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ノンバンクの株価 [検討]

(今日は前場、株価を下げていましたが、) 

今朝の朝刊の株価欄を見てて、

アイフル、アコム、ジャックス、オリコ、日立キャピタル

が年初来高値となっていることに気付きました。

5日のラジオNIKKEIの記事(「5日ノンバンク株に高値更新目立つ、アイフルなど」)は、ノンバンクの株価の上昇について、

消費者金融業者を含むノンバンク各社は規制厳格化による過去の過払い利息に対する返還請求が一巡したほか、最近は企業倒産の減少などに伴って与信コストが低下して収益環境が好転している。

アコムは10月26日に12年4~9月期の業績予想をすでに上方修正済み。また、日銀による相次ぐ金融緩和で資金調達環境が一段と改善することへの期待感も強まっている。

とくに日銀が銀行融資促進のために打ち出した上限なしの新しい貸出支援基金の創設がノンバンクのビジネスチャンス拡大につながると予想する向きがあり、ノンバンク株を見直すきっかけになっている面もある。

規制の厳格化や金融危機を受けて株価低迷が長期化していた銘柄が多いため、戻り売り圧力も限られているようだ

と分析をしています。

今年3月26日のブログ(「消費者金融、残高下げ止まり ? 」でも触れましたが、

消費者金融の貸付残高が下げ止ったとの判断は付きかねるものの、

新規貸付は、昨年7月に、対前年同月比で増加に転じてから、1年以上、連続で増加していることが観測できます(日本貸金業協会のホームベージの月次統計資料「月次実態調査詳中の詳細時系列データ「B1 月間貸付金額」参照)。

過払いが、ほぼ終息したということについては間違いなさそうです。

ですが、ラジオNIKKEIが言う、

日銀による相次ぐ金融緩和で資金調達環境が一段と改善することへの期待、

とくに日銀が銀行融資促進のために打ち出した上限なしの新しい貸出支援基金の創設がノンバンクのビジネスチャンス拡大につながると予想、

が、ノンバンクの株価上昇の理由だというのは、どうかなと思います。

なぜなら、日銀の金融緩和による資金調達環境の一段と改善や、日銀が上限なしの新しい貸出支援基金の創設したことが、ノンバンクの業績向上の追い風になっているというのであれば、それは銀行も同様のことで、

銀行の株価も同じように上昇していないとおかしいと考えるからです。

下図は、「株式チャート集 stock-life.net」というホームページの「全33業種別指数と構成銘柄のチャート一覧」から引用させていただきました、ノンバンク(その他金融)と、銀行の株価のチャートです。

上が ノンバンク 、下が 銀行 となりますが、チャートの波形が違っています。

ノンバンクの株価は、ここ数ヶ月、右肩上がりで値上がりしていますが、銀行はボックス圏にあるかのように いったりきたりです。

 ノンバンク・銀行の業種毎価チャート.jpg

このチャートを見る限りは、 

日銀の金融緩和がノンバンクの株価が上昇している理由ではなく、

他の理由がノンバンクの株価を押し上げている

と考えるのが素直だと思うのですが。

利息制限法の再見直しが、今年5月23日頃から喧しく騒がれるようになってきています(今年7月9日のブログ(「改正貸金業法の再改正(1)」参照)。

そこで議論されている

「総量規制の見直しと制限利率の引上げ 」

が、ノンバンクの業績向上に繋がることになります。

利息制限法の総量規制の撤廃も、制限利率の引き上げも、議論が開始されたに過ぎず、どうなるか分からない状況にあるかと思いますが、

気の早い筋が買い進んでいて、それでノンバンクの株価が上昇しているのではないのでしょうか。

下は、東証の株価検索で検索したアコムの週足のチャートですが、今年4月から5月中旬頃まで下がっていた株価が、5月下旬に下げ止まり、以降、右肩上がりに上昇していることが、

このチャートから綺麗に見てとることができます。

アコム株価.jpg

今年5月23日に開催された自民党の「小口金融市場に関する小委員会」が、

個人向け融資を年収の3分の1までに制限する「総量規制」の撤廃や、上限金利を現行の15〜20%から30%程度に引き上げることを柱とする改正案をとりまとめて公表

していますが、

この発表が、アコムの株価の変節点となった!!

などとホラを吹けそうな、符合ぶりです。