巡回連絡 [感想]
オレオレ詐欺に気付いた69歳の女性が、騙されたふりをして男をおびき出し、その男を警察に逮捕してもらったということだそうです(4月12日のNHK NEWSWeb「だまされたふりで2度の逮捕に協力」 )。
この報道からは、オレオレ詐欺の被害にあった人が、「騙されてる(かも)」と分かっていれば、犯人逮捕までは至らなくとも、被害にあう人は激減するだろうなということが分かります。
昨年5月から7月までの間にオレオレ詐欺にあった被害者 200人について分析をした警視庁の分析結果によると、
オレオレ詐欺の被害者は、
● 8 割 以上 が女性 、
● 約 5 割 が70歳代 、
● 約 7 割 が夫婦2人又は一人暮らし 、
● 犯人がなりすました家族(息子等)は、被害者と離れて暮らしているも、その約9割は比較的近いところに居住している、
ということです。
また、犯人に なりすまされた息子については、
● 息子の年齢は30歳代、40歳代で、会社員が多い、
● 被害者の半数以上は、息子と 1ヶ月に最低1、2回、連絡を取り合っている、
● 約半数の被害者は、息子と振り込め詐欺など、詐欺の被害防止について話をしたことがある、
ということだそうです(警視庁「被害の実態(被害者アンケートの分析結果)」)。
ちょっと古いですが、消費者庁編の平成20年版国民生活白書 では、
振り込め詐欺対策として
・ ポスターやステッカーなどの広報啓発活動、
・ 通信履歴の保存について関係事業者の協力を得るなどによる捜査の効率化、「道具屋」や悪質なレンタル携帯電話事業者の取り締まりの徹底による犯行ツールの流通の遮断などにより、振り込め詐欺の検挙の徹底、
・ ATM周辺での顧客に対する注意喚起や声掛け、携帯電話を使用しながらATMを操作しない環境整備などのATM周辺における対策や匿名の口座と携帯電話の一掃、被害予防活動などの取組み
など を挙げています。
警察官が、潜在的な被害者である高齢者宅を、巡回連絡で訪問し、
「電話をしてきた者が、本当に息子であることを確認できないときは、とにかく 110番 しなさい」
などと触れ回った方が、よほど、振り込め詐欺の予防になりそうな気がします。
でも、平成20年版国民生活白書では、
ATM周辺における声掛けを一層推進する
とのいう対策は出てくるのですが、
巡回連絡
については何も触れられていません。
一番、手っとり早そうな対策他と思いますが、どうしてなのでしょう。
(補足)
なお、巡回連絡の解説本としては、立花書房の「クローズアップ実務 ヴィジュアル巡回連絡」という本が最新のもので、よさげな感じですが、【警察官専用図書】だということで、一般人は購入できないようです。