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「輿論」 と 「世論」 [豆知識]

私は 「輿論」 と 「世論」 について、 

「輿論」 と 「世論」 は、いずれも、「世間一般の人の意見」という意味の同義語。

読みが 「輿論」 は 「よろん」だが、

「世論」 は「せろん」が正しいが、最近は「よろん」という読みも正しいとされている、

という理解をしていた。 

岩波書店の新村出編広辞苑第四版を調べてみると、

よ・ろん【輿論・世論】

世間一般の人が唱える論。社会大衆に共通な意見。(「世論」は「輿論」の代りに用いる表現 → せろん)

せ・ろん【世論】

世間一般の議論。輿論(よろん)。せいろん。(もと、ヨロンと読んで「輿論」の代用としたが、セロンとも読まれるようになった)

ということです。

「世論」の読みは、「せろん」が正しいという私の理解は 誤りだったことが分かりました。

それはそれで収穫でした。

 

   

脱線しましたが、さて、本題です。

私は、全く、知りませんでしたが、 

「 世論 」 とは直情的な意見であるのに対し、「 輿論 」 とは成熟した意見のことで、

「世論」と「輿論」は別の意味の言葉

だとのことです(ウィキペディアの「輿論」参照)。

佐藤卓己京大大学院准教授によると、

日本では、「輿論」 と 「世論」 は、大正期までかなり明確に区別されて使用されていた。

「輿論」はヨロンと読み、意味はパブリックオピニオン、理性的な討議による合意、事実をめぐる公的関心のこと。

「世論」はセロン、セイロンと読み、ポピュラーセンチメンツ、情緒的な共感、美醜をめぐる私的な心情を意味した。

とのことです。

知りませんでした。

佐藤氏は「輿論と世論―日本的民意の系譜学」 (新潮選書)という本を出されているということなので、関心がおありな方はお読みになられたら、それなりに収穫があるのではないでしょうか。

私も近いうちに読んてみようと思っています。

輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)

輿論と世論―日本的民意の系譜学 (新潮選書)

  • 作者: 佐藤 卓己
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: 単行本


なお、ウィキペディアで引用されている「朝日新聞2010年8月14日 「夏の基礎講座 世論」 佐藤卓己 京都大学大学院准教授、西村欣也 記者」という記事は、確かに存在することを新聞横断検索で確認出来ましたが、記事として表示されません。

タイトルが、「(夏の基礎講座)4時間目「世論」 佐藤卓己さんにスポーツ担当記者が聞く」と題した、「 2010.08.14 東京朝刊 3頁 3総合 写図有 (全0字) 」という朝日新聞の記事となりますが、文字でなく、記事はテキストデータとして保存されていないため、表示されないようです。

残念ですが、今回は一次情報での確認が出来ていません。 


花博記念協会の登記の懈怠 [はてな?]

大阪府や大阪市などが出資し、大阪副知事や大阪市副市長を理事として迎え入れている、
花博記念協会(正式名称「 (財)花と緑の博覧会記念協会」)を、
私のブログでは今年5月に3回取り上げさせていただきました(5/1「花博記念協会(1)」、5/2「花博記念協会(2)『専務理事の言い草』」、5/16「花博記念協会(3)『専務理事の退職手当』」 )。
   
 
今年6月に、農水省出身の日尾野興一専務理事(当時)が、資産運用の失敗の責任をとってなのか、同協会を辞職し、宮前保子氏が日尾野氏の後任の専務理事に公募により就任することとなりました(今年5月14日の産経ニュース(「松井大阪府知事『ようやく天下り団体が一つなくなる』 花博協会専務理事辞職し後任公募」)。

協会は、「役員 平成24年7月1日」として、下表に示した 会長・副会長・理事長・専務理事、理事4名の方の氏名と役職を、7月初旬からホームページに掲載を開始しました。 
新体制がスタートしたことを広報したかったのでしょう。
 
 
この花博記念協会の役員ですが、会長は経団連名誉会長である今井敬氏、副会長は大阪商工会議所会頭、また、理事には、大阪府副知事と大阪市副市長といった具合に、お歴々が名を連ねています( 「財団法人花と緑の博覧会記念協会概要」参照)。
    
財団のステータスの高さを嫌が上にも感じさせられます。

役員平成24年7月1日現在.jpg

ですが、この花博記念協会。

現時点(平成24年9月29日現在)において、ホームページで役員として名が挙がっている、幹事2人を除いた、8人のうち、

登記上、理事として氏名が出てくる方は、今井敬氏、佐藤茂雄氏、今西秀雄氏、小河保之氏の4名だけです。

新たに協会の専務理事に選任された 宮前保子氏や、理事長の角和男氏、理事に選任されたとする大阪市副市長の田中清剛氏、明大教授の輿水肇氏の登記がなされていません。

それだけでなく、今年6月に退任したはずの、専務理事であった日尾野興一 氏、理事長であった 旧国土庁の元事務次官であった 三井康壽 氏、ほか計5名の方が理事として登記されたままになっています。

 つまり、理事の退任・選任の変更登記が全くされていないというわけです。  

私は、

「もしや、特例民法法人では、理事の登記に特則が定められていて、理事の変更登記を猶予する規定でもあるのかしらん」

と思って、このことをブログで指摘させていただくことを、ずっと差し控えていました。

つまり、指摘が間違っているかもしれないと思い、躊躇していたわけです。

ですが、私なりに、いろいろと調べ、検討を加えた結果、

整備法(「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」)等の関係法令では、特例民法法人の理事の変更登記に関し、登記の申請期間を2週間から伸長することを定めた特例規定などはない。

したがって、花博記念協会は理事の変更登記を、理事の退任や選任が生じてから2週間以内に登記をしないといけないことになる。

と、人前で自信を持って言えほどの理論武装をすることができるようにはなりました(整備法48条1、2項、77条、一般社団法人及び一般財団法人に関する法302条2項5号、303条)。

本来、花博記念協会は、理事の退任や選任から 2週間以内に、協会が所在する大阪市鶴見区を管轄している大阪法務局に、理事の変更登記をしないといけないことになります。

ですが、花博記念協会は、宮前保子氏ほか、新たに理事の選任された方の就任登記、理事を退任された日尾野興一氏や 三井康壽氏の退任登記をしていません。

が、しかし、これは単に、法令(整備法など)を違反し、本来しなければならない登記を怠っているだけのこととなります。

経団連の名誉会長や、大阪府副知事・大阪市副市長といった大物を理事に迎えている花博記念協会が、理事の変更登記を、何ヶ月も怠っているという事態が起きているなどとは、考えがたいことではあります。

しかし、整備法等の関係法令条文を確認していく限り、花博記念協会は登記の懈怠をしていることと理解せざるを得えません。

でも、もしかすると、私がどこかで根本的な間違いを犯しているかもしれません。

私の間違いに気付かれた方がお見えでしてなら、間違いの指摘をよろしくお願いいたします。


DNA鑑定って、2万円代で出来るんですね [感想]

平成3年に、日本で初めて、(株)帝人バイオ・ラボラトリーという会社が DNA鑑定事業を始めましたが、

同社は当初、DNA鑑定の受託を、裁判所や弁護士、あるいは法医学教室からのみ受託するしていました。

DNA鑑定の料金は、母と子、それに(子の父親である可能性がある)男性の三名者の鑑定で25万円位のものでした。

帝人バイオ・ラボラトリーには、父子鑑定をしてもらったことが2回ありましたが、

それも10年以上前のことです。

その後、仕事で、父子鑑定のためにDNA鑑定をしてもらうような事件には巡り合いませんでした。

そんなわけで、私は DNA鑑定で親子鑑定をしてもらうだけであるなら、安いところだと、料金として 2万円 も掛からない値段でやって貰えることを全く知りませんでした。

今回、インターネット検索をしていて知りましたが、

例えば、オムジェンという会社だと、「スタンダードDNA親子鑑定(2名)」の基本料金は、¥19,900 で、2万円を切っています。

他にも、 合同会社 TKB テクノロジー というところだと  ¥22,800 、

また、 Genetrack Biolabs Inc.という会社だと ¥29,000

という料金でやってもらえます。

そんなわけで、グーグル検索で、「DNA鑑定」をキーワードとしてキーワード検索をしてみると、安い料金でDNA鑑定をしてくれる業者が ゾロゾロと ヒットしますが、 

それら、鑑定料金が3万円もしない、安い料金のDNA鑑定業者は、

サンプル採取キットを使って、口の粘膜からDNAを採取し、摂取したサンプルを採取キットに同封された返送用の封筒で送り、DNA鑑定をしてもらい、その鑑定結果を郵送で知らせてもらう

という方法が採られています。

この自分がサンプルを採取し、DNA鑑定をしてもらうという方法ですと、 

採取されたサンプルが、父子鑑定の対象となっている子のものであり、また、(その子の父である可能性がある)男性のものであることが公証されている

とは言えません。

別人のサンプルが鑑定試料として使われているのではないかとという疑念を拭うことが出来ないことになります。

そのため、訴訟の場に、この安いDNA鑑定で出た結果を、(親子関係があること、あるいは、親子関係がないことを証明する)  証拠として提出したとしても、その証拠の提出で白黒が付くわけではないことになります。

結局、もう一度、DNA鑑定をしなければならないことになります。

しかし、物は考えようで、 予備調査のため、 あるいは、当たりを付けるためという目的のために、この安い料金で出来るDNA鑑定やってみるというのであれば、

かつてのように、鑑定料金が1回25万円という高額な料金ではないので、気楽に使ってみることが出来るのではないかと思います。

結局は、この安いDNA鑑定が、使えるとみるのか、あるいは使えないとみるのかは、その使い方次第、ということになるのではないでしょうか。


東海地域悪質事業者対策会議 [豆知識]

「こんにちはー。信州のみそどうですか。」等と告げて、消費者宅を訪れ、みその品質について「無添加です。」と不実のことを告げるなど、悪質な取引行為を繰り返し、消費者にみそを販売していた、

(有)信州富士という名称の訪問販売事業者に対し、先週22日に、

岐阜県・静岡県・三重県・愛知県の東海4県が、同時に、特定商取引法8条1項に基づく行政処分(業務停止命令12か月)を行いました(消費生活安全ガイドの「執行状況」参照。)

この4 県同時の行政処分は、 

広域な消費者被害の拡大防止のために、都道府県が連携をした一例です。

消費者庁のホームページの、地方協力課の「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」のページでは、

<愛知県・岐阜県・三重県・静岡県の事例>

愛知県、岐阜県、三重県、静岡県の東海4県では、「東海地域悪質事業者対策会議」を立ち上げ、立入検査など広域にわたる調査について4県での連携を具体化した。

平成20年11月には、同時に特定商取引法に基づく行政処分を実施した。

との、愛知・岐阜・三重・静岡の4県での取り組みが例として挙げられていますが、

今回の(有)信州富士の件も、「東海地域悪質事業者対策会議」の連携によるものです。  

(なお、愛知県の記者発表「みその訪問販売を行う事業者に業務停止命令(12か月)」には、今回の処分が『東海地域悪質事業者対策会議』の相互連携によったものであることを記しています。)

都道府県間の連携は、愛知・岐阜・三重・静岡の4県の取り組みだけではありません。

埼玉・東京・千葉・神奈川・静岡では「五都県悪質事業者対策会議」が立ち上げられたりしています。

(有)信州富士という みその訪問販売業者は、平成20年11月27日にも(愛知・岐阜・三重・静岡の4県から)業務停止命令3ヶ月の行政処分を受けています。

2度目ということで、今回の業務停止12か月という重い行政処分も仕方がないと言えそうです。

(有)信州富士に対する行政処分の4県の公表内容は、4県の間で摺り合わせがなされ、内容が統一されているのではないか思ってしまいそうです。

ですが、実際には、各県が公表している内容や表現は各県ごとに個性的です。

岐阜県の公表「【東海4県が同時行政処分】 特定商取引法に違反する『みめの訪問販売業者』に対して業務停止命令(12か月)を行いました。」は、

相談事例を数例掲載し、各県ごとの、ここ数年の相談件数も記されたもので、

よくある、公表のスタイルが採られた、一番、オーソドックスな発表内容となっています。

ですが、残り3県(静岡・三重・愛知)の公表内容は、読み比べていただけば明らかですが、スタイルを含め、相当な違いがあります。

(静岡県(「特定商取引法に関する法律第8条第2項の規定にる公表」)、三重県(「特定商取引法に違反するみそ訪問販売事業者に対して業務停止命令(12か月)」、愛知県(「みその訪問販売を行う事業者に業務停止命令(12か月)」を各参照下さい。)

公表内容を 4 県で 摺り合わせて、公表内容を統一させた方が、担当者の方の負担は少なくて済むそうだと思ってしまいますが、

そうできない、理由が何かあったのでしょうか。 


最高裁のホームページへの不正侵入 [旬の話題]

最高裁のホームページが、9月14日(金)の夜から翌週21日(金)の夕方まで、閲覧不能となっていました。

21日夕から、一応、ホームページは閲覧可能ですが、判例検索や、司法統計の閲覧は、まだ出来ない状態にあります。

理由は、トップページが勝手に、書き換えられたからでした(北大町村教授の14日のMatimulogの記事 「Court:最高裁のサイトが乗っ取られた!」参照)。

読売の記事(21日の「中国旗に改ざん被害、最高裁HP再開…7日ぶり」)によると、

最高裁は原因究明のため、サイト内の高裁・地裁・家裁も含む全てのページを閉鎖した

とのことです。

書き換えられたトップページを元に戻す、復旧作業をするだけなら、1 週間も時間がかかるわけはないはずです。

対策を講じていたのでしょう。

今回の件は、中国からの攻撃だったようですが、

最高裁のホームページは、約 3ヶ月前の 6月26日にも、アノニマスから DoS攻撃 と呼ばれる、攻撃を受けています。

(他者のブログ等の書き込み等をみると、最高裁のホームページはシステムダウンをしたようですが、新聞検索では確認できませんでした。)

    

この6月のアノニマスの攻撃は、違法ダウンロードの刑事罰規定を定めた、改正著作権法に対する抗議としてなされたものでした。

攻撃を受けたのは、民主党や自民党、最高裁、日本音楽著作権協会(JASRAC)のホームページ(HP)などでした(SankeiBizの6月28日の記事「 ハッカー集団『 アノニマス 』、警視庁本格捜査へ 政府機関など攻撃 」)

攻撃を受けた財務省と、国土交通省霞ケ浦河川事務所(茨城県)は、内部システムに不正侵入され、HPの内容をwl書き換えられたということです。

 

最高裁は、6月の攻撃では、攻撃はされたが、不正侵入までは許さずに済んだということになります。

 

この6月の際、最高裁は不正侵入への対策を講じただろうと思います。

1週間もホームページを閉鎖していたのは、

対策を講じたにもかかわらず、その直後に不正侵入をされてしまったためなのでしょうか。


事務所所長の弁護士が、法テラスに残業代を請求する訴訟を提起していた件 [旬の話題]

法テラスの事務所所長として勤務をしていた弁護士が、残業代の支払いを求め、法テラスを訴えていた訴訟で、一昨日(20日)、法テラス側が約60万円の和解金を支払うことで和解が成立したとのことです。

この訴訟を、読売新聞が今年4月24日に報じた際、

超過勤務手当など約109万円の支払いを求める訴訟を八戸簡裁に起こし(た)

と報じていました(今年4月24日のYOMIURI ONLINEの記事「残業代求め、法テラスを提訴…常勤弁護士」)。 

 

ですが、和解を報じた、昨日20日の読売新聞東京朝刊32頁の記事(「法テラス側が和解金」 (全172字))は、

超過勤務手当など約210万円の支払いいを求めた訴訟は20日、青森地裁八戸支部で和解が成立した。法テラス側が約60万円の和解金を支払うほか、常勤弁護士制度を改善することで合意した。

と報じています。

(なお、この21日の読売新聞の記事は、YOMIURI ONLINE では配信されていないようで、インターネット上では閲覧できません。)

 

2つの記事の内容を読み比べてみると、

4月の時点では、訴訟は八戸簡裁に提起されたとなっていたのに、昨日の記事では、八戸簡裁ではなく、青森地裁八戸支部で和解が成立したとなっている点

また、請求額が、4月の時点は、超過勤務手当約109万円となっていたのに、昨日の記事では約210万円が請求額であったかのような記事となっている点

で、記事の内容にズレが生じています。

どうして、記事の内容にズレが生じているのでしょうか。

訴訟の当事者に確認するのが間違いありませんが、そんなことは出来ません。

そこで、想像をしてみるしかない訳ですが、

想像するに、

八戸簡裁が、地裁に訴訟を移送する決定をしたため、訴訟の移送を受けた 青森地裁八戸支部 が審理をすることになった(民事訴訟法18条)

と、また、

原告が、請求の拡張をして、付加金(労基法114条)の支払いを請求に加えたため、

109万円×2倍 ≒ 約210万円の請求ということとなった

ということなのではないかと、私は思っています。

民事訴訟法

(簡易裁判所の裁量移送)

第18条  簡易裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、相当と認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部をその所在地を管轄する地方裁判所に移送することができる。

労働基準法

(付加金の支払) 

第114条  裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から2年以内にしなければならない。

 

今回の訴訟での争点は、

法テラスの事務所所長であった勤務弁護士は、労基法の労働時間規制が適用除外とされることになる 「 管理監督者 」(労働基準法41条2号)に該当するか

となります。  

     

この管理監督者の認定ですが、

使用者側からみると、結構、

「ハードルが高い」

と言うことになっています(厚労省の「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」 参照)。

労働基準法

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第41条  この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

 別表第一第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたも者

    
法テラスが和解したのも、そんな訳からなのでしょう。

特定商取引法違反で検挙 [検討]

ローカルな話ですみませんが、 

昨日20日の中日新聞朝刊の市民版に、

中警察署などが、特定商取引法違反(不備・虚偽書面の交付)の疑いで、リフォーム会社の元経営者を逮捕した

とのベタ記事が載っていました。

記事によると、 

容疑は、昨年9~12月、中区と緑区の男女方を訪問してリフォームの契約を交わす際、クーリングオフに関する記載がなく、法人登記のない虚偽の株式会社名を書いた書面を交付したとされる

とのことでした。

 

訪問販売の際には、顧客から申込みを受けた事業者は、

事業者の氏名・名称・住所・電話番号、法人の代表者名 

クーリング・オフに関する事項

等の法定の事項を記載した書面を、直ちに、申込者に交付することが義務付けられています(特定商取引法4条6号、特定商取引法施行規則3条、6条)。

もし、事業者がこの書面の交付義務義務に違反して、

書面を交付しなかった

あるいは

法定事項が記載されていない書面、または、虚偽の記載のある書面を交付した

場合、100万円以下の罰金に処せられることとなります(特定商取引法72条1項1号)。

特定商取引法 

第72

第1項 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。

 第4条、第5条、第18条、第19条又は第42条の規定にに違反して、書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項が記載されていない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者

 

記事が言う、 「 特定商取引法違反(不備・虚偽書面の交付) 」 とは、この特定商取引法72条1項1号違反のことのようです。

 

特定商取引法違反での逮捕という記事は余り見たことがありませんが、警察による特定商取引法違反の検挙の状況はどうなっているんでしょう。

警察庁生活安全局生活経済対策管理官作成の「平成23年中における生活経済事犯の検挙状況等について」 によると、

昨年(平成23年)における 特定商取引法違反での検挙件数は 全国で 161 件。

検挙人数は 314 件だったということだそうです。

下図は、ここ 5 年の特定商取引法違反による検挙状況の推移を図にしたものですが、年ごとによって、

余り増えても減ってもいないようです(「平成23年中における生活経済事犯の検挙状況等について」の10頁 の図表8 を引用してあります)。

 特定商取引法等事犯の検挙状況.jpg

以上は全国の状況ですが、では、愛知県の場合ではどうなっているでしょうか。

愛知県の場合ですと、特定商取引法違反の検挙件数は、昨年(23年)は 5 件、一昨年(22年)は2件、だったということになります(愛知県警察本文刑事部刑事総務課作成「平成23年犯罪統計」の23頁の「21 特別法犯違反法令別検挙件数・送致件数・検挙人員(前年比較)」参照)。

愛知県では、特定商取引法違反での検挙は熱心ではないようです。

警察の特定商取引法違反事犯の検挙について、どういう感想を持たれたでしょうか。

感想は、人それぞれなのでしょうが、私は、端的に

 「少ないんだなぁ」

 という感想を持ちました。 

 

 

でも、見方によっては、警察による検挙は、全国で 160件 ほどあるわけですから、

訪問販売法違反で 刑事告訴をして、警察に検挙してもらう

との武器の使用は、実効性が無いは言えません。

翻って言えば、「それなりに使える」と評価できるのではないかと考えます。

機会があったら、私も、一度、特定商取引法違反で悪質業者を刑事告訴をしてみよう、と思いました。


尖閣の国有化 [調査]

政府が、地権者から島を買い取って尖閣諸島を国有化したとのニュースが先週11日報じられました。

おっちょこちょいな私は、個人がで所有していた島を全て国有化したと思っていましたが、そうではないんですね。 

新聞では、ちゃんと、「尖閣諸島のうち、魚釣島等の3島を 20億5千万円で買い取り、国有化した」と記事にされています(例えば、11日の東京新聞夕刊の記事「尖閣諸島を国有化 購入に予備費20億円」)。

尖閣諸島は、魚釣島、北小島、南小島の3島と、久場島、大正島の5島から構成されていますが、

大正島は大蔵省が所有者、残り4島を、2人の個人が所有していました(wikipedia 「尖閣諸島」の項目参照)。

個人の所有者を、AさんとBさんとしておきますが、

魚釣島と北小島、南小島の3島はAさんの、

残りの久場島は、Aさんの妹のBさんの所有でした。

登記情報提供サービスで、AさんとBさんの2人が所有されていた、魚釣島、北小島、南小島と、久場島の登記情報を確認してみました。

確かに、魚釣島と、北小島、南小島の3島は、平成24年9月11日売買を原因として国土交通省に所有名義が移転されていました。

残りの久場島は、Bさん名義のままでした。

記事のとおり、

政府が買ったのは、魚釣島と北小島、南小島の3島だけで、久場島は手付かずというわけです。

今年4月18日のZAKZAKのインタビュー記事「中国“尖閣”に350億円提示!“地権者”実弟が激白」からすると、

Aさん側が、東京都の石原都知事に対し、魚釣島と北小島、南小島の 3 島を、10~15億円の買取価格での買取りを打診していたのではないかと思われます。

Aさんは、20億5千万円で 3 島を売ることが出来たわけですから、

東京都と国を競らせることによって、売買価格を up させたという結果となっています。

交渉上手ですね。

  

残ったBさんが所有する久場島についても今後、買取交渉が進められることになると思われます(朝日新聞デジタルの6月8日の記事「尖閣・久場島も購入検討 石原都知事」)。

この久場島は、魚釣島から27㎞ほど離れていて、防衛省がBさんから賃借して、米軍の射爆場として使われているとのことです。

魚釣島のように、賃借権の設定登記がされてないため、Bさんが防衛省に、いくらの賃料を取って貸しているのかは登記からは分かりません。

でも、魚釣島と同様、いい値段なんでしょう。

そのため、Bさんがオファーする久場島のが買取価格も、 結構なお値段なのかもしれません。

そのため、久場島の買取価格について、政府とBさんの間で折り合いが付ず、今回の国有化の対象からは見送られたとの可能性は十分あるとものと思われます。 

久場島については、東京都と競り合って値段が釣り上げられるというようなこととはならないでしょうが、政府としては、

(交渉上手かもしれない) Bさんに、買い値を釣り上げられないようにしないといけませんね。


確定拠出年金・残高のお知らせ [豆知識]

破産管財人となっている破産事件で、破産者宛に信託銀行から、「確定拠出年金・残高のお知らせ」が転送されてきました。

破産者が確定拠出年金の残高を有しているという内容の知らせです。

年金の資産評価額は27万円程度で、金額としては大した金額ではありません。

 

ですが、破産管財人にとっては、その年金の残高が いくらかであるのかに関係なく、処理しないといけないことであれば、処理をしなければいけません。

具体的には、換価(=解約手続)をしないといけないのか、裁判所に報告しておく程度で済ませばよいのか、そのどちらかであるかを判断し、

換価と判断したのであれば、その手続を進めないといけません。

破産管財事件はこれで20年ぐらいやっていますが、どう処理を付けたらいいのかと一瞬、迷いました。

ですが、少し考えて、確定拠出年金法32条1項本文で、確定拠出年金の受給権については差押えが禁止されているので、破産者の自由財産となるので、破産管財人においては換価不要ということになるはずだ(したがって、換価は不要)との判断を付けました。

確定拠出年金法32条1項

給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

ただし、老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。

 

とは言っても、多少心配でしたので、裏付けとなる資料を、手っとり早く、インターネット上で探してみました。

インターネット上の法律相談の中には、「裁判所もはっきりしない」という内容の、いいかげんな解説が散見されました。

自分の考えが正しいのか多少、不安になってきましたが、

横浜地裁の破産管財係が出している「申立代理人の方へ(管財手続について) (平成24・2・21)」を、横浜弁護士会のホームページ上で見つけることが出来ました。

この資料の3頁では、「特別法上の差押禁止債権は、破産手続上、換価の対象とならない」と説明をし、

その特別法上の差押禁止財産の中には、

各種年金受給権(国年法24条、厚年法41条、確定給付企業年金法34条、確定拠出年金法32条)

があると書いてありました。

確定拠出年金 → 換価不能 ということがはっきりして、

 これで、やっと、すっきりしました。


予算執行の抑制の司法への影響 [検討]

特例公債法(赤字国債を発行するための1年限りの特例法)が国会で廃案(=不成立)となったことを受けて、政府は予算執行抑制策を今月7日の閣議で決定しました。

9月以降の一般会計予算の執行について」が、閣議決定されたものとなります。

この「9月以降の一般会計予算の執行について」では、「司法関係に関する経常経費」は、予算執行の抑制の「当面対象外とする」とされています。

1. 基本的な考え方

  ①  特例公債金が財源となる全ての経費について、予算執行の抑制を図るものとする。ただし、以下の経費については、当面は対象外とする。

    イ) 行政活動の維持に不可欠な経費(庁舎賃料等)

    ロ) 国から国民への直接払いの経費(精査の上で必要があるものに限る。ハからヘまでにおいて同じ。)

    ハ) 安全保障・司法・治安関係の経常経費

    ニ) ~ ト) 略

これだけをを見てると、事態がもっと深刻にならない限りは、国の財源不足が、司法には直接、影響がないかのように思ってしまいます。

でも、そうではないようです。

予算執行の抑制が国民生活に与える影響等を整理している、

財務省のホームページ上の「予算執行の抑制」のページをよく読んでみると、

独立行政法人(独法)等向けの予算執行は抑制されることとなっています。

そして、独法である 法テラス(日本司法支援センター) の予算執行も抑制されることとなっていることが分かります。

具体的には、法テラスは、国からの運営費交付金の支払いが 3ヵ月毎に、予算額の50%以上、抑制されることになります。

  

財務省が作成した「今回の予算執行の抑制に伴う影響」と題した資料では、

法テラスの運営に支障が生じ、国民が法的トラブルに対処するための情報を適切に得られなくなるといった影響が生じるおそれ

があるとの懸念も示されています。

法テラスの平成23事業年度財務諸表 を精査するまでもないことですが、(法テラスは予算を余して執行しているわけではないので、)今回の予算執行の抑制によって、

新規事件について、予算不足を理由とした援助開始決定の抑制(=権利救済の遅延)、

既に援助開始決定がなされている案件についての契約弁護士への報酬支払いの遅延、

という事態が生じるであろうことは容易に想像が付くところです。

予算執行の抑制に関して、現時点では、

直接影響を受ける 法テラス も、また、法テラスを所管する 法務省 も、弁護士の職能団体である 日弁連 も、何も述べていないようです。

「今そこにある危機(Clear and Present Danger)」のはずなのにと私などは思ってしまいます。

「 部外者である財務省が、予算執行の抑制の影響が法テラスにどう影響するであろうかとの意見を述べるだけで、

プレイヤーやバイプレイヤーが何も発言しないで、黙っている 」 なんて、

とても不思議な気持ちがします。

       

法テラスと法務省は、「 いざとなれば、契約弁護士のボランティア精神を発揮してもらって凌げはいい」とでも考え、黙っているのでしょうか。

日弁連は、危機に気付かないふりでもしているのでしょうか。

さっそく、「予算執行を抑制するのであれば、契約弁護士の報酬の支払いを止める前に、職員の人件費の支払いを止めたらどうか」と言ってでもくれたなら、見直すのですが。