保全事件も実は激減している [感想]
金融法務事情2044号(2016年6月25日号)に、東京地裁と大阪地裁における平成27年度の民事保全事件の概況が掲載されていました(同号「平成27年度の東京地方裁判所民事第9部における民事保全事件の概況」、「平成27年度の大阪地方裁判所第1民事部における民事保全事件の概況」)。
インターネット関連の仮処分事件の新受件数が、大阪地裁では平成27年度 29件(平成26年度27)という状況にあるようですが、東京地裁では平成27年度 680件(平成26年度 607件)ということとなっているということです。
東京地裁では インターネット関連の仮処分事件が、仮処分事件全体に占める割合が 64.9% となっていて、激増中でもあるということか チェックしておくべきことであるようです。
ところで、保全事件全般の状況はどうなのでしょう。
下表は記事中に載っている、東京地裁と大阪地裁の 平成23年(2011年)から平成27年(2015年)までの、仮差押と仮処分の新受件数を整理し、グラフ化したものとなります。
東京と大阪について言えば、ここ5年ほどの間における民事保全数は 微減ないし多少減少といったところでしょうか。
こうなると全国的には どのような状況にあるのかが知りたくなりました。
裁判所のホームページで閲覧可能な、平成12年度、平成16年、平成26年度の各年度の「司法統計 民事・行政事件編」の「第1-2表 事件の種類と新受件数の推移」から、地裁と簡裁の「民事保全命令」事件の件数を拾い、作表した結果が下の表ですが、
ここ20年余りの間に、3分の1に減少していることが分かります。
司法制度改革 の進展と、保全事件の減少は軌を一にしているように見受けられます。
15年前に 「2割司法」などと 言われていましたが、今は 何割 なのでしょう。