職務上請求用紙の騙取 [検討]
愛知県警は、暴力団対策の捜査官の個人情報が漏えいした件について捜査を進め、昨年11月以降、情報漏えい先や情報屋の逮捕・起訴を徹底的に進めています。
現在、9件目の事件が逮捕起訴されたところです。
この9件目の事件は、
偽造した行政書士の「職務上請求書」を使って、戸籍謄本などを不正に取得した
というもので、愛知県警は、行政書士や情報屋ら8名を 9月27日に、戸籍法違反などで逮捕しました(YOMIURIONLINEの9月28日の記事「「『情報屋』ら8人逮捕 戸籍不正取得容疑」 参照)。
逮捕された8人は、その後、10月18日に戸籍法違反などで起訴され、うち4人については翌19日に戸籍法違反などで再逮捕されていました(毎日JPの10月19日の記事「個人情報漏えい:戸籍情報2万件売買 『情報屋』ら8人起訴−−名地検」参照)。
そうしたところ、再逮捕された4人の起訴を報じる記事が、先週9日、中日新聞に載りました(中日新聞の今月9日の記事「戸籍漏えいで行政書士起訴 名古屋地検」)。
再逮捕された4人は、戸籍法違反での追起訴かと思っていたところ、
そうではなく、
行政書士2人(1人は元行政書士)については、詐欺罪での起訴でした。
記事を読んでみると、
起訴内容によると、両被告は昨年12月から今年1月にかけ、職務上請求書を身元調査などの探偵業務に使う目的を隠し、虚偽の誓約書を東京都行政書士会に提出し、50枚つづりの同請求書1冊をだまし取ったとされる。
同請求書は、自治体に戸籍情報などを請求する際に使われる。
と報じています。
職務上請求用紙を騙し取ったとして詐欺で起訴したということです。
新聞記事には、起訴された行政書士が、「虚偽の誓約書」を東京都行政書士会に差し入れていたと書いてありますが、
これは昨年9月から行政書士会で進められていた「戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書の様式改訂に伴う差し替え作業」の際に、
起訴された行政書士が:新旧用紙の差し替えを受ける際、東京都行政書士会に「誓約書」を差し入れたことを言っていると思われます(平成24年9月4日付「『戸籍謄本・住民票の写し等職務上請求書』の様式改訂に伴う無償差し替えについて」参照)。
下の誓約書が、差し替えの際、起訴された行政書士が東京都行政書士会に差し入れた誓約書のひな型です。
読んでいただけば分かりますが、この誓約書では、
職務上請求書は、行政書士として職務上必要な請求に限り使用し、これ以外の請求や、身元調査等人権侵害のおそれがある場合は、使用しません。
と会員が不正使用しないことを誓約した文言が入っています。
この誓約書による、行政書士の所属単位会への誓約(=契約)を根拠として、
不作為による欺罔を認め、詐欺罪で起訴をしたということのようです。
今回、再逮捕された4人の逮捕容疑は、別の戸籍法違反や有印私文書偽造・同行使でした(毎日jpの10月19日の記事「戸籍法違反:容疑の調査会社代表ら再逮捕」)。
それが、起訴の際には、行政書士2名についてのの起訴は詐欺罪での起訴でした。
起訴された罪名が、逮捕時の罪名と異なることとなったことについては、何か理由があったのでしょうが、その理由が何であったのか、気になります。
(現役の)行政書士の方は、再逮捕の際、
偽造行為など一部について否認していたようです。
よもや、それが理由で詐欺罪で起訴されることとなったというようなことはないでしょうね。