罪に厳しく 施行から3年」)では、最高裁が、

制度施行以降、今年3月までに裁判員裁判で判決を受けた被告は3685人、

裁判員裁判の対象事件について、裁判員裁判と、裁判官だけの裁判(2008年までの3年間)の「全面無罪率」を比較すると、

全体では裁判員が0.5%で、裁判官の0.6%をやや下回った

と発表したとの内容となっていました。

この日経の記事では、裁判員裁判の無罪率が0.5%だったことは分かりますが、肝心な、無罪だった人が何人いるかが分かりません。

おかしな記事ですね。

そこで、日経の記事の元ネタとなる最高裁が発表した資料を調べてみることにしました。

裁判員制度のホームページの「裁判員制度の実施状況について(その2)~もっとくわしくお知りになりたい方へ~」中の「裁判員裁判の実施状況について(制度施行~平成24年1月末・速報)」が、最高裁が14日に発表したものかと思って確認をしてみましたところ、

これは今年1月末時点で整理をした資料で、今年3月末分までカバーしていないことが分かりました。

元となる最高裁の資料が見当たりません。

仕方がないので、他紙の報道内容を調べてみることにしました。

産経ニュース(「裁判員裁判、21日で施行3年 性犯罪など厳罰化 無罪率はほぼ横ばい」)では、最高裁が、

制度施行以降、今年3月までに裁判員裁判で判決が言い渡された3601人のうち、有罪は3575人、一部無罪は9人、無罪は17人だった。

無罪率は0.5%となり、18年~20年の裁判官裁判の無罪率0.6%と比較すると、わずかに減少した。

と発表したとなっています。

これで、日経の「全面無罪率」0.5%の対象である、無罪判決を受けた人が17人であることが分かりました。

「よかった、よかった」と一安心しましたところ、変なことに気付いてしまいました。

日経は「制度施行以降、今年3月までに裁判員裁判で判決を受けた被告は3685人」、産経ニュースは「制度施行以降、今年3月までに裁判員裁判で判決が言い渡された3601人」で、裁判員裁判で判決を受けた人の数が84人違っています。

「同じことを聞いて記事にしたのに、書かれている記事の内容が違う。」

大新聞でも、こんなことあるんですね。


花博記念協会 (3) 「専務理事の退職手当」 [はてな?]

5月14日の産経ニュース(「松井大阪府知事『ようやく天下り団体が一つなくなる』 花博協会専務理事辞職し後任公募」)で知りましたが、

「国際花と緑の博覧会記念協会」(花博記念協会)の日尾野興一専務理事(農林水産省出身)が6月末で辞職し、同協会が後任を公募することになった、ということです。

記事によると、松井一郎大阪府知事は、記者団に「ようやく国からの天下り団体が一つなくなる」と述べるとともに、

日尾野専務理事の退職金として、22年度までの516万円に23年度分を加えた額が支払われることに対して、「私たちも(退職金を)大幅にカットしているので、専務理事もそれでいいのではないか」とし、削減を求める意向を示した。 

との専務理事の退職金に関し考えを示されたということです。

ところで、本題ですが、この産経ニュースの記事が正しいとすると、「516万円は、日尾野専務理事の平成22年分までの退職金の総額」ということになります。

私は、 今月2日のブログ(「 花博記念協会 (2) 『専務理事の言い草』 」)で、「516万円は、日尾野専務理事の平成22年分の退職金」で、「専務理事は花博記念協会を退職する際には 500万円×勤続年数の退職金を受け取る」ことになるなどとの内容のことを書いております。

私は、一次情報である、花博記念協会の「平成22年事業報告書兼財務諸表等」で、516万円が専務理事の平成22年分の役員退職引当金であることを確認した上で、ブログを書いていました。

そのため、松井知事が「おかしなことを言っているなぁ」と思っていました。

そうしましたところ、昨日、「太郎さん」から、2日の「 花博記念協会 (2) 『専務理事の言い草』 」にコメントをいただきました。

コメントは、

「協会退職時には、500万円×勤続年数分の退職金を、(退職所得控除のおかげで、余り税金を支払うことなく、)」は、誤り。516万円は、就任した時から22年度末までの合計額です。まともな弁護士だったら、記述は正確にしてください。

by 太郎(2012-05-15 19:22)

というもので、産経ニュースの「516万円は日尾野専務理事の平成22年分までの退職金の額」との松井知事の発言が正しいという前提で、私のブログが誤っているとのお叱りの内容のものでした。

私としては、516万円が日尾野専務理事の平成22年分だけの退職金」の額であることに自信を持っています。

知事がうっかり誤ったことを言ったのか、記事が間違ったことを書いたか、のどちらかだろうぐらいにしか思っていません。

でも、産経ニュースを読んだ多くの方が誤解したままとなっていてはいけません。

また、私のブログの評判にも影響をすることになります。

そのため、差し出がましいことだとは思いますが、私なりの説明をさせていただくことにいたしました。

では、説明です。

まず、花博記念協会の「平成22年事業報告書兼財務諸表等」の「Ⅱ 財務諸表 平成22年度 自平成22年4月1日至平成23年3月31日」、「1. 一般会計」の「財務諸表の注記」の「1 重要な会計方針 ⑶ 引当金の計上時期」では、下表にも引用しましたが、

退職給付引当金

役員及び職員の退職金の支給に備えるため、役員及び職員の退職手当支給規程に基づき期末要支給額を計上している。

役員分は5,397,500円である。

と記述されています(31頁)。

 財務諸表に関する注記.jpg

この記述から、花博記念協会では、

  1. 役員に関する退職金支給規程が存在すること
  2. 役員退職金の金額を事業年度ごと合理的に見積もることができること

と理解をしていることが分かるかと思います。

ところで、「役員分の退職給付引当金5,397,500円」ですが、これは平成22年の「役員報酬等の支給額について」において、退職手当金の額が書かれている

理事長       237,500円

専務理事 5,160,000円

の2人の退職手当金の合計額ということになります(237,500円+5,160,000円=5,397,500円)。

次に公益法人会計について述べます。

公益法人における退職金引当金計上については、日本公認会計士協会が作成している「公益法人会計基準に関する実務指針(その2)」 (制定平成18年4月13日 改正平成20年10月7日)では、役員退職慰労引当金について、

公益法人会計においても効率性の把握を行うために、支給が内規等に基づいて算定され、発生の可能性が高く、金額を合理的に見積もることができる場合には、

当期に属する見積額を当期の費用として引当計上する必要がある。

とし(10頁)、一定の場合には、役員退職慰労引当金を(当該事業年度の)費用として計上しなさいとしています。

そして、費用計上する場合における「財務諸表に関する注記」に関しても、

〈注記例〉 

 役員退職慰労引当金の計上基準は、重要な会計方針として財務諸表に注記する必要がある。注記例を示すと次のとおりである。

1.  重要な会計方針

    (4) 引当金の計上基準

         ・ 役員退職慰労引当金

           役員の退職慰労金の支給に備えるため、内規に基づく期末要支給額を計上している。 

としています(同11頁)。

花博記念協会の「平成22年事業報告書兼財務諸表等」の「Ⅱ 財務諸表 平成22年度 自平成22年4月1日至平成23年3月31日」、「1. 一般会計」の「財務諸表の注記」における「退職給付引当金」に関する

退職給付引当金

役員及び職員の退職金の支給に備えるため、役員及び職員の退職手当支給規程に基づき期末要支給額を計上している。

役員分は5,397,500円である。

との記述は、「公益法人会計基準に関する実務指針」からの要請で注記されていることになります。

その注記の意味としては、

花博記念協会では、平成22年度の事業年度に、役員の退職給付引当金として5,397,500円を費用として計上しました

ということを表していることになります。

この役員の退職給付引当金5,397,500円は、前述しました、理事長の237,500円と、専務理事の5,160,000円の合計額ということになります。

説明は以上です。 

私のこの理解が正しいのであれば、

花博記念協会が、日尾野専務理事の退職手当として引き当てた516万円は、平成22年度だけのもので、平成20年度分と21年度分は含んでいない

ということになります。

産経ニュースでは、松井大阪府知事が、「日尾野専務理事の退職金として、22年度までの516万円に23年度分を加えた額が支払われることに対して、『私たちも(退職金を)大幅にカットしているので、専務理事もそれでいいのではないか』とし、削減を求める意向を示した」ということですが、 なぜ、松井知事は『22年度までの退職金が516万円』という誤ったことを言ったんでしょうね。不思議です。

もし、私のブログを見ている記者さんがお見えでしたら、松井知事に、ぜひ、ご確認していただけたならと思っています。

よろしくお願いしますね。


一時払い終身保険、トラブル急増? [はてな?]

5月8日の日経に、『一時払い終身保険、解約トラブル急増  預金と混同  高齢者ら、銀行勧誘で』という記事が掲載されました。記事は、

銀行の窓口で販売され、契約時に保険料を一括して払う「一時払い終身保険」のトラブルを巡る相談が急増している。国民生活センターへの相談件数は2009年に比べ、昨年度は約4倍。中途解約では「元本保証」されないケースが多く、定期預金と混同して契約する高齢者が目立つ。背景には銀行の窓口で気軽に契約できることがあるとみられ、同センターは注意を呼びかける。

というもので、ニュースソースは国民生活センターが先月19日に発表した「銀行窓口で勧誘された一時払い終身保険に関するトラブル -高齢者への不適切な勧誘が急増中- 」です。

毎日は先月19日に「国民生活センター:銀行の終身保険、トラブル急増」という記事を配信していたようです。 

下図は一時払い終身保険の相談件数を年度ごとに整理をしたものです。

07年以降、件数は3 → 7 → 21 → 42 →99 と伸びていることは間違いないのですが、件数は、日本全国での一年間で相談件数の相談件数です。

私などは、たった年間に42件や、99件しか相談件数がないというのは、むしろあまりトラブルがないということのように思ってしまうのですが… 。

『急増』と言って不安を煽っているとしか思えないのですが、

国民生活センターは、早期に国民への注意を喚起したのだと言われるのでしょう、多分。 

 一時払銀行窓販相談件数.jpg

国民生活センターの資料によると、2005年12月22日以降に相談があった相談者は総数が187人。

相談者の年代別分布は、80 歳以上73 件(39.2%)、70 歳代が68 件(36.6%)、60 歳代が28 件(15.1%)ということで、大部分が高齢者だということだそうです(資料8頁参照)。

「一時払い終身保険という保険商品でトラブルが発生している」という捉え方ではなく、

「銀行の高齢者に対する窓口販売の仕方に問題があり、そのためトラブルが発生している」と捉えられるべき問題ではないのかと私は考えます。

国民生活センターは2009年7月22日に「個人年金保険の銀行窓口販売に関するトラブル-高齢者を中心に相談が倍増」という発表をしています。

今回の発表では、国民生活センターは保険の銀行窓口販売に関する相談者の年齢構成がどうなっているかを公表していません。

よもや、「保険の銀行窓口販売に関する高齢者の相談は、余り増えてもいないけれども、『一時払い終身保険』の解約の相談は増えているので、新鮮味を出すために、『一時払い終身保険の解約急増」という内容で公表した」というわけではないですよね。


お役所しごと [はてな?]

今日で4月も最終日となりましたが、法令データ提供システムでは4月1日施行の法令はまだ反映されていません。

お知らせによると 

● 次回の更新予定 

時期 : 平成24年5月中旬

内容:平成24年4月1日現在の法令データ(平成24年4月1日までの官報掲載法令)

ということだそうです。

法令データ提供システムは、電子政府の一環として、システム導入されたものですが、施行日から1ケ月以上も改正が放置されたままなのは、いただけません。

法令の入力等の管理は、外注で調達しているはずなのに、どういうことなんでしょうか。

利用者不在のお役所仕事の典型かも知れません。

なお、総務省行政管理局の紹介では、電子政府について、次のように解説をしています。

電子政府の推進

政府は、国民の利便性向上と行政運営の簡素化、効率化を図るため、「電子政府推進計画」(平成18年8月決定、平成19年8月一部改定、平成20年12月一部改定)等に基づき、各種施策を推進しています。

国の行政機関が扱う申請・届出等の手続については、平成19年3月までに約1万3000種類(約94%)をオンラインで行える環境が整っています。政府は、オンライン利用の飛躍的拡大を図るため、平成20年9月に「オンライン利用拡大行動計画」を策定し、国民に広く利用されている71手続についてオンラインのメリット拡大、使い勝手の向上等の措置を集中的に講じていくとともに、電子政府に関する広報・普及、意見要望の把握や、電子政府の総合窓口(e-Gov)を活用したワンストップサービスの実現など、国民のオンライン利用を促進するための取組を重点的に推進しています。

各府省の業務・システムについては、最適化(効率化・合理化)を推進するため、84分野の最適化計画を策定したところです。政府の情報システム調達については、「情報システムに係る政府調達の基本方針」(平成19年3月決定)に基づき、分離調達の実施等、コストの低減や調達手続きの透明性を高めるため具体的取組を強力に推進しています。

 また、PDCA(Plan(計画)-Do(実施)-Check(評価)-Action(改善))サイクルによる最適化の取組や、外部有識者からなる「電子政府評価委員会」による費用対効果の観点も含めた厳正な評価など、電子政府の推進・評価体制を充実・強化していきます。


株式会社は激増 ? [はてな?]

「事業を始めるなら『事業協同組合』が絶対お得です!」という本を読んでたら、

2006年に法律が変わり、株式会社は1人で設立できるようになりました。

以前なら、株式会社で1000万円、有限会社で300万円必要だった資本金は不要になり、とても気軽に設立できるようになったのです。

さらに、新規で有限会社が設立できなったことにより、有限会社からの以降を含め株式会社数は激増しました。

と何気なく本文に書いてあり、脚註には、

法律が変わり

「会社法」 2006年6月29日国会可決。商法「第2編会社」、有限会社法、商法特例法はすべて会社法に吸収。大きな変化が生じた。

この改正を受け、中小企業組合制度も大きく変わった。

株式会社数は激増

2004年に150万7245社でずっと横ばいだった株式会社の数は、2006年度には257万1304社と、100万社以上増加した。

と解説されていました。

私は「えぇ~、そんなことになっとったんか。知らんかったなぁ。」と最初は、単純にびっくりしました。

が、少し経って冷静になって考えてみて、「株式会社が急に100万社も増えるなんて、おかしないか?」と思い直し、調べて見ることにしました。

法人登記事務は法務省が所管しているので、登記された法人の統計は法務省が集計しているのではないかと思ってしまいます。 

しかし、おかしなことですが法務省は、組織別法人数の統計を取っていません。 

国税庁長官官房総務課が「会社標本調査結果」という統計情報を毎年発表し、その中で、組織別法人数の集計結果を公表しています。

この会社兵法調査結果が、組織別法人数を探る手掛かりとなります。

下図は、平成21年度分と平成17年度分の「組織別・資本金回収別法人数」の図を並べたもので、上で平成21年度分、下が平成17年度分のそれになります。

合成.jpg

図を見てみると、確かに平成17年度では、104万社であった株式会社が、21年度では252万社になっています。

株式会社数は、100万社ではなく、150万社の増加です。

でも、図をよくよく見てみると、平成17年には『有限会社』の名前がありますが、平成21年の中にはその名前が見当たりません。

ここで、恐竜の頭の私も、やっと気付きました。

「有限会社分の145万社が、株式会社の数に振り替わっているだけじゃん」 

会社法の改正で、有限会社は株式会社として存続することとなりました。有限会社は株式会社となったわけです。

145万社あった有限会社は、統計上、株式会社としてカウントされることになったわけです。

法律が代わり、株式会社数が激増したことは間違いではありませんが…。

ですが、激増の理由は、法改正により、有限会社が株式会社に振り替わったためです。

平成17年度では、「株式会社+有限会社」の総数が249万社でしたが、その数は平成21年度の株式会社の総数252万社と、ほとんど変わりません。

「新規に有限会社を設立できなくなったことにより、株式会社が増えた」というのは間違いです。

株式会社が激増というのは、ちょっとミスリードと言わざるを得ませんね。

最後に、有限会社が株式会社として扱われる根拠について補足をさせていだたきますが、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年7月26日法律第87号)(「整備法」と呼ばれているもの)は、第2条1項で、

第2条

1    前条第3号の規定による廃止前の有限会社法の規定による有限会社であっててこの法律の際に存するものは、この法律の施行の日以後は、この節の定めるところにより、会社法(平成17年法律第86号)の規定による株式会社として存続するものとする。

と規定しているからです。


労働組合のコンプライアンス [はてな?]

昨日(7日)、大阪市交通局(職員数約6800人)が、内部調査によって、大阪交通労働組合(大交、中村義男委員長)が交通局の人事に介入していたこと、昨年11月の市長選を巡り、選挙活動への職員の関与を示す庁内電子メール延べ689件が見つかったことを発表したということです(毎日jpの8日の記事 「大阪市:労組が人事介入 交通局発表」)。

労組側のコメントは、朝日、産経、毎日の記事にはありませんでしたが、読売には載ってました(yomiuri onlineの8日の記事 「大阪市交通局 人事を労組と事前調整 内部調査で判明」)。

読売の記事では、「大交が加盟する市労働組合連合会の幹部は、『ショックを受けている。詳しいことがわからないので何とも言えない』と話した。」ということになっています。

幹部氏が「何に」ショックを受けたのか、この記事からは、はっきりしません。

私は、大阪市労働組合連合会の立場は、

「労働組合が、経営に参加していくことは許されることである。したがって、大阪交通局内の人事について大交と局側と事前調整することは、良いことではあれ、悪いことではまったくない。」、

「むしろ、大交が関与することによってこそ、交通局内の(コーポレート・)ガバナンスが図られていくことになる。」

というものだと、てっきり思っていました。

コメントを述べた幹部氏も、連合会の幹部であるわけなので、当然、「大交が交通局の人事に関与することは何も悪いことではない」という考えをお持ちだと思っていました。

そうだとすると、幹部氏がショックを受けた理由は、組合が人事に関与していた点についてではなく、その幹部氏が、カヤの外に置かれていて、「大交が交通局の人事に関与していたこと」について、何も聞いていなかった点にあったということとなります。

しかし、そんな何を聞いてなかったということはありえないでしょう。

もしかすると、私の「組合側は『人事への関与は何も悪いことではない』と理解しているはず」との理解が、間違った思い込みで、組合は「人事への関与は悪いこと」と思っているのではないかとも、思えてきました。

どちらなんでしょう?

読売の記者さんには、幹部氏にしっかりと突っ込んだ追加取材をしてもらいたいと思います。

 ちなみに、20年前ほどは、労働組合の機能は(1)相互扶助的機能、(2)経済的機能、(3)政治的機能の3つの機能があると言われていましたが、

昨今は、上の3つの機能のほかに組合の機能には「経営参加機能」もあると言われているようですね。

近畿大学の西谷敏教授の「労働組合法第2版」(3頁)では、経営参加機能について、次のように解説しています。

経営参加機能

労働組合は、様々な形で経営に参加する。ドイツのように、株式会社などの監査役会への労働組合代表の参加が法定されている国(とくに1976年共同決定法)もあるし、日本のように労使協議会が事実上その役割を果たしている国もある。

経営参加の動機のひとつは、労働条件の維持・改善のために経営のあり方に関与しようとするものであるが、今日では、より積極的な意味での労働組合参加(いわゆるコーポレートガバナンスの一環)が論じられている。

とくに、企業の犯罪行為や反社会的行動が頻発するなかで、労働組合が経営に対するチェックの機能を果たすことが社会からも強く期待されている。

労働法の世界では、「労働組合は存在自体が善である」というのが、これまでのスタンダードだったんですね。

その意味で、大阪市の職員労組の問題は、労働組合という組織自体のコンプライアンス、(コーポレート)ガバナンス、あるいは社会的責任(CSR)という労組法上の新たな研究対象を提供したという積極的な意味があると言えそうです。

野村修也先生が頑張っているのも、そのためなのではないかと思います。

ここで市労働組合連合会等側が、「組合から独立した委員のみで構成される第三者委員会を設置し、失墜した組織の信用を回復するために、徹底した事実調査と原因究明をしてもらい、第三者委員会に再発防止等を提言してもらう」と表明したら、組合も多くの人の支持を得ることができるのではないかと思いますが、そんな動きは見受けられないようです。今回は、黙ったままやり過ごすだけではすまないだろうと思いますが…。


特捜副部長の名前は匿名? [はてな?]

小沢一郎被告人の元秘書であった石川知裕衆院議員を取調べた東京地検特捜部の田代政弘検事が、実際にはないやりとりを捜査報告書に記載していたことが問題となっていますが、当時の上司だった特捜部副部長が作成した別の捜査報告書にも、問題のやりとりが引用されていたことが判明したということだそうです(26日の「朝日デジタル『虚偽供述』を上司引用 東京地検、小沢氏捜査で」) 。 

石川議員を、一昨年(2010年)5月17日に調べた結果をまとめた田代検事の捜査報告書は、同日付で作成されていたが、副部長の捜査報告書は、その2日後の同月19日付。

特捜副部長の捜査報告書は、石川議員らの供述調書をはじめとする証拠を評価し、小沢氏を起訴できるか検討した状況をまとめたもので、当時の佐久間達哉・特捜部長にあてたものだったということだそうです。

の特捜副部長の捜査報告書が検察審査会の2回目の議決に影響を与えたことは間違いないところだと言えます。

この特捜副部長は、陸山会事件の際、大阪地検特捜部から応援に駆けつけた前田元検事に『この件は特捜部と小沢の全面戦争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ。恥ずかしい話だが、東京には割り屋がいない。だから大阪に頼ることになった』と言ったという人物です(産経ニュース【小沢被告第10回公判(1)】)。

加えて、一昨年(2010年)に、石川知裕裕議員の取り調べの際、「今回は小沢氏を起訴できないが、検察審査会で必ずやられるんだ!」と予告していたと言われている人でもあります(you tube「 司法の在り方を考える議員連盟100428_4から抜粋 」)。

この特捜副部長のお名前は、ゲンダイネットの記事によると、吉田正喜検事であるとのことだそうです(昨年(2011年)4月23日ゲンダイネット「小沢裁判 呆れた特捜部長登場」)。

しかし、今回の特捜副部長の捜査報告書に関する報道で、この吉田正喜検事のお名前は、どの全国紙にも出てきません。

「吉田正喜」あるいは「吉田正喜 検事」をキーワードとして、グーグでニュース検索しても「ニュースは見つかりませんでした。」という検索結果しか表示されませんので、間違いないと思います。

では、揃いも揃って、なぜ、新聞では特捜副部長の氏名が実名報道されないのでしょう?

朝日新聞は2006年(平成18年)12月1日に「朝日新聞記者行動基準」なるものを制定していますが、この基準から、少なくとも朝日新聞が、実名報道しない理由が分かるかもしれません。そのため朝日新聞記者行動基準を検討してみました。

この朝日新聞記者行動基準の前文は、

朝日新聞綱領は、権力から独立し、言論の自由を貫き、正確で偏りのない敏速な報道によって、民主国家の完成と世界平和の確立に力をつくすことを宣言している。

この使命を達成するために、朝日新聞社で報道・評論、紙面編集に携わる者(以下、「記者」とする)は高い倫理基準を保ち、長年にわたって朝日新聞に寄せられてきた人々の信頼をいっそう高めるように努める。

この基準は、記者が自らの行動を判断する際の指針であり、記者の活動を支えるためのものである。

と、朝日新聞の使命が 「権力から独立し、言論の自由を貫き、正確で偏りのない敏速な報道によって、民主国家の完成と世界平和の確立に力をつくすこと」にあり、

「この使命を達成するために、朝日新聞社で報道・評論、紙面編集に携わる者が自らの行動を判断する際の指針であり、記者の活動を支えるために朝日新聞記者行動基準を制定したこと」を高らかに謳っています。

さすが朝日新聞、格調が高いですね。

この格調の高い前文に続き、事実報道における実名と匿名の基準を定めています。

【実名と匿名】

6. 特定の個人や法人の実名は、事実を報道するときの重要な要素であり、表記することを原則とする。この原則を堅持しつつ、個人や法人の名誉、プライバシーなどを不当に侵害することのないようにする。

7. 事件や事故の被害者、その家族について報道する際は、報道によって想定される具体的な被害を慎重に検討し、匿名を選択することもある。事件や事故の加害者は実名を原則としつつ、名誉やプライバシーに十分配慮する。

この朝日新聞が定める「特定の個人や法人の実名は、事実を報道するときの重要な要素であり、表記することを原則とする。この原則を堅持しつつ、個人や法人の名誉、プライバシーなどを不当に侵害することのないようにする。」とする朝日新聞記者行動基準からすると、特捜副部長の氏名は実名報道することになるのではないのでしょうか?

よもや、副部長の「名誉」、「プライバシー」の侵害への配慮で、匿名となるという言い分ではないと考えますが。

先日の光市の件で、朝日新聞は匿名報道から実名報道に切り替えています。朝日新聞は、

〈おことわり〉 朝日新聞はこれまで、犯行時少年だった大月被告について、少年法の趣旨を尊重し、社会復帰の可能性などに配慮して匿名で報道してきました。最高裁判決で死刑が確定する見通しとなったことを受け、実名での報道に切り替えます。国家によって生命を奪われる刑の対象者は明らかにされているべきだとの判断からです。本社は2004年、事件当時は少年でも、死刑が確定する場合、原則として実名で報道する方針を決めています。

と述べていますが、光市の元少年が実名報道であるのに対し、特捜副部長が匿名報道であることについて、ちゃんと説明できると言うのでしょうか?

誰か、朝日新聞に尋ねてみていただけないでしょうか?