SSブログ

支払督促手続の利用状況 [調査]

インターネットによる支払督促の申立てに関して調べてみたついでに、

支払督促の利用状況全体がどうなっているのかも一応、調べてみました。

下表は、平成3年から平成23年までの簡易裁判所の支払督促事件の新受件数と、

平成12年以降における東京地裁管内の簡裁の支払督促事件の新受件数を整理し、東京地裁管内の簡裁の支払督促事件の新受件数が、支払督促事件全体に占める比率を算出したものです。

また、下図は、下表のデータを グラフにしたものとなります。

元データは、裁判所のホームページの平成12年から同23年までの 司法統計 (民事・行政事件編「第5表 民事・行政事件数-事件の種類及び新受,既済,未済-全簡易裁判所及び地方裁判所管内全簡易裁判所別」の支払督促事件の新受件数全体と東京地裁管内の新受件数)です。

支払督促事件新受件数推移グラフ.jpg

 支払督促事件の新受件数推移.jpg

全く知りませんでしたが、 

支払督促事件の新受件数は、平成10年(1998年)の614,642件をピークに、

綺麗な右肩下がりで減少しています。

直近の平成23年(2011年)は 329,114件で、614,642件だった平成10年の半分ほどにまで落ち込んでいます。

減少している理由ですが、なぜ、支払督促事件が減少しているのか、簡裁内でも その理由は分析されていないようです(月報司法書士2011.8 No.474岩田和壽「ある日の簡易裁判所 督促手続編」参照)。

次に、東京地裁管内の簡裁が受け付けた支払督促事件の新受件数が、全体に占める割合ですが、

平成12年から平成18年までは 9%台 でした。

それが平成19年以降は、

11.3%(H19)→19.0%(H20)→22.9%(H21)→33.6%(H22)→37.9%(H23)

と割合が急増しています。

その理由ですが、東京簡裁が 督促オンラインシステム の事件処理をしており、処理した事件は東京簡裁の支払督促事件の新受件数になるからではないかと推測されます。

もちろん、東京地裁管内の簡裁は東京簡裁だけではありません。ほかに八王子や立川等の簡裁 もあります。

ですので、東京地裁管内の簡裁の支払督促事件の比率が増えた理由が、東京簡裁以外の東京地裁管内の簡裁の支払督促事件の増加がその原因である可能性がないではありません。

ですが、支払督促事件の減少という趨勢にあるのに、それらの簡裁だけが事件が増加するという理由を見つけるのは難しいので、その可能性は低いのではないかと思います。


検挙人員等の統計的数値 [調査]

昨日のブログの内容の流れで、

精神障害者等(精神障害者及び精神障害の疑いのある者)の方が、

殺人と放火で、毎年、何人検挙されているのかを調べてみました。

殺人と、放火について調べてみたのは、

この二つの罪名での精神障害者等の方の検挙人員総数の全検挙人員総数に占めている比率が、際立って高いことに関心を持ったからです。

昨日のブロクで述べましたが、平成23年度では、殺人では 14.3%、放火では 22.4% という比率でした。

下表は、平成元年以降における、殺人と放火の各罪名で検挙された精神障害者等の方の人員数を整理したものとなりますが、

平成2年版以降の 犯罪白書 の「精神障害者等の犯罪の動向」から数値を拾って作表したものです。

精神障害者等の方の毎年の検挙人員数は、 殺人では 97人から156人の範囲に、

また、放火では 93人から138人の範囲に、収まる結果でした。 

平均すると、精神障害者等の方は、毎年、殺人で127人、放火で 113人 検挙されていることになります。

当然、検挙に見合った数の被害者の方が存在するわけで、考えてみると、結構、怖い話です。

精神障害者等の方の検挙人員数.jpg 

(なお、平成9年版と平成12年版の犯罪白書では、「精神障害者等の犯罪の動向」の項目がありませんでした。そのため、その前年となる平成8年と平成11年についてはデータを見つけることができず、空欄となっています。)

ついでに殺人と放火の検挙人員総数に占める精神障害者等の方の比率についても、確認的に調べてみました。

それが下表です。

殺人は、7.0% から 14.3%までで、平均すると 10%程度、

放火は、11.2% から22.4%までで、平均すると15%程度で、

いずれも高率だということが分かります。

平成23年度の殺人の14.3%、放火の22.4% が一番、高率だったことにはなりますが、異常値であったわけではありません。

 検挙人員総数に占める精神障害者等の割合.jpg

殺人や放火では、毎年、同程度の人数の精神障害者等の方が検挙されていて、減少傾向は見受けられません。

間違いなのかも知れませんが、効果的な予防施策が採られていないからではないかと不安を覚えてしまいます。


地方警察官の人数 [調査]

「警察官は、団塊世代の大量退職のために、欠員の穴埋めが追いつかずに、欠員割れとなっている」と勝手に思い込んでしました。

下図は、平成5年版から23年版の警察白書で公表されている警察官の人数を集計して作表したものとなります。、

この表をから一目ですが、

都道府県警察の警察官は、平成5年は 22万0519人 だったのが、

平成23年には 25万5363人 へ、約 3万5000人 増えています。

しかも、減員など、一度もありません。着実な増員が続いています。

警察官の人数.jpg

平成21年度以降の警察白書では、読み手が誤解をするであろう表現の度合いが弱まっているように感じますので、雰囲気が出ていません。

そこで、少し古いですが、平成20年度の警察白書 の表現を引用させていただくことにいたしします。

平成20年度のそれでは、

(2)警察力強化のための取組み

地方警察官については、深刻な治安情勢に的確に対応するため、平成13年度から19年度にかけて合計2万4,230人の増員を行った。この結果、警察官一人当たりの負担人口は、12年度(増員前)の557人から、20年度は511人(人口は19年3月31日現在の住民基本台帳による。)となった。

刑法犯認知件数は、15年以降5年連続して減少し、その検挙率も上昇していることから、地方警察官の増員は、他の諸施策と併せ、犯罪の増勢に歯止めを掛け、治安の回復に効果をもたらしていると考えられる。

しかしながら、刑法犯認知件数は、減少したとはいえいまだに治安が良好であると考えられていた昭和40年代を大きく超える水準にあるなど、治安情勢は依然として厳しく、引き続き、あらゆる角度から警察力の強化に努める必要がある。

他方で、警察は本格的な大量退職期を迎えており、平成19年度の地方警察官の退職者数は、過去最高の約1万2,100人となり、また、19年度の警察官採用試験の競争倍率は7.0倍となっており、減少傾向に一応の歯止めを掛けることはできたものの、3年連続で10倍を下回っている。

警察としては、大量退職期の到来を踏まえつつ、次のような警察力強化のための取組みを強力に推進し、厳しい治安情勢に対応することとしている。
 

と述べた上で、 

 警察官の退職者数の推移と退職者予測.jpg

というグラフを載せたりしています。

こんなのを見せられて、私などは、 

「年間1万人の退職者が出るのに、志望者数は減っているために、退職による欠員を埋めるのができないんだなぁ」

と勝手に思い込んでしまっていました。

 

しかし、この誤解は、私だけでなく、多くの人が同じなのではないでしょうか。


新聞・雑誌記事検索では、メディアの収録期間に要注意 [調査]

G-Search社の「新聞・雑誌記事横断検索」で、

中日新聞が先週8日、CHUNICHI Webで報じていた

愛知県警が交通事故死者を過少計上していたニュース

を今朝(2月13日)、検索してみました。

昨日は何も引っ掛からなかったのですが、今日は、

「県警が交通死 計上漏れ 愛知 10年連続最悪に 21年間で600人」

という記事と、

「交通死計上漏れ 『愛知基準』 全国より緩く  県警  減らしたい意識根底」

という2本の記事がヒットしました。

2月13日(3).jpg

どうしてこんなことが起きるのでしょうか。

色々考えた結果、

「朝日、読売、毎日などの全国紙は、紙面掲載直後の記事まで検索することが可能だが、

ローカル紙の中日新聞では、そんな対応ができないため、

紙面掲載当日の記事は「新聞・雑誌記事横断検索」では検索できず、記事掲載日の何日か後に初めて検索できるようになっているのではないか」

という考えに行き着くました。

そこで仮説を検証してみることにしました。 

不親切極まりないことですが、中日新聞のホームページでの【記事データベース】サービスの説明には、

過去の新聞に掲載された記事

と書いてあるだけで、

いつまでの記事が検索可能なのか、何も書かれていません。

今度は、「新聞・雑誌記事横断検索」の説明画面の方を調べて見ましたが、

やはりこちらも何も書かれていません。

「困ったなぁ」と思って、実際、先程まで使っていた、ログイン後の「新聞・雑誌記事横断検索」の画面を見てみたところ、

【 新聞雑誌の収録期間 】

と書かいてある箇所があることに気付きました。

2月13日(1).jpg

 試しにこの箇所をクリックしてみました。

そうしたら、 各メディアごとに収録期間を整理した表があり、

中日新聞     1987年4月1日 ~ 2013年 2 月 9 日

         東京新聞     1997年4月1日 ~ 2013年 2 月 8 日

と書いてあることが分かりました。

この表から、

中日新聞は「先週土曜日の9日までの記事」しか検索できない (つまり、10日から13日までの直近4日間の記事は検索できない)、

東京新聞は「先週金曜日の8日までの記事」しか検索できない(つまり、9日から13日までの直近5日間の記事は検索できない)

ということが分かりました。

新聞雑誌の収録期間.jpg

昨日(12日)に、中日新聞の記事が検索できなかったのは、

昨日の時点では「先週金曜日の8日までの記事」しか検索できなかったため、

9日朝刊に掲載された愛知県警の中日新聞の記事が検索できなかったということになるようです。

なぜ、昨日検索できなかった記事を、今日検索できるようになったかという疑問は晴れました。

私は、新聞・雑誌記事横断検索では、

検索時において、掲載済となっている記事は全て検索対象となっている

と誤解していましたが、

それは、私以外の多くの方も同じではないかと思います。

サービス利用の説明のページでは、どのメディアについてはいつまでの記事が検索可能であるのかを、

教えておいていただかないと

ちょっとマズくないのではないでしょうか。


野村の 1 兆円ファンド [調査]

株価が好調のせいなのか、

野村證券が、ITバブルが弾ける直前に、1兆円を集めて運用を開始した

「1 兆円ファンド」と呼ばれていた投資信託の話題が酒席で出ました。

「今もあるのかなぁ 」という、どうでもいい話でした。

酔っぱらいらの意見は、

「半値以下になっちゃったはずだから、運用を止めちゃってるだろうなぁ」というものが大多数で、残りは分からんというものでした。

この1兆円ファンドとは、野村ホールディングス傘下の 野村アセットマネジメント(株)がファンドを運用する

「ノムラ日本株戦略ファンド」

という名称の日本株を投資対象とした追加型株式投信のことです。

ノムラ日本株戦略ファンドは、ITバブルの真っ只中の平成12年(2000年)2月に運用を開始し、

膨らむ株の値上がり期待を一身に集め、

設定前に7924億円を販売するほどの大記録を打ち立てたそうです(ブルームバーグの2010/07/23 の記事「野村の『日本株戦略ファンド』 1000億円割れ、巨大投信失われた10年 」)。

そんな絶頂で募集されたファンドは、運用開始の直後の200年3月にITバブルが崩壊してしまったことから、6割も値下がりしてしまった、不幸なファンドでした。

このファンド(投資信託)の運命ですが、

ノムラ日本株戦略ファンドの 投資信託説明書(交付目論見書)の6 頁では、

信託期間       無期限

繰上償還       受益権口数が50億口を下回った場合等は、償還となる場合があります。

となっています。

「当初元本1口=1円」と説明書には書いてありますので、ファンドの当初元本が50億円以上であれば、ノムラ日本株戦略ファンドは解散していないことになります。

野村アセットマネジメント(株)のホームページでも確認をしてみましたが、

基準価額は今日現在5,231円、ファンドの純資産額は 845.4 億円でした。

ノムラ日本株成長ファンドの基準額は当初の約半値に、ファンドの規模もは当初の12分の1となってしまっていますが、 

確かにノムラ日本株成長ファンドは生きていました(野村アセットマネジメントのホームページ・ノムラ日本株成長ファンドの最新基準価額のページ参照)。

酒席での酔っぱらいらの意見は、大体が間違いのことが多いのですが、今回もそうでした。  


すごい株の出来高 [調査]

下の図は、アイフル(株)の詳細情報ですが、ヤフーファイナンスの画面を昨日(17日)午後5時すぎにキャプチャーしたものです。

(もっとも、赤色で囲ったところと赤の矢印線の箇所だけは、私が書き加えたところですが。)

この詳細情報からは、アイフル(株)の昨日(17日)の終値が586円だったこととか、前日比+3円で引けたこととか等が分かります。

他にも、アイフル(株)の17日の出来高が 1億91万2100株 だったこととか、

同社の発行済株式総数が 2億4093万3918株 であることとかも、この詳細情報から一覧できます。

アイフル(株)の17日の出来高の、発行済株式総数に占める割合は、1億91万2100株 / 2億4093万3918株

でした。

これは、アイフル(株)の発行済株式総数の約4割が、17日の一日で、売買されたというのと同じこととなります。

すごい過熱状態になのは間違いありません。

アイフル詳細情報.jpg

アイフル(株)の出来高が余りにすごいので、

ヤフートファイナンスで、昨年12月以降の時系列データ も、この機会に確認してみました。

下の表は、昨年12月から昨日までの期間について、アイフル(株)の終値、出来高、発行済株式総数に占める出来高の割合を一覧表としたものですが、

この表から一目ですが、今年に入ってからは、発行済株式総数に占める出来高の割合は 平均で 45%程度になっていることが分かります。

その中でも、11日には53.4 %、16日にも 50.8 %という、発行済と株式総数の半分以上が1日で売買されてたりします。

すごいですねぇ。

アイフル(株)の全株式が、2日に1 回転の頻度で、売買されているわけで、とんでもないことです。

ちなみに、四季報で確認してみたところ、アイフル(株)の特定株比率は45.8%だそうですので、

浮動株比率は 54.2% いうことになります。

アイフル(株)は、1月に入って 発行済株式総数の45%が売買されているわけですが、

これは 54.2%の浮動株のうちの約8割が、毎日、売り買いされていることになります。

時系列データ.jpg

ところで、

この時系列データを整理した上の表を眺めていると、

今年に入ってから、発行済株式総数に占める出来高の割合が10ないし20%増えていることが分かります。

その比率をグラフ化してみるとよくわかりますが、昨年12月と今年1月では、グラフに示された山の形と頂き高さの状態が違っています。

昨年12月では、よく出来た日でも、やっとこさ 30 %となっている日が1日あるだけです。

他方、今年1月に入ってからは、ほとんどの日で、発行済株式総数に占める出来高の割合は45%以上。

35%の日が1日あるだけです。

12月と1月では状況が明らかに違ってます。

アイフル出来高比率.jpg

今年1月の状況については、単に、最後の過熱状態にあるだけがという意見の方もお見えでしょう。

ですが、「毎日、全ての株の半分が、売買されている状態が 1 週間以上、続いている」という事態は余りに異常です。

これまでとは環境が変わったため、そんな状態が出現することになったと理解するのが正しいのではないかと思います。

今年1月から、信用取引の証拠金規制が緩和され、

保証金を他の信用取引に利用し、1日に何度も売買できるようになりました(日経電子版の昨年10月11日の記事「信用取引の証拠金規制、13年1月から緩和 」 )。

アイフル(株)の異常な出来高ですが、 

この信用取引規制の緩和によって、デイトレーダーがアイフル(株)を頻繁に売買をし、

それによって、出来高が異常に膨んでいる

ということではないでしょうか(日経電子版の今月1月8日の記事「 出遅れ個人マネーが流入、新興株市場熱く   日経平均下落も「相場は堅調」参照)。


日常生活上の事故と弁護士費用特約 [調査]

自動車保険の弁護士費用特約を使って、弁護士費用を保険会社に出してもらうことができるかを調べるために、

損保ジャパンのホームページで、個人自動車総合保険普通保険約款及び特約のしおり

を確認することになりました。

というのは、歩行者と歩行者の衝突事故で、圧迫骨折を受傷した被害者の方からの法律相談があったからです。

相談者の方は、弁護士費用特約付きの自動車保険に加入しているのことでした。

もし、相談があった歩行者同士の衝突事故の場合にも、弁護士費用特約を使うことができるのであれば、相談者の方にとって大変ありがたいことです。

弁護士費用は損保会社に負担してもらえばよく、相談者の方は経済的な負担を考える必要がなくなるからです。

そんなわけで、損保ジャパンの弁護士費用特約の適用範囲を調査することとなったというわけです。

調査結果ですが、

損保ジャパンの場合、俗に、「もらい事故」と言われる自動車事故の被害者となった場合にだけ、弁護士費用特約が使えることになっています(特約137頁以下参照)。

相談者の場合には、損保ジャパンに弁護士費用も負担してもらうことはできません。

残念ですが、弁護士費用は自腹で負担となります。

ところで、自動車事故の場合だけしか、弁護士費用特約を使えないとしている損保会社は、損保ジャパンだけのことではありません。

大手では、

東京海上日動、あいおいニッセイ同和

も同様でした。

自動車事故の場合だけに弁護士費用特約が適用されることになっています。     

損保ジャパン一社だけが、弁護士費用特約の適用範囲を狭くしているわけではありません。

 

  

大手の損保会社では、三井住友海上が残っていますが、

この三井住友海上だけが唯一、

自動車事故の場合だけでなく、日常生活上の事故の場合にも、

弁護士費用特約を使えるようにしていました(普通保険約款・特約137頁以下参照)。

適用範囲を、日常生活上の事故まで広げているわけです。  

  

弁護士費用特約が適用される範囲については、全社横並びだろうと思ってしまうかもしれませんが、そうではないんですね。


かんぽの契約履歴 [調査]

財産調査をしないといけない案件でのことです。 

  

ゆうちょ銀行の通常貯金のお預かり金額欄に、

19-11-16  00755 送金 ×,×××,××× (保険金)

という記載がありました。

  

ゆうちょ銀行貯金事務センターなどに確認してみたところ、

この記載は、

かんぽ生保が、平成19年11月16日、保険金の支払いとして ×,×××,×××円を千代田霞が関郵便局から振込送金したこと

を表しているということが分かりました。

そこで、今度は、振り込まれた×,×××,×××円が、

どのような保険のお金なのかを調査するため、

かんぽ生命の とあるサービスセンターに文書で照会をしてみました。

  

これに対する かんぽ生命からの回答は、

調査対象者を保険契約者または被保険者とする保険契約はありません 

というものでした。

  

私は当然、「ありますよ」という回答だと思い込んでいましたので、

回答書を見て、のけ反ってしまいました。

たった5年前に終わった保険契約が、どんな内容の契約だったかすら、保険会社である かんぽ生命は回答できないわけですから。

民間生保であれば、契約終了から20年経過してても、30年経過してても、締結された保険契約について回答を間違いなくしてくれます。 

かんぽ生命の 回答書をよく読んでみると、

保険金・返戻金等の支払いにより消滅から 2年以上経過している契約につきましては、調査することができない場合があります

と書かれているではないですか。

これは、

保険契約消滅から 2年経過してしまうと、契約の内容(契約日、契約者、被保険者、保険金支払日、支払額 etc)を回答できないことになりますよ

と言っているのと同じことになります。

契約終了から 2年しか契約情報を保管しない、(ガラクタのような)契約情報管理システムを

わざわざ導入していることになります。

悪い冗談かと思ってしまうような話です。

  

情報を保存するためのコストは、IT化の進展等もあり、劇的に逓減しているわけですが、

そのような環境の下で、   

「契約情報をストックせずに、契約終了後、2年経過した時点で、(わざわざ)契約情報を廃棄していく 契約情報管理システム」

を かんぽ生命は本当に採用しているというのでしょうか。

本当であれば、正気の沙汰ではありません。

  

私は、照会先のかんぽ生命の とあるサービスセンターに電話をして、色々と質問をぶつけてみました。

ですが、サービスセンターの担当者の電話での回答内容は、

調査をしてみたが、契約情報が見当たらない。

保険契約消滅から2年経過した契約なので、契約情報が無くなっているのだろう。

そのため、残念ですが、「ありません」という回答しかできないことになります。

という判で押したかのような同じ回答でした。

  

   

やはり、かんぽ生命が 2年しか契約情報を保管していないのは、本当のようです。

  

このかんぽ生命の

「 契約情報の保管期間は、契約終了から 2年 」

という契約情報の管理システムですが、 

ガラパゴス以前のようなものです。

ガラパゴス島でも進化はありますが、かんぽ生命の契約情報管理システムでは それすら ないわけですから。

結構、驚きました。

  

 回答書(かんぽ生命保険).jpg

(かんぽ生命の とあるサービスセンターからの回答書)


カモリスト [調査]

悪徳商法で騙されたことがある被害者の名簿のことを「カモリスト」と呼んでいます(Weblio 辞書の「カモリスト」参照)。  

この「カモリスト」という言葉は、「消費者被害」、「詐欺」という言葉と、極めて親和性が高いと言えるわけですので、

それらの言葉とは無縁な生活を送ってみえる一般の人にとっては、

聞いたこともない、一種の専門用語みたいなものです。

       

そんなはずなのに、 

別々の機会に会った二人の知人(いずれも、非弁護士)が二人とも、

「カモリスト」 という言葉を、さも知ってて当然かのように、使っていて驚きました。  

私は、知人の話に合いの手を入れながら、

「お前、何で、そんな言葉、知ってんだ 」 、

「俺が知らないだけで、最近、よく使われるようになったんだろうか」、

など思いを巡らせながら話を聞いていました。

そんなわけで、「カモリスト」という言葉に関心が湧いてきました。

手っとり早く調べるには、新聞・雑誌記事横断検索が便利です。

まず、そもそも、この「カモリスト」という言葉、いつ頃から使われるようになったのでしょうか。

検索期間を選択してみて調べてみました。

その調査結果ですが、「カモリスト」が記事の中で最初に使われたのは、

平成12年(2000年)1月22日の長崎新聞の「資格講座で強引な電話勧誘」という記事の中ででした。

ちなみに、この長崎新聞の記事は、

資格講座を一度契約した人が複数の業者に何度も勧誘されたり、強引に契約させられる二次被害が県内で広がっている。

…、県消費生活センターは「契約者名義がいわゆる『カモリスト』として業者間で流通している」と指摘する。…

というもので、

当時は、資格商法の被害者が掲載された名簿のことを「カモリスト」と呼んでいたことが分かります。

12年前から「カモリスト」という言葉が使われてたというのは意外でした。

私は、せいぜい、5、6年ぐらい前から、使われるようになったんだろうと思っていました。

次に、この「カモリスト」が、新聞や、雑誌の記事の中で、何回、使われているのか調べてみました。

下表がその結果です。

下表は、2000年(平成12年)から、2012年(平成24)まで、各年毎に、何件の記事で「カモリスト」が使われたのかを、新聞・雑誌記事横断検索の全ての情報源(117ファイル161紙誌)、全国紙(朝日・読売・毎日・産経)、朝日新聞という3つの区切りで整理をしたものとなります。

12年間の間で、「カモリスト」という言葉が使われた記事は、朝日新聞の場合だと 8 件、新聞・雑誌記事横断検索の全てを前提としても 61 件しかないことになります。 

「カモリスト」の掲載回数.jpg

「カモリスト」という言葉は、たまにしか新聞や雑誌で取り上げられていません。

また、最近になって、新聞や雑誌で、取り上げられるようになってきているという傾向も見受けられません。

では、二人の知人は、なぜ、「カモリスト」を知ってたんでしょう。

新聞・雑誌記事横断検索では、「カモリスト」は今年(2012年)では2件がヒットしますが、

このうちの1件は、NHKの9月13日の ニュースウオッチ9の中で放映された

カモリスト”を使った執拗な手口

という3分弱の特集です。

内容は、

10年前に訪問販売業者が自宅を訪れ、50万円する羽毛布団を購入した女性のもとには、次々と業者が訪れた。

女性は浄水器など数十万円の契約を繰り返した。

最後には自宅が狙われ相場より低い金額で売却された。

元布団販売業者は、騙されたほうが悪いと語った。

というものだったようです。

裏はまだ取れていませんが、間違いないでしょう。

知人二人はこの番組を見て、「カモリスト」という言葉に強いインパクトを受けたのでしょう。

だから、「カモリスト」と連呼していたのでしょう。

さすが、TVの伝播力です。 

「カモリスト」に載ってしまうような人にこそ、このニュースウオッチ9の特集を見てもらいたいと思います。


尖閣の国有化 [調査]

政府が、地権者から島を買い取って尖閣諸島を国有化したとのニュースが先週11日報じられました。

おっちょこちょいな私は、個人がで所有していた島を全て国有化したと思っていましたが、そうではないんですね。 

新聞では、ちゃんと、「尖閣諸島のうち、魚釣島等の3島を 20億5千万円で買い取り、国有化した」と記事にされています(例えば、11日の東京新聞夕刊の記事「尖閣諸島を国有化 購入に予備費20億円」)。

尖閣諸島は、魚釣島、北小島、南小島の3島と、久場島、大正島の5島から構成されていますが、

大正島は大蔵省が所有者、残り4島を、2人の個人が所有していました(wikipedia 「尖閣諸島」の項目参照)。

個人の所有者を、AさんとBさんとしておきますが、

魚釣島と北小島、南小島の3島はAさんの、

残りの久場島は、Aさんの妹のBさんの所有でした。

登記情報提供サービスで、AさんとBさんの2人が所有されていた、魚釣島、北小島、南小島と、久場島の登記情報を確認してみました。

確かに、魚釣島と、北小島、南小島の3島は、平成24年9月11日売買を原因として国土交通省に所有名義が移転されていました。

残りの久場島は、Bさん名義のままでした。

記事のとおり、

政府が買ったのは、魚釣島と北小島、南小島の3島だけで、久場島は手付かずというわけです。

今年4月18日のZAKZAKのインタビュー記事「中国“尖閣”に350億円提示!“地権者”実弟が激白」からすると、

Aさん側が、東京都の石原都知事に対し、魚釣島と北小島、南小島の 3 島を、10~15億円の買取価格での買取りを打診していたのではないかと思われます。

Aさんは、20億5千万円で 3 島を売ることが出来たわけですから、

東京都と国を競らせることによって、売買価格を up させたという結果となっています。

交渉上手ですね。

  

残ったBさんが所有する久場島についても今後、買取交渉が進められることになると思われます(朝日新聞デジタルの6月8日の記事「尖閣・久場島も購入検討 石原都知事」)。

この久場島は、魚釣島から27㎞ほど離れていて、防衛省がBさんから賃借して、米軍の射爆場として使われているとのことです。

魚釣島のように、賃借権の設定登記がされてないため、Bさんが防衛省に、いくらの賃料を取って貸しているのかは登記からは分かりません。

でも、魚釣島と同様、いい値段なんでしょう。

そのため、Bさんがオファーする久場島のが買取価格も、 結構なお値段なのかもしれません。

そのため、久場島の買取価格について、政府とBさんの間で折り合いが付ず、今回の国有化の対象からは見送られたとの可能性は十分あるとものと思われます。 

久場島については、東京都と競り合って値段が釣り上げられるというようなこととはならないでしょうが、政府としては、

(交渉上手かもしれない) Bさんに、買い値を釣り上げられないようにしないといけませんね。