「ゆう活」 と 「朝型勤務」 は同じこと [感想]
最近、やたら早く出社される方を よく見かけるようになった気がします。
7時前に 損保会社のビルには多くの社員が吸い込まれていきますが、朝型勤務が定着してきたから、それとも、たまさかのことなのでしょうか。
昨年(2015年)4月9日の日経新聞の記事(「残業削減へ朝型勤務 東ソー、早朝は割増金 東京会場、17時半に退社 政府が助成金検討」)では、
「東京会場日動火災保険では、14年(平成26年)5月から若手・中堅社員を対象に週1回の頻度で午後5時半の退社を求める制度を導入。同年11月には業務用端末を使用できる時間も午前8時からと30分早めた。」
と報じていました。端末使用が午前8時からということなら、7時出社もありそうではあります。
観測継続です。
出社時間を早めた朝型勤務を「ゆう活」と呼ぶのを よく聞くようになりましたが、「ゆう活」と朝型勤務は一緒のものなのでしょうか。
政府広報オンラインを見てみると、「ゆう活」について、
「日照時間が長い夏に、朝早い時間に仕事を始め、早めに仕事を終えることで、また明るい夕方の時間を有効に活用し、生活を豊かにしようという取組」
と説明がされています。
この「ゆう活」という名称自体が、 政府がネーミングをいた造語です(内閣官房2015年4月24日「『夏の生活スタイル変革』の通称について」)。
「朝型勤務で夕方には退社しよう」とのムーブメントが「ゆう活」とネーミングされているということですか。
「ゆう活」について 加藤勝信一億総活躍相は、残業時間の縮減に効果があったので、今年もやると言われています(日経新聞2016年4月18日「今年も『ゆう活』、朝型勤務進める 総活躍相」)。
残業時間の縮減に効果があったということですがデータは公表されていないようです。
効果があったのであれば、是非、推進してもらいたいものです。
登記情報提供サービスには死角がある 2 [証拠収集]
平成25年(2013年)5月22日のブログ(「登記情報提供サービスには死角がある」)では、
① インターネットの「登記情報提供サービス」では、調査対象会社の商号がAからBへ変更し、本店所在地を管轄が違う法務局(ないし地方法務局)管内に移転されてしまうと、A社を商号として「商号・名称」で検索をしても「記録がありません」と表示されてしまうこと、
② ①に関し、「会社等法人番号」を知っていて「会社等法人番号」で検索が可能であれば、「会社等法人番号」で検索した場合、検索結果画面には、商号変更後の B社 が表示される。そのB社の登記情報を取得すれば、調査対象会社の商号がAからBへ変更され、本店所在地が変更されていることを、「登記情報提供サービス」でも調査が可能であること、
③ 法務局の窓口に出向き、登記情報交換システム を使った交付請求であれば、「会社等法人番号」を知らなくとも、商号がAからBに変更された後に本店所在地が移転された記載がされている 閉鎖事項証明書の交付を受けることができること、
を述べていましたが、これら ①~③の記述のうち、 ③の箇所に 誤りがあることが分かりました。
それは、法務局の登記情報交換システムを使った請求でも お手上げであったことで分かりました。
東京都港区のX社が会社分割により、本店所在地をY社として新設分割していることが登記情報の記載から判明したので、Y社を調査しましたが、登記情報提供サービスの「商号・名称」検索では Y社を見つけることができません。
Y社の「会社等法人番号」までは分かっていません。そのため名古屋法務局の窓口で、登記情報交換システムを使ったY社の登記事項証明書の交付請求をしました。
Y社のゆくえは これで判明するものだと思っていたのですが、案に反して、「調べても分からないので、Y社を管轄する 東京法務局港出張所へ郵便で請求して下さい」と用紙を突き返されてしまいました。
私の3年前のブログでは、
法務局の職員の方が「法務局のコンビューター端末は、「株式会社〇〇〇〇」、「愛知県△△市」と入力すると、検索画面に「株式会社××××」に商号変更されていることが表示されるので、見つけることができる」と言っていた
と書いていました。
しかし、今回の結果を踏まえると、
商号変更がされた表示がコンビューター端末に表示されるのは、登記事項証明書の交付を請求した会社が、法務局の管轄区域内に本店所在地を有している場合だけ、
ということになります。
名古屋法務局のコンピューター端末には、本店所在地を東京法務局港出張所管轄区域とした Y社のその後の行方の手掛かりとなる検索表示は何も表されないため、
これ以上、Y社のことを調べたいなら東京法務局港出張所に請求しないといけない、というのが今回の調査結果です。
こんな安っぽい機能しか実装されていないシステムだなんて 思ってもいませんでした。
自転車保有台数は 約 7200 万台 [豆知識]
日本における自転車保有台数は 約 7200 万台ということが 官庁における 共通認識 だということになるようです。
下のグラフは、国土交通省「平成26年度 政策レビュー結果(評価書)」「平成27年3月『自転車交通』」9頁「図1 自転車保有台数の推移」を引用したものですが、グラフは自転車の保有台数が平成25年(2013年)は 71,551千台 であることを示しています。
自転車保有台数のデータは、警察庁の「自転車施策をとりまく環境」で引用されている「■ 自転車保有台数の推移」や、総務省の「自転車交通安全対策に関する行政評価・監視(PDF)」「図表 1-⑴-① 我が国における自転車保有台数の推移(昭和45年~平成25年)」でも確認することができますが、それらはいずれも国交省と同じデータが使われています。
■ 自転車保有台数は、自動車保有台数より多く 平成17年で約8,700万台である
昭和45年から平成20年までは 一般社団法人自転車協会 資料
盗難自転車の被害回復率 [豆知識]
盗難に遭った自転車が、被害届を出した持ち主に返還される割合を「被害回復率」と言うそうですが、どの程度のものなのでしょうか。
公表された資料がなかなか見つけることができません。
そう思っていたところ、国交省の「自転車をとりまく話題(参考)」という資料の10頁に、「防犯登録数と自転車盗の推移」と題した、北海道警察での平成8年から平成17年までの10年間の 自転車の防犯登録数、自転車盗の件数、被害回復率をグラフ化した表が掲載されているものを見つけることができました。
下に引用したものがその表をキャプチャーしたものとなります。
被害回復率は 27%から42% に上昇、自転車盗は27,574台から12,147台へ約6割減したということです。
他の都道府県警察はどうかと調べたところ、警視庁も「乗り物盗被害回復」という統計資料を作成していて、回復率として 25% という数字が記されていることを見つけました。
ですが残念なことに、警視庁の乗り物被害回復率は、自転車、オートバイ、自動車等の乗り物を全て含めた回復率のことで、自転車だけの被害回復率はこの資料からは分かりません。
そうこうしているうちに、岩手日報が2009年(平成21年)11月26日朝刊の「盗難自転車の返還率 本件80%前後 全国トップ級 交番、駐在所努力実る」という記事があることが分かりました。
新聞・雑誌記事横断検索で記事を確認したところ、
「盗難に遭った自転車が、被害届を出した持ち主に返還される割合を示す「被害回復率」で、
岩手県は 過去 5年間、被害回復率は 80%で推移しており、全国平均の約2倍 」
と記事に書いてあることを確認することができました。
平成19年当時、被害回復率は、全国平均で 40% 程度 であったことはこれで、何とかはっきりしました。
ハンセン病特別法廷 最高裁、違法を認めて 謝罪 [検討]
最高裁事務総局が委員会を開催し、有識者の意見を聞いた上で調査報告書を公表し、その調査結果に関し,最高裁判所裁判官会議が談話を発表した
ということが述べられています。その上で報告書には、昭和23年2月13日の最高裁判所裁判官会議で、ハンセン病患者を被告人とする下級裁判所の刑事事件につき,裁判所以外の場所において法廷を開かせることについては,事務総局に処理させる旨の議決がなされた。この専決権限の付与は法に適合しないものではないが,遅くとも昭和35年以降においては,当事がハンセン病に罹患していることが確認できれば,原則として開廷場所の指の上申を認可するという,専決の前提となった運用が相当性を欠く状況になっていた。事務総局が,遅くとも同年以降,専決の前提となた状況が変化し運用の考え方が相当性を欠く状況になっていたことを裁判官会議に諮ることなく,その後も専決権限を行使し続けたことは相当ではなかったと考えられる。開廷場所の指定は,指定する場合の開廷場所の特定方法及び開廷場所指定の内部手続において相当でない点があり,また,裁判所外での開廷の必要性の認定判断の運用は,遅くとも昭和35年以降,裁判所法69条2項に違反するものであった。
「このような誤った指定の運用が,ハンセン病患者に対する偏見,差別を助長することにつながるものになったこと,さらには,当事者であるハンセン病患の人格と尊厳を傷つけるものであったことを深く反省し,お詫び申し上げる。 」
「ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する調査報告書」を公表するに当たり,同報告書に示されたとおりハンセン病に罹患された方々への裁判所による違法な扱いがなされたことにつき,ここに反省の思いを表すものです。長きにわたる開廷場所の指定についての誤った差別的な姿勢は,当事者となられた方々の基本的人権と裁判というものの在り方を揺るがす性格のものでした。国民の基本的人権を擁護するために柱となるべき立場にありながら,このような姿勢に基づく運用を続けたことにつき,司法行政を担う最高裁判所裁判官会議としてその責任を痛感します。これを機に,司法行政に取り組むに当たってのあるべき姿勢を再確認するとともに,今後,有識者委員会からの提言を踏まえ,諸施策を検討して体制づくりに努め,必要な措置を,速やかに,かつ,着実に実施してまいります。ハンセン病に罹患された患者・元患者の方々はもとより,御家族など関係の方々には,ここに至った時間の長さを含め,心からお詫びを申し上げる次第です。」
「交通事故審理、迅速化へモデルを作成 … 最高裁」の記事の続き [報告]
今月(2016年4月)14日、YOMIURI ONLINE に 「交通事故審理、迅速化へモデルを作成 … 最高裁」という記事がアップされました。
読売新聞の記事は数日で消えてしまうのですが、何故かこの記事は 今も読むことができます。
とは言うものの、無料で読むことができるのは、リードとボディーの一部で、概要、
「弁護士保険の普及で、全国の簡易裁判所で物損事故などを巡る訴訟が急増し、審理も長期化している。
最高裁は審理の迅速化のための対策に乗り出し、争点を絞り込みやすい訴訟の進め方や判決のモデルを作成して、不必要に訴訟を長引かせる主張や立証に歯止めをかける。モデルは今年秋頃に報告書としてまとめる予定。」
ということが書かれています。
全文 954文字中の、残り630文字を読むには、「読売プレミアム」(有料)の登録が必要ですが、一つの記事のために、わざわざそんな登録できません。
新聞・雑誌記事横断検索であれば、1記事100円で読むことができるので、今回は そっちの方を使うことにしました。
それで分かったことなのですが、YOMIURI ONLINEの 「交通事故審理、迅速化へモデルを作成 … 最高裁」(全文954文字) という記事は、
読売新聞の「交通事故審理 迅速化へ 最高裁、 簡裁向けモデル 訴訟 15年で 8倍に」という全文1,660文字の記事をダイジェストにしたものであることが分かりました。
まずは、 読売プレミアムに登録しないと読めない 630文字の部分ですが、書かれている内容は次のようなことです。
1 物損事故などを巡る訴訟が急増している原因と考えられているのが弁護士保険の普及である。原告や被告に弁護士が付く割合は約 62 %(00年)から約 94 %(15 年)に上昇。これに伴い、本来の争点とは関係がない細かい点まで争うケースも増加している。
2 簡裁は請求額が 140万円以下と少額の訴訟を簡易な手続きで迅速に解決するところであるが、近年は賠償請求額より弁護士費用の方が高かったり、勝訴の見込みが薄くても裁判を続けたりする例が後を絶たない。
3 最高裁の司法研修所は、簡裁が本来の役割を果たせるようにする必要があると判断し、2015年4月から対策を検討し、2016年3月に 審理と判決のモデルを作成した。
4 審理のモデルは主張や証拠の乱発で審理が長引く事態を防ぐためのもので、物損事故では、審理開始前に事故状況や車の損傷について資料提出を求め、争点を絞り込むことにする。
5 事故態様について「タクシーと一般車両の事故」、「出合い頭の衝突事故」など 10のパターンを例示して、それぞれに最適な審理案も示す。
6 最高裁はモデルにより不要な証人尋問や鑑定などを抑制できれば期間も短縮できるとみる。
7 審理のスリム化に対応した判決文のモデルも示し、事故状況は図面で表すなどして判決文をA4 判 5枚程度に収めるよう提案している。
8 最高裁では「簡裁の裁判官だけでなく弁護士にも読んでもらい、スピーディーな審理を実現してほしい」としている。
次に、読売新聞の方だけに掲載された 記事(706文字)の方ですが、 出だしから半分くらいは、
「◆依頼者負担なく 無理な主張も
ドライバーの車への愛着について細かく主張し、賠償の増額を求めてくる」「ブレーキの踏み遅れに関して履物の種類まで争う」。弁護士保険の普及で生じた事態に、簡裁の交通事故訴訟の現場からは困惑の声が上がる。
簡裁関係者は「費用を出さずに済む依頼者が不当な主張をすることが増え、弁護士も言いなりになりがちで、訴訟長期化の要因になっている」と話す。依頼者に100%の過失があっても「被害者」と主張したり、和解成立の直前に請求内容を追加して裁判を続けたりする例もあるという。
最高裁の判決モデルについて、あるベテラン裁判官は「これまでは争点が増えるにつれて判決文も長くなる傾向にあり、簡裁には重い負担になっていた。今回のモデルが浸透してくれれば」と期待する。 」
(以下略)
というものです。
ひどい弁護士がいるもんですね。ただし、この記事のとおりであればですが。
でも、弁護士の馬鹿な主張に対しては訴訟指揮で対応すればよいだけですし、根気よく和解などせず、判決で白黒付ければよいだけのことではないのかという気がします。
変な弁護士のことを あげつらわなくても よさそうなものではないのでしょうか。
自転車の防犯登録の意味 [豆知識]
自転車の防犯登録には、どういう意味があるのだろうかについて、東京都自転車商防犯協力会のホームページの「防犯登録Q&A」を見ながら考えてみました。
「Q1 必ず登録しないと行けないのでしょうか?」では、
「A 法律により「自転車を利用するものは、その利用する自転車について国家公安委員会の規定で定めるところにより都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録を受けなければならない」と義務化されています。
罰則規定ははありませんが、登録をしていれば盗難に遭った時、自転車がもどりやすくなります。」(以下略)
という説明がされています。
これは、「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律」では、第12条第3項が「自転車を利用する者は、その利用する自転車について、国家公安委員会規則で定めるところにより都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録(以下「防犯登録」という。)を受けなければならない。」と規定していますが、同法には罰則がないので違反があっても罰せられないということを言っているわけです。
説明では、(防犯)「登録をしていれば、自転車盗に遭った時、自転車がもどりやすくな」るとの説明がされていますが、防犯登録シールが剥がされて残っていなければ、誰の自転車なのかはわかりません。
なので、「登録をしていれば」ではなくて、「防犯登録シールが剥がされていなければ」というのが 正しい説明なのでしょう。
自転車の防犯登録は、登録しようとする側からみれば、その程度のものでしかないことになります。
「なーんだ」ですが、費用は 500円程度なので、私も含め多くの人は、深く考えることなく、自転車屋の勧めにしたがって、防犯登録しているんでしょう。
登録するサイドからは その程度なのですが、盗難自転車を取り締まるサイドから見ると違った姿が見えてきます。
下図は平成27年版警察白書に掲載されている「1-1-2-2図 平成26年 窃盗 認知件数の手口別構成比」 ですが、
自転車盗の認知件数 は圧倒的なボリュームを占めていることがわかります。
窃盗の認知件数の約3分の1が 自転車盗 です。
あやしそうな奴に職務質問をして、自転車盗を見つけているのでしょうが、
防犯登録シールを剥がされてたりすると、調べようがありません。
シールを剥がして盗難自転車に乗るような(犯罪傾向が進んでいる)者を、職務質問で検挙できてないのではないだろうかという疑問はありますが、
防犯登録が 自転車盗の検挙 に役立っていることは間違いないようです。
消除された住民票の保存期間5年は 短い過ぎではないの [感想]
私の本籍とか、私のマイナンバー
雀荘の件数の推移 [感想]
どんな辺鄙な盛り場でも、見渡せば雀荘の看板の 2つ、3 つ、見つけることができたはずですが、最近はそうではありません。
予め調べておかないと、メンツが揃っていても 雀荘がなくて 麻雀ができないということになってしまいます。
先日、大学時代の雀友と飲み会をした後に、そういう目に遭って白けてしまいました。
あんなにあった雀荘は どれだけ減ってしまったのでしょうか。
警察庁のホームページに掲載された、昭和48年から平成27年までの警察白書 と、「平成27年における風俗環境の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」を使えば、昭和43年(1968年)から平成27年(2015年)までの 雀荘の数(営業所数)を簡単に調べることができます。
下表がそれをグラフ化したものですが、パチンコ店も比較のため一緒に載せておきました。
私の大学入学は昭和54年(1979年)でしたが、その当時、雀荘の数はピークだったことになります。
昭和43年(1968年)から昭和54年(1979年)までの間に、雀荘の数は 1.5倍増しています。
阿佐田哲也の「麻雀放浪記」の連載が昭和40年(1965年)、阿佐田、小島武夫、古川凱章らが麻雀新撰組を結成したのが昭和45年(1970年)で、同年に名人戦も開始されたということ。
「近代麻雀」が昭和47年(1972年)に「プロ麻雀」が昭和50年(1975年)に創刊されて麻雀ブームが起きたということのようです。
明けても暮れても麻雀ばかりしていましたが、プームだったんですね。
建築物の完了検査実施率(その2) [調査]
(今日は昨日の続きです。)
「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」から、
平成10年(1998年)度の完了検査率が 38 % であったことと、同年度以降の完了検査率は、分かりましたがそれ以前の完了検査率は どの程度だったのでしょうか。
「低かったため載せないのだろう」との予想はできるのですが、性分なのでしょう。
それをはっきりさせたいと思いました。
国交省のホームページでは見つけることができませんでした。
キーワードを変えて いろいろ検索してみたところ、「建築基準法に基づく完了検査実施率の向上に関する研究」という題名の増渕昌利氏の博士論文に、1965年(昭和40年)から2010年(平成22年)までの完了検査率が掲載されているのを見つけることができました(同論文40頁)。
(下のグラフは同論文40頁の図3-2 を引用したものとなります。)
(論文で使われている 「みかけの完了検査率」とは、当該年度の確認件数を分母に、当該年度に完了検査済証拠交付された件数を分子に算出する。」とありますので(同論文37頁)、国交省がガイドラインで使っている「完了検査率」と同じものであることになります。
日本建築行政会議という団体が、「現在採用されている完了検査率は、当該年度の確認済証交付件数を分母に、当該年後の検査済証交付件数を分子にして算出した値である。概算であるために少ない労力で算出できる利点があり、検査率が低い時点でのおおまかな方向性を捉えるには有効な指標である。検査率が高くなると、子数となる検査済証交付件数が母数である確認済証交付件数の個々に対応したものではない為、確認済証交付件数が急激に減った場合に100%を超える等、その指標としての有効性が損なわれる」弱点を指摘し、「みかけの完了検査率」と呼んだということて、論文中では国交省の言う「完了検査率」のことを、「みかけの完了検査率」と呼ぶことにしているということになるようです。)
同論文40頁では、「完了検査率」の推移について、
・ 1965年(昭和40年)度の 完了検査率 は26.9%。
・ その後、確認件数の増加と完了検査率の低下が続き、1972年(昭和52年)度には 17.7%、1973年(昭和53年)度は 18.3%にまで低下した。
・ その後、確認件数が増減を示す中で 完了検査率 は漸増に転じたものの 1998年(平成10年)度で 44%に過ぎなかった。 完了検査率がようやく50%超 となったのは 2000年度を待たければならなかった。
・ 以降、2001年(平成13年)度にかけて 完了検査率 が急上昇していが、この間は建設省(現国土交通省)が定め建築物安全安心推進計画の「重点実施期間」と一致する。2006年度には約79%に向上した。
と要約されています。
最後に、どうして、「完了検査率」が 40%程度から90%まで 急増しているのかですが 、同論文の要旨 には、
「阪神・淡路大震災で多数の違反建築物が被災した教訓から、" 申請主義 " であった建築行政が「全ての建築物の適法性確保」の為に「完了検査の全数実施」を目標に掲げ、年度ごとの完了検査実施率を数値目標に掲げた" 受検督促 "に転換した結果、全国の完了検査実施率が約90%に向上した (以下略)」
と述べられています。
まずいことが阪神淡路大震災で 露見したからということのようです。