登記公開業務の入札は7割近くが入札不調 [感想]
東洋経済12月1日号の、
岡田広行記者の「落札企業ゼロが続出 市場化テストの異常- 8割近くで入札不調。法務局で起きた前代未聞の事態。」という記事では、
法務省が、来年4月からの登記簿の閲覧や登記事項証明書の発行業務を、法務局単位で設置競争入札に付したところ、
53ブロックでの入札のうち、39ブロックで入札不調だった
と報じています。
岡田記者は入札不調の理由として、
入札で設定された予定価格が、今年8月に業務放棄をした2社が請け負っていた金額が同水準かそれ以下と、低廉であること、
応札する企業に今までより手厚い人員配置を求めていること、
の2つの点を挙げています。
予定価格が安すぎるため、請けてくれる業者がいない、というわけです。
それぞれの法務局が実施した「登記簿等の公開に関する事務(乙号事務)に係る業務委託」の入札状況は、法務局のホームページの「各局の入札状況」から確認することが可能です。
そこで、この「各局の入札状況」を使って、どの都道府県で、「落札」となったのか、また、どんな業者が、いくらで落札したのかを調べてみました。
しかし、昨日、調べた限りでは、結局、岡田記者が言う、「落札」となった14プロックがどの都道府県のことなのか調べ切ることができませんでした。
現時点で再入札の入札公告をしていない法務局が、おそらく、「落札」となった法務局のことなのだろうと推測することができますが、
法務局が入札結果をちゃんと公表しないため、裏取りできません。
情報公開が極めて遅れている法務省の一部局が法務局ということなので、
諦めるしかありません。
ところで、今回の登記簿の閲覧等の業務委託の実施期間は、来年(平成25年)4月1日から 平成28年9月30日までです。
つまり、落札者による業務の開始は、来年4月1日ということです。
あと約 4 月しかありません。
法務局が定めた「平成24年度登記簿等の公開に関する事務(乙号事務) 民間競争入札実施要項」では、
業務開始までのスケジュールとして、
引継・準備期間 平成24年10月下旬頃~平成25年3月中旬頃
としています。
引き継ぎの期間として
5ヶ月
を見ているというわけです。
平成24年度登記簿等の公開に関する事務(乙号事務) 民間競争入札実施要項
(1) 入札に係るスケジュール
ア 入札公告 平成24年4月下旬頃
イ 入札説明会等 平成24年4月下旬~ 5月下旬頃
ウ 入札説明会後の質問期限 平成24年7月中旬頃
エ 提案書提出期限 平成24年8月中旬頃
オ 入札参加者による説明(プレゼンテーション) 平成24年10月上中旬頃
カ 入札書提出期限・開札 平成24年10月下旬頃
キ 契約の締結 平成24年10月下旬頃
ク 実施要領・人的体制(第1次)の確認 平成25年1月中旬頃
ケ 管理体制・人的体制(第2次)の確認 平成25年3月上旬頃
コ 引継・準備期間 平成24年10月下旬頃~平成25年3月中旬頃
もし、業務を請けてくれる業者が見つかったとしても、引き継ぎ期間が足りないことになります。
大丈夫なんでしょうか。
(上記は名古屋法務局の入札情報から引用した開札結果)
なお、今回の「東洋経済」の雑誌の記事は 東洋経済onlineにアップされないようです。
そのため関心のある方は東洋経済を買って読んでいただくしかありません。
( ですが、今週号はアマゾンを特集していますので、買って読んでいただくだけの価値があるのではないかと思います。)
(補足)
うれしいことに今日(11月30日)、東洋経済onlineに「落札企業ゼロが続出 市場化テストの異常 法務局で起きた前代未聞の事態とは」がアップされましたので、その旨補足いたします。