対面証券とネット証券の投信関連手数料 [豆知識]
モーニングスター社長の朝倉智也氏が著した
「低迷相場でも負けない資産運用の新セオリー」
という本(25頁)から引用したのが下図です。
この図から何が分かるか と言いますと、
対面証券会社とネット証券会社 では、投資信託の販売に関連して受け取る手数料の内訳が逆であること
です。
対面証券会社では、販売手数料が 72 %であるのに対し、信託報酬は 28 %、
他方、
ネット証券会社だと、販売手数料は 32 %に過ぎないのに対し、信託報酬は 68%、
となっています。
対面証券会社とネット証券会社では、販売手数料と信託報酬の比率が、ほぼ反対です。
朝倉氏は、その理由について、
手数料の内訳にこれほど大きな差がついているのは、対面証券会社の営業マンが積極的に販売手数料の高い投信を売っているからでしょう。
もっと言えば、投信を回転売買のツールにし、個人投資家に繰り返し投信の乗り換えを勧めることで、強引に販売手数料を稼いでいるのではないでしょうか。
と述べています。
また、対面証券会社の営業マンに対しては、
半期や四半期という短期間でどれだけ手数料を稼いだかが評価される世界ですから、「仕事を頑張って成績をあげよう」と思えば、高コストな商品を熱心に勧めたくなるのも仕方がないでしょう。
担当している顧客が、保有する投信を売って乗り換えてくれれば、すぐに 3 %、4 %といった高い手数料が稼げるのですから、回転売買に走るのも無理はありません
と、個人レベルで責めることはできないと同情を示され、これが構造的ものだとの意見を述べられています。
銀行での投信の窓口販売でも、これは同じことでしょう。
朝倉智也氏著の「低迷相場でも負けない資産運用の新セオリー」は書評でその存在を知りました。
この本の第1章 人気の投資信託だけでは、まともな資産運用はできない」では、
日本における投信販売の実態が赤裸々に述べられています。
投信を売る側に 朝倉氏はあるはずですが、そんなことお構いなしです。
本の後ろの章に行くほど、海外ETFの営業っぽくなって行きますので、第2章以下はお薦めしませんが、
第1章部分だけは大変参考になるのではないかと思います。
ちなみに、この第1章部分は、
朝倉智也氏が、平成23年12月26日開催された金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方」ワーキンググループの第9回会合で、
モーニングスター代表取締役COOとしてヒアリングをされた際に、提出をされた
「 投資信託に関する現状の課題と対応 」
と題する資料を提出されていますが、本はこの資料の内容をアップデートし、文章化したものとなるようです。
ですので、この「投資信託に関する現状の課題と対応」に目を通せば、
わざわざ本を買うまでのことはないかも知れません。
でも、お薦めなことは間違いありません。