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浮気相手への探偵費用の請求、裁判所は認めるか ? [検討]

沢木文氏著「不倫女子のリアル」(小学館新書)を読んでいたら、「第6章 探偵は見た!」中に、

「ちなみに、浮気調査の場合、1日で証拠が押さえられれば、費用は内容により 10万~30万円程度、平均 3~5 日間の調査を行う。これを対価とみるか、安いとみるか。

「浮気の調査報告書を、不倫をしている夫に突きつけたら、不倫相手と清算して、妻のところに戻ってきたというケースもあります」

元の鞘に収まって、めでたしめでたしというのであれば、そのくらいの費用は決して高くないのかもしれない。

さらに、あまり知られていないが、浮気相手に慰謝料を請求する場合、探偵費用も別途 請求できる。

女性にとって泣き寝入りやスルーは禁物、打てる手は打ち、自分の人生に有利な" 武器 "は集めておくべきというわけだ。逆に、夫が品行方正で妻が奔放な場合、夫も妻の浮気の証拠を集めておくべきということになる。(178頁)

という記述がありました。 

 

浮気調査の費用の金額については どうとも思いませんでしたが、

いつの間にか、探偵費用を裁判所が損害として認めてくれることになったかのようなことが書かれています。

「浮気調査の探偵費用なんて、裁判所が相当因果関係がある損害だなんて認めてくれるわけない」というのが私のこれまでの理解でしたので、知識の詰め込み直しをしなければいけません。

 Westlaw.JAPAN で裁判例がどの程度あるのか、検索してみました。

 

「探偵費用」「探偵事務所費用」をキーワードとして検索してみたところ、

不貞の慰謝料200万円のほかに、探偵社に支払った調査費用125万7605円のうち100万円分の調査費用を相当因果関係にあると認めた東京地裁平成20年12月26日判決があるのを見つけました。

それだけでなく、私は確認漏れをしていましたが、その他に、探偵事務所に支払った調査料16万9290円を損害と認めた東京地裁平成22年7月28日判決というものもあるようです(「FPベンゴシによる不倫に 関するQ&A 」というサイトの「探偵費用を請求したい」の解説を参照ください。)。

 

しかし、探偵費用に支払って調査費用を、相当因果関係にある損害と認めている裁判例は、それらくらいしか見当たりません。

やはり、大勢としては旧来と変わらず、「認めない」ということに変わりはない模様です。

人騒がせな記述に振り回されましたが、勉強にはなりました。

 


不倫女子のリアル (小学館新書)

不倫女子のリアル (小学館新書)

  • 作者: 沢木 文
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/06/01
  • メディア: 単行本