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法テラスの業務実績 [検討]

今週10日(水)に、法テラス(日本司法支援センター)が平成24年業務実績を公表しました。

法テラスは、刑事に関する国選弁護関連業務のほかに、民事では民事法律扶助業務を行っています。

法テラスが行っている 民事法律扶助業務 では、

経済的に余裕がない人が法的トラブルにあった時に、

無料で法律相談を行い(「法律相談援助」)、

弁護士・司法書士の費用の立替えを行う(「代理援助」と「書類作成援助」)、

との3つの業務を行っています。

下図は、法律相談援助、代理援助、書類作成援助の、民事法律扶助業務の3つの業務の件数をグラフ化したものです。

無料の法律相談援助は、順調に件数を伸ばしていますが、

書類作成援助の件数は、ずっと低位安定です。

民事法律扶助業務.jpg

     

残った代理援助については、評価が難しそうです。

代理援助の件数だけを抜き出してグラフ化してみると下のとおりとなります。

代理援助業務.jpg

件数的なピークは平成22年度の 110,217件 でした。

平成23年度は 103,751件、平成24年度も 107,706件 で、件数が増えているとはいえません。

法律相談援助の件数が増えた分の一定割合が、代理援助の件数の増加に繋がっているわけではないことを、

このグラフから看取ることができます。

法テラスは、このほか、コールセンターと地方事務所で、問い合わせに対応するという形で情報提供をしています。

この法テラスの業務を 情報提供業務 と言いますが、

この情報提供業務の件数も、コールセンターと地方事務所の問い合わせ件数を合計してみると、

平成21年度の 64万9013件 がピークで、それ以降、件数が減少しています。

ちなみに、平成22年度は 60万4738件、23年度は 53万8297件、24年度は 53万7981件 です。 

「法テラスの認知が進んだため、問い合わせの件数が減んだ」という積極的な評価もできていわけではありません。

でも、その考え方はどうなんでしょう。

問い合わせ件数.jpg

札幌弁護士会では、無料の電話相談の拡大と、離婚の法律相談の無料化を開始しました( 札幌弁護士会のHP  「無料電話相談の時間拡大・離婚相談の無料化  ~市民の皆様にとってより利用しやすい法律相談を目指します~」参照)。

法律相談の一部無料化という札幌弁護士会の決断が、大成功をこ納めることを私個人としては願ってはいます。

ですが、民事法律扶助では、法律相談件数の増加は、代理援助件数の増加に結びついていなさそうでしたので、内心、大変不安に思っています。

札幌弁護士会は、その場合の出口戦略を当然、考えられていると思いますが、どのようなものなのでしょうか。