体外受精児の割合 [豆知識]
1978年に世界初の対外受精児を誕生させた エドワーズ博士 が先週10日に お亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りさせていただきます。
そのこととは直接関係ありませんが、たまたま、
産科医療には全く縁がないわけではありませんので、
日本産科婦人科前理事長の吉村泰典慶大教授著の
「産科が危ない -医療崩壊の現場から」
をパラパラ読んでいましたところ、
日本での対外受精の実数について 記述がありました。
内容は、
対外受精の関連技術によって生まれた子供は2010年の段階で総出生児数の 2.7 %を占めるに至った。
現在、1年間に生まれるこどもは約107万人であるから、年間2万8000人以上が体外受精でこの世に生を受けていることになる。
というものです(同書106頁)。
記事が本当だとすると、
「40人に1人が体外受精児」
となるわけです。にわかに信じられませんでした。
ですが、調べてみますと、平成23年(2010)年の「新鮮杯(卵)を用いた治療」、「冷凍杯(卵)を用いた治療」及び「顕微受精を用いた治療」によって出生した子どもは、下表のとおりでその総数は 28,945人だったということです。
他方、厚労省の人口動態統計によると、平成23年(2010)年の出生児は 107万1304人 でした。
と言うことは、確かに、対外受精時の割合は 2.7 % を超えていることになります。
吉村教授の論述されている内容は極めて正確だということが分かりました。
(日本産婦人科学会倫理委員会「平成23年度倫理委員会登録・調査小委員会報告(2010年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2012年7 月における登録施設名)」2119頁から引用)
(参考)
平成23年9月14日に厚労省で開催された「母子健康手帳に関する検討会」での配布資料「母子保健の現状」
の15頁に対外受精による出生児数の推移が整理されていますので、下に引用させていただきました。
抜けている 2009年(平成21年)は、体外受精出生児数が26,680人で、出生児数は 1,070,035 人 でしたので、
割合としては 2.49 % ということになります。
データがある直近 3年 だと、
1.99 % (2008年) → 2.49%(2009年) → 2.70%(2010年)
となっています。
次に、出生児を産んだお母さんの年齢構成ですが、はやり「母子保健の現状」5頁から引用させていただきました。
35~39歳のレンジが伸びているのが分かります。
体外受精児は増えこそすれども減ることはなさそうです。