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年間 5 匹も、ウナギを食べていた記憶 [検討]

筒井功氏著「ウナギと日本人」を読んでいたところ、 

「平成12年、13年頃、日本人一人当たり 5匹のうなぎを食べていたことになる」
    
という記述がありましたが、データが示されていなかったため、真偽を確かめる機会がありませんでした。
     
    
そうしたところ、前々回のブログでも触れましたが、水産庁が先月5月に公表している「ウナギをめぐる状況と対策について」の、5頁にある「我が国におけるウナギ供給量の推移」に、ウナギの国内供給量の数値が示されていることが分かりました。
   
下表はそれをそのまま引用したものとなります。 
   
 
 ウナギの供給量.jpg
   
      
                      
ウナギの供給量のピークは平成12年(2000年)だったということですが、当時のウナギの供給量は 15万8094 トンだったということです。
       
ウナギの一匹の重さが分かれば、15万8094トンが ウナギ何匹に相当するかを計算することが可能となりますが、
        
ウナギ一匹の重さは 200グラム 相当であるようです(ウナギネット「うなぎサイズ規格」参照)。
        
ということですので、平成12年のウナギ供給量の15万8094トンは、ウナギ 7億9547万匹(=159,094,000,000g/200g)に相当することになります。
  
日本の人口は平成12年は1億2692万5843人でした(総務省統計局HP「1 人口総数 平成12年国政調査」)。
 
したがって、7億9547万匹/1億2692万5843人≒ 6.27 匹。
   
 
この結果からすると、日本人は 年間5 匹のウナギを食べていたことは間違いではないことになります。
  
むしろ 「6匹食べていた」というべきなのでしょうが、なぜ5匹なのでしょうか。
  
 
そんなに食べてた記憶などありませんが、もしかすると、居酒屋で食べていたかも知れない、突き出しとして出されていた「うまき」や「うざく」が それだったのではないのかいう気がしてきました。
       
  
では、最近は何匹ぐらいウナギを食べているのでしょう。
  
ウナギ供給量の平成27年概算値は 5万1139トン、平成27年の人口は約1億2700万人なので、
  
(51139×1000×1000g ÷ 200g)÷ 12700×10000 =
51139÷200÷127=51139/25200
  
なので 年 2匹 と推計できます。
  
こちらの数であれば 体感に合います。

         
     

ウナギと日本人: “白いダイヤ”のむかしと今

ウナギと日本人: “白いダイヤ”のむかしと今

  • 作者: 筒井 功
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/06/13
  • メディア: 単行本


ニホンウナギ、太平洋クロマグロへの規制見送り [検討]

今年9月に、3年ぶりに南アフリカで開催される ワシントン条約締約国会議での、太平洋クロマグロ と ニホンウナギ への規制が見送られることになったということだそうです(日本経済新聞2016年5月2日「ニホンウナギ貿易規制は見送り  ワシントン条約締約国会議」、2016年5月29日わかりやすい時事解説「ウナギ、クロマグロの規制案が見送られた理由 編集委員 志田富雄」)。

とは言うものの、太平洋クロマグロにせよ、ニホンウナギにせよ、資源が激減しているわけなので 近い将来、規制が加えられるであろうことは間違いないものと予想されます。

それぞれの水産資源の現状ですが、まずクロマグロについてですが、水産庁が今年1月に公表している 「かつお・まぐろ類に関する国際情勢について」が大変わかりやすく現状を説明してくれています。

それを要約すると、 

・ 日本国内における 2014年の まぐろとかつおの供給量は 66.7万トンで、そのうち、クロマグロの供給量は 4.24万トン(7頁)。  

・ クロマグロの供給量4.24 万トンのうち、輸入は 1.65万トン、国内生産量は 2.59万トン。また、国内生産量2.59万トンのうち、1.47万トンは養殖となっていて、国内漁獲量 0.98万トンよりも多くなっている(9頁)。  

ということになります(下図は「かつお・まぐろの国際情勢について」9頁をまるまる引用したものとなります)。

希少なクロマグロでは 養殖に力が入れられていて、 規制されても、養殖による代替が期待できそうな感想を持ちました。

 クロマグロ供給量.jpg

次は、ニホンウナギの方の現状についてです。

同じく水産庁が、「 ウナギをめぐる状況と対策について」という資料を今月公表しています。それにはいろいろな説明がされていますが、「ワシントン条約締結国会合で規制が決まっても、ウナギを食べることはできるのだろうか」という不安を打ち消すような内容とはなっていません。

 

養殖が決め手となりそうで、平成22年に シラスウナギの完全養殖に成功したということではあるそうですが、今もって、実証試験中の段階だということで、クロマグロのような成果は出ていないようです。

 

THE PAGEの今年3月9日の「ウナギ完全養殖の実験成功から6年、いまだ市場に出回らない理由とは」によると、

ウナギの場合、卵から稚魚に育つまでに半年ないし1年半もかかるそうです。それだけでなく、従来技術があまり応用できないため、新たに独自の養殖技術を確立していく必要があるそうで、そのため多大な時間を要している

ということだそうで、完全養殖まで 途半ば のようです。

 

現状のままだと、ウナギの蒲焼の方が、食べられなくなってしまう おそれが大きいようです。 


労働分配率 [検討]

団体交渉の際、会社の「労働分配率」が、低いことが指摘されることがありますが、

労働分配率は「 人件費 / 付加価値 」 によって 計算されるため、分子である「人件費」が大きい、また、分母の「付加価値」が小さいのであれば、労働分配率は高い数値となります。

そのことからも分かることですが、実際、労働分配率などは、同業の会社によっても まちまちです。 

 

そのような労働分配率ですが、1960年から2014年までの 50年あまりの間の年次推移は下表のとおりとなります(下表は、財務省広報誌「ファイナンス」平成27年12月号(通巻601号)84~93頁の財務省総合政策研究所副署長高田潔氏の「さらに企業利益率が改善した日本経済-平成26年度法人企業統計年次調査より-」の「図表15  労働分配率の推移」を引用したものです。) 。

 労働分配率の推移.jpeg

 

新聞では、労働分配率が下がったことがばかり報じられるわけですが、

好景気 → 人手不足→ 賃金上昇 = 労働分配率上昇 ということになりますので、労働分配率を上げることができないのは、景気がよくないからなわけで止むを得ない面があるといえます。 

 

財務省「法人企業統計」や、 TKC経営指標 の労働分配率を参考にして、

労働分配率が〇〇%となるよう昇給をする、しないという交渉をするわけですが、実際には、会社ごとで労働分配率はまちまちです。

あくまで、昇給の目安として 労働分配率 を使っているだけなのに、そのことがよく分かっていない人が 結構いますね。

 


ハンセン病特別法廷 最高裁、違法を認めて 謝罪 [検討]

最高裁が、ハンセン病患者の刑事裁判を療養施設に設けた「特別法廷」で開廷していた問題について、「社会の偏見や差別の助長につながった。患者の人格と尊厳を傷つけたことを深く反省し、お詫(わ)びする」と謝罪した、ということです(朝日新聞DIGITAL2016年4月25日「最高裁、謝罪したが違憲性は認めず ハンセン病特別法廷」)。
     
    
    
    
最高裁事務総局が委員会を開催し、有識者の意見を聞いた上で調査報告書を公表し、その調査結果に関し,最高裁判所裁判官会議が談話を発表した
   
ということで、それを新聞等が報道しているということになるようです。
     
    
ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する報告書」は最高裁判所事務総局を作成者とした報告書ということになりますが、
   
「第六 総括」「1 まとめ」(58、59頁)の箇所では、要約すると、
 
 
昭和23年2月13日の最高裁判所裁判官会議で、ハンセン病患者を被告人とする下級裁判所の刑事事件につき,裁判所以外の場所において法廷を開かせることについては,事務総局に処理させる旨の議決がなされた。
   
この専決権限の付与は法に適合しないものではないが,遅くとも昭和35年以降においては,当事がハンセン病に罹患していることが確認できれば,原則として開廷場所の指の上申を認可するという,専決の前提となった運用が相当性を欠く状況になっていた。
   
事務総局が,遅くとも同年以降,専決の前提となた状況が変化し運用の考え方が相当性を欠く状況になっていたことを裁判官会議に諮ることなく,その後も専決権限を行使し続けたことは相当ではなかったと考えられる。
   
開廷場所の指定は,指定する場合の開廷場所の特定方法及び開廷場所指定の内部手続において相当でない点があり,また,裁判所外での開廷の必要性の認定判断の運用は,遅くとも昭和35年以降,裁判所法69条2項に違反するものであった。
 
ということが述べられています。その上で報告書には、 
    
「このような誤った指定の運用が,ハンセン病患者に対する偏見,差別を助長することにつながるものになったこと,さらには,当事者であるハンセン病患の人格と尊厳を傷つけるものであったことを深く反省し,お詫び申し上げる。 」 
      
と書いてあります。
       
 
なんと、報告書で、最高裁事務総局が謝罪しています。
      
    
記者会見の映像を見ていて、どうして最高裁長官ではなく、事務総長が出てきて記者会見をし、謝罪の言辞を述べているのかしらんと思っていましたが、謎が解けました。
   
報告書において最高裁事務総局が謝罪をしていたから、そのトップの事務総長が謝罪したということか(記者会見の模様は、YouTubeのANNnewsCH「最高裁が"違法"認め謝罪  ハンセン病特別法廷(16/4/25)」、KYODO NEWS「ハンセン病隔離法廷『違法』と謝罪 最高裁、憲法判断は示さず」参照してみて下さい。)。
                                 
     

そのような前提で、最高裁判所裁判官会議談話、
  
「ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する調査報告書」を公表するに当たり,同報告書に示されたとおりハンセン病に罹患された方々への裁判所による違法な扱いがなされたことにつき,ここに反省の思いを表すものです。
 
長きにわたる開廷場所の指定についての誤った差別的な姿勢は,当事者となられた方々の基本的人権と裁判というものの在り方を揺るがす性格のものでした。国民の基本的人権を擁護するために柱となるべき立場にありながら,このような姿勢に基づく運用を続けたことにつき,司法行政を担う最高裁判所裁判官会議としてその責任を痛感します。
    
これを機に,司法行政に取り組むに当たってのあるべき姿勢を再確認するとともに,今後,有識者委員会からの提言を踏まえ,諸施策を検討して体制づくりに努め,必要な措置を,速やかに,かつ,着実に実施してまいります。
    
ハンセン病に罹患された患者・元患者の方々はもとより,御家族など関係の方々には,ここに至った時間の長さを含め,心からお詫びを申し上げる次第です。」
   
を読み返してみると、専決権限を与えた事務総局に対して 監督不行き届きがあったことを 謝っているだけにすぎないようにも読めます。
   
    
 
来週5月3日は憲法記念日で、恒例の最高裁長官の談話がありますが、ハンセン病の件についても何か述べられることでしょう。
      

建築物の完了検査実施率(その1) [検討]

私も ほんの少し前まで同じでしたが、多くの弁護士は、

「建築基準法が規定する 建築物の確認制度・検査制度上、建築主が建築確認を得て着工しているのであれば、完了検査も受けていて、検査済証も取得しているはず」

と誤解をしているのではないでしょうか。

 

国土交通省中部整備局のホームページの「建築確認制度」の箇所では、

「完了検査とは、工事が官製完了検査とは、工事が完成した段階で、その建築物が法令の基準に適合しているかを検査することをいいます。

具体的には、建築主のみなさまは、特段の理由(災害等、やむを得ない理由)が無い限り、建築工事が完了した日から4日以内に完了検査の申請をしなければなりません。この申請に基づき完了検査を建築主事や指定確認検査機関が行い、建築基準関係規定に適合していると認めたものについて、建築主のみなさまに対して『検査済証』が交付されます。

完了検査を受けないと、後に違法建築物であることが判明した場合に建築主に対して建築物の使用禁止や是正命令が出されたり、あるいは住宅金融公庫の融資が受けられなくなることがあります。」

などと、「完了検査の申請は建築主の義務」と解説しています。

こんな説明が もっともらしく 流布されているため、ナイーブな私などは「建築確認を受けているのなら、完了検査も受けているはず」と、誤解を正す機会を持つことなく今日まで来てしまっていました。   

「(建築確認を受けておきながら、)完了検査を受けていないなどというのは、ごく少数の不届き者」と思っていました。

確認制度・検査制度の概要.jpg 

(上図は 国土交通省のホームページ「参考資料(PDF形式:409KB)」から引用)  

 

 

ですが、現実には、そうではありませんでした。   

国土交通省は平成 26 年7月、「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」を定めましたが、同ガイドライン中では、

「建築基準法において、建築主は、工事完了後、建築主事又は指定確認検査機関による完了検査を受けて検査済証の交付を受けなければならないが、この検査済証の交付を受けていない建築物が、平成 11 年以前では半数以上を占めていた。」

ということを認めています。

ガイドラインでは、平成10年度(1998年)から平成24年度(2012年)までの間の完了検査率の推移を示したグラフを掲載してますが、平成10年の完了検査率を見てみると、38 %に過ぎません。

下図がガイドラインから引用したそのグラフです。 

完了検査率の推移.jpeg 

なお、ガイドラインでは「完了検査率」を 「当該年度における検査済証交付件数 / 当該年度における確認件数」と定義をしています。  

 

知らなかった方、多くなかったですか?

 


省令の誤りは訂正されることなく、なぜ10年以上 放置されてたのだろうか [検討]

平成16年(2004年)の年金改革関連法では、30ヶ所以上の条文の直し漏れがあり、厚労省の事務次官、社保庁長官(当時)、年金局長、官房長、情報局長、内閣法制局の長官、次長、担当部長、参事官が厳重注意などの内部処分を受けています(asahi.com2004年7月16日「年金法条文ミス、法制局と厚労省の担当者処分へ」)。
 
労働者派遣法での条文ミスでも、平成26年(2014年)に事務次官以下幹部6名を訓告処分を、労安衛法の条文ミスでは担当課長が厳重注意処分にされています(産経ニュース2015年2月20日「厚労省、また条文ミス ×労働省→○労働者 担当者を注意処分」)。
     
 
これらは、法律の条文のミスに関しての処分についてですが、省令でもミスについて責任を誰かが取ることになるはずです。
   
    
 
法率の訂正であっても軽微なものならば、官報に載せれた足りるということですので、
    
省令の訂正も同じで、官報に訂正を載せさえすればよいはずです(asahi.com2004年7月27日「条文ミスは『形式的な誤り』  年金改革法、官報で訂正を」)。
   
でも、そんなことをすれば、誰かが責任をとることになります。
     
 
知らぬ顔の半兵衛 を決め込み、省令を改正する際に、気付かれないように訂正してしまうおうとしたのでしょう。
   
それが、たまたま10年経過してしまったということなのでしょう。 
       

残業月80時間以上の事業場へ立ち入り調査の基準を拡大 [検討]

政府は、長時間労働に歯止めをかけるために、1カ月の残業が100時間に達した場合に行う労働基準監督署の立ち入り調査の基準を月80時間に引き下げる方向だということです(日本経済新聞2016年3月24日「残業80時間で立ち入り調査  対象、300万人に拡大」)。
   
現状において、1カ月80時間以上の残業をしている常勤労働者は約300万人いて、労働基準監督署がこれまで立ち入り調査の調査対象としていた、100時間超の常勤労働者約110万人から、対象者が190万人増え、
 
調査対象事業場についても(記事では100時間超の事業場数が書いてないため分かりませんが、) 20万超 になるといういことです。 
   
 
労働基準監督署の定期的な立ち入り調査は、記事にあるように、平成26年(2014年)で12万9881件でした。
 
厚生労働白書で、労働基準監督官の定期監督件数を確認してみたところ、最近は年間10~14万件ほどです(平成27年版厚生労働白書 資料編4 労働条件労使関係」)。
   
  
どうやって残業次回月80時間の事業場 20万超の立ち入り検査を こなすのだろうかと一瞬、疑問が生じましたが、それは大間違いでした。
   
記事には、
    
「実際は労基署の監督官の数が限られるため従業員による通報などを通じて悪質な企業を把握し、重点調査する」 
 
と ちゃんと書いてあります。
   
年度内に全事業場の立ち入り調査をするというわけでなく、残業時間月80時間の、20万超ある事業場のうち、重点調査先となる事業場への調査を行うということです。
 
現時点での労働基準監督官の人数の下でも調査は十分可能です。
   
網の目の粗さをどうするかという問題はあるのでしょうが。

        
    

厚労省が2010年7月1日の省内事業仕分けにおいて「労働基準監督業務」を仕分け対象とした際に提出している「労働基準監督業務について《事務・事業説明資料》という資料の中に、「監督策定の具体例(A局B署)」」と題したポンチ図(下図はそれの引用)が載っています。
 
労働基準監督の計画策定を説明した資料ということになりますが、この図から、、
 
労働基準監督署に所属する労働基準監督官の総業務量を、定期監督を含む各業務ごとに業務量を割り付ける。
   
定期監督分の監督件数については、考慮すべき事情を勘案して、重点対象ごとに件数を設定していく。、
 
というようにして計画が策定されることが理解できます。 
 
 
 監督計画の策定の具体例.jpeg
 
 
残業時間月80時間以上の事業場の定期監督であれば、 
 
管内の残業時間80時間以上の事業場のうち、「従業員による通報があった事業所  〇〇件」というよに、立ち入り検査をする定期監督の件数についての計画を立て、その計画に基づいて調査を実施していく
  
ということになるわけですね。
     
 

老犬ホーム と 犬猫の引き取り [検討]

自分で面倒を見ることができなくなった人が、飼い犬や飼い猫を預かってもらう「老犬ホーム」、「老猫ホーム(「ロウビョウホーム」とテレビでは言ってました) 」という民間施設があり、預り料は月額3万円からで、痴呆のため夜泣きや徘徊する犬猫を預ってくれるところもある、とテレビの情報番組でやっていました。 

「老猫ホーム」の方は載ってませんでしたが、「老犬ホーム」の方は「コトバンク」にも載っているので、社会にそれなりに浸透している用語ではあるようです。

インターネット検索をしてみると、いろいろな 老犬ホーム、老猫ホーム の宣伝が見つかります。値段もサービスも様々、いろいろあることが分かります。

ざっと目を通してみたところでは、料金は安いところでは月額3万円、町中にあると月額5~8万円、中には月額15万円というところもありました。

結構、するんですね。

お金をお持ちの方は、料金を支払って犬や猫を預かってもらえばよいわけですが、ない人はどうしたらよいのでしょう。

 

動物愛護法は、都道府県等は犬猫の所有者が犬猫の引き取りを求められたときは引き取らないといけないと規定していますので、それを使えばよいということになります。

私が住む名古屋市の場合ですと、「名古屋市動物愛護センター」が 動物愛護管理法第35条第1項に基づく、犬猫の引き取り業務を行っています。

なのでまず、センターに、飼育継続が困難なので引き取ってもらいたいと求めることになります。

センターは、犬猫の所有者からの引き取りの求めが動物愛護管理規則第21条の2の第1号ないし第7号の引き取り拒否事由に該当しないのであれば、犬猫を引き取ることになります。

但し、引き取りは無料ではありません。成犬・成猫は1頭2,500円、小犬・子猫は1頭500円掛かることになります。

 

ちなみに、名古屋市動物愛護センターにおける 平成26年度の犬猫の引き取りの頭数は、

    犬    成犬   77頭    小犬     6頭      計  83頭

    猫    成猫 183頭    子猫 220頭      計 403頭

だったということです(名古屋市のホームページ「名古屋市動物愛護センター事業概要」の「平成26年度 名古屋市動物愛護センター事業概要」の15頁参照)。

猫それも子猫が多いんですね。

 

ところで、センターに引き取られた犬猫の一部は他の人に譲渡されることになりますが、残ったもので、譲渡不能と判断された犬猫については 炭酸ガス処分機で殺処分されて、その後、焼却されることになります(事業概要22頁)。 

名古屋市動物愛護センターにおける平成26年の犬猫等の焼却頭数は、

     犬    成犬  59頭                     計     59頭

     猫    成猫 290頭   子猫 904頭  計 1,194頭

の計1,253頭になるそうです。ただし、この焼却頭数には、収容時・収容中に死んだ犬猫の数が含まれているということなので、殺処分された犬猫の頭数はこの焼却頭数よりも、多少、少ないことになります(概要22頁、54頁)。

また、この焼却頭数には、センターが引き受けた犬猫のうち、殺処分された後に焼却された犬猫に加え、センターが捕獲した犬や自活不能猫などの犬猫で、殺処分されて後に焼却された犬猫の頭数を含んでいることになります。

つまり、ここで表されている犬猫の焼却頭数は、センターが引き取った犬猫のうち、殺処分された頭数とは 近似値を示しているわけではないことになります。

 

    
最後に、事業概要55頁では、
 
犬について
 
      平成26年度  譲渡頭数 132頭    救命率(%)  引受犬 73.5%  
     
 
と記述されていますがこれは、
 
「センターが引き取った犬83頭は、73.5%となる 61頭が譲渡されたが、残り22頭は殺処分された」
  
ということを表しています(ちなみに、事業概要20頁には、譲渡頭数のうち61頭が引取り犬からとの記述があります。)。
    
   
猫については、
 
   
         平成26年度  譲渡頭数 416頭   救命率(%)(返還猫を含む)  26.3% 
 
とだけ書かれています。
   
センターが引き取った猫403頭の、ほぼ 4分の3は殺処分 されたと理解でよいのでしょうが。
     
 
 

核使用は憲法上禁止されていない [検討]

昨日の 参議院予算委員会で、横畠裕介内閣法制局長官が、核使用は憲法上禁止されていないとの答弁をされたということだそうです(産経ニュース2016年3月18日「【参院予算委】『核使用は憲法上禁止されず』  横畠内閣法制局長官」、YouTubeのnekoarisさん投稿の「2016 03 18 参議院予算委員会 集中審議」で確認してみますと、白眞勲議員の質問中の 1時間57分50秒から2時間5分25秒 の箇所に答弁を内容を確認できます。)。

 

これまでの政府見解として明示的に示されていたのは「核保有は憲法9条に触れない」ということだけだったようです。

原水禁・平和運動のwebサイトである「核兵器否定のHP」中の「核兵器と憲法問題に関するメモ」を読んでみると、

1978年(昭和53年)に真田秀夫法制局長官(当時)が衆議院予算委員会で「自衛のための必要最小限を超えない範囲内であれば核兵器の保有は憲法第9条第2項によって禁止されていない」と答弁しているとのことなので、国会会議録検索システムで確認してみることにしました。

確かに、昭和53年3月11日開催された 衆議院予算委員会で次の答弁がなされていることを議事録で確認できました。

○政府委員(真田秀夫君)

峯山委員の御要望によりまして、一昨日、書面をもってお示しいたしました「核兵器の保有に関する憲法第九条の解釈について」という文書を朗読いたします。

一 政府は、従来から、自衛のための必要最小限度を超えない実力を保持することは憲法第九条第二項によっても禁止されておらず、したがって、右の限度の範囲内にとどまるものである限り、核兵器であると通常兵器であるとを問わず、これを保有することは同項の禁ずるところではないとの解釈をとってきている。

二 憲法のみならずおよそ法令については、これを解釈する者によっていろいろの説が存することがあり得るものであるが、政府としては、憲法第九条第二項に関する解釈については、一に述べた解釈が法解釈論として正しいものであると信じており、これ以外の見解はとり得ないところである。

三 憲法上その保有を禁じられていないものを含め、一切の核兵器について、政府は、政策として非核三原則によりこれを保有しないこととしており、また、法律上及び条約上においても、原子力基本法及び核兵器不拡散条約の規定によりその保有が禁止されているところであるが、これらのことと核兵器の保有に関する憲法第九条の法的解釈とは全く別の問題である。

以上のとおりでございます。

これが、核保有について内閣法制局が明示的に示している見解であることになるようです。

 

他方、核兵器の使用について、明示的に示されている政府見解はないようです(首相官邸HPの平成25年11月13日内閣官房副長官補作成「安全保障の法的基盤に関する従来の見解について」参照)。

今回の横畠内閣法制局長官の答弁は、核兵器の使用に関して明示されていなかった、

「核兵器の使用が憲法上否定されていない」

との見解を明示した点で、政府側から見れば 一歩前進させたということになるのではないかと思いました。

 

そのような観点から新聞報道を見比べてみまたのですが、朝日新聞が、

「日本政府は核兵器をについて『作らず、持たず、持ち込ませず』の非核三原則を国是としており、法制局長官が制約を前提としながら核使用について言及するのは極めて異例だ。」

と、横畠長官の核使用に関する答弁を「異例」と評しているぐらいのもので、新たな判断が示されたと評する紙面は見あたりませんでした(朝日新聞ふDIGITAL2016年3月18日 「 法制局長官、核使用『憲法ですべては禁止されていない』」)。

 

そんな節穴だらけであるわけがないので、調査漏れをしているだけなのかもしれません。 


レセプト債の販売手数料は高くない ? [検討]

証券取引等監視委員会が、ホームページで 「アーツ証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について(平成28年1月29日)」を報道発表していますが、
 
参考資料が今回のアーツ証券が主導で販売して3種類のレセプト債の販売の状況を 大変分かりやすく整理をしています。 
     
 
 
この参考資料において、販売手数料の総額と、そのうちのアーツ証券分として載っています(13頁「発行会社3社の資金の収支の概要(平成27年10月末現在)」)。 販売手数料の総額は41億円で、うち、11億円がアーツ証券販売分、残り30億円が6社が販売分ということになるようです。
 
販売手数料の金額の方はこれで分かりましたが、アーツ証券と残り6社は、どの程度の料率の販売手数料を得ていたのでしょうか。   
 
社債発行残高は、平成27年10月末において、3社合計で 227億円ということです。
   
3社のうち、オプティ・メディックス・リミテッド(OPM)発行分の社債発行残高は、平成22年12月末に139億円だったのが、平成27年10月末では129億円に減少しています。また、メディカル・リレーションズ・リミテッド(MRL)発行分についても平成25年4月末に46億円であったのが、平成27年10月末には41億円に減少しています(12頁「発行会社3社の社債発行残高及び運用実態等の推移」参照)。
 
これら2社については、社債が一部償還されていることが確認できます。
 
ですので、3社の社債発行残高 227億円には、OPMとMRLの2社の償還された社債分の金額が含まれていないこととなり増すきで、もし、償還された社債分も勘案すると、販売された社債の総額は、例えば、250億円とか、260億円とかになるものと思われます。
   
    
 
社債の販売手数料を、平成27年10月末時点の社債発行残高で除したとしても、そこに出てきた数値は、販売手数料の料率を表したものではありません。
 
とはいうものの、手数料の料率がどの程度であったかかを推察する、数値 であることにはなります。
    
   
その数値は、アーツ証券 16.42 % 、それ以外の6社  18.75% というものでした。 
      
 
この結果からみると、レセプト債の販売手数料の手数料料率が 10% を超えていたことは容易に想像できます。
 
馬鹿高いという感想を持ちましたが、どうなのでしょう。
   
証券会社がレセプト債を販売して得ていた販売手数料が高額であったとの 報道に接した記憶がありません。
    
   
もしかすると、今回の販売手数料は 証券業界では常態のもので、飛び抜けて高額だというわけでもないので、報道に値しないため報道されていないのかもしれません。  
      
    
そうだとすると、私は「販売手数料の料率を販売時に開示させるようにすれば、レセプト債問題などは即座に解消するだろうと」と安易に考えていましたが、
   
それでは駄目なのかもしれませんね。 
    
   
    
販売手数料と販売残高.jpg 
 
  アーツ証券が取り扱っている社債の概要(2).jpg
 
   
発行会社3社の資金の収支概要.jpg