看板での税込価格の表示 [はてな?]
看板に価格を表示する際にも、消費税の総額表示義務は及ぶことになります。
消費税法63条の総額表示義務は、
不特定かつ多数の者に対して、あらかじめ価格を表示する場合を対象としているので、
不特定かつ多数の人が見る看板にも及ぶ
というわけです(財務省HPの「総額表示Q&A」の「≪総額表示の対象≫ Q1 見積書や請求書等は、総額表示義務の対象ではないのですか。」参照)。
居酒屋の看板に 270円(税込284円)とか、280円(税込294円)とか、税込価格が書かれているのはそういう理由によるわけです。
でも、居酒屋の看板の中には、「270円」とかだけ書いてあって、
税込価格が書いてないものがあったりします。
私が直接、現認したものとしては、
「金の蔵Jr 名古屋駅西店」の看板がそうです。
看板には、「金の蔵Jr」、「270円」、「居酒屋」とだけ書いてあり、
「税込284円」とはどこにも書いてありません。
ホットペッパーで、「金の蔵Jr 名古屋駅西店」をチェックしてみると、
店は 284円均一居酒屋 となっています。
どうして、看板に 「税込284円」 と書かなくても許されるの ? ? ?
よく分からないので、
「金の蔵Jr」をチェーン展開している 三光マーケティングフーズ のホームページを覗いて見ました。
トップページの店舗案内の「金の蔵 Jr.」の箇所をクリックすると、
下図が現れました。
「金の蔵Jr」の名前は、「居酒屋270」だけでなく、「居酒屋280」にも、「居酒屋299」にも顔を出しています。
そもそも、、「居酒屋270」、「居酒屋280」、「居酒屋299」とは何のことなのでしょう。
訳が分からないので、
「居酒屋270」、「居酒屋280」、「居酒屋299」の「金の蔵Jr」」のところを、手あたり次第にクリックしてみてみました。
出てくるのは、エリアと、そのエリア内の店名です。
いろいろ、いじくってみた結果、
「居酒屋270」とは、品代が270円(税込284円)の店、
「居酒屋280」とは、品代が280円(税込294円)の店、
「居酒屋299」とは、品代が299円(税込314円)の店、
のことを表しているんだろうということが うっすらと分かってきました。
そこで思い出しました。
そう言えば、
お店の名称(屋号)は、総額表示の対象とならない
ということでした(前記「総額表示Q&A」の「≪総額表示の対象≫ Q2 『100円ショップ』などの看板は総額表示の対象になりますか。」参照)。
「金の蔵Jr 名古屋駅西店」の看板には、
「金の蔵Jr」、「270円」、「居酒屋」と書いてあることを確認していましたが、
この3つの単語を並び替えれば、
(「円」の一字が余分ですが、)
「居酒屋270 金の蔵Jr.」
となります。
ちょっと苦しいんではないかと思いますが、
「金の蔵Jr」、「270円」、「居酒屋」との看板の文字について、
「店の名称が看板に書いてあるだけだ」
と強弁できないでもありません。
三光マーケティングフーズの第33期の有価証券報告書( 自 平成20年7月1日 至 平成21年6月30日 )の「第2 事業の概況」には、
「 店舗開発におきましては、・・・ 上期に商品価格を低く抑えたブランドとして・・・『金の蔵Jr.』を開発いたしました。
下期には、・・・ 『金の蔵Jr.』に『全品300円居酒屋金の蔵Jr.』を開発導入し、さらに、『全品299円居酒屋金の蔵Jr.』、・・・を開発し、・・・ 」
と書いてありますので、「金の蔵Jr.」の展開は平成20年以降のことのようです。
総額表示の義務付けは平成16年4月からのことです(財務省HPの「消費税における『総額表示方式』の概要」参照)。
「金の蔵Jr.」の店舗開発の際には、 看板に 270円(税込284円)と表示するかどうか
議論されているはずで、 その結果、
「 『金の蔵Jr』、『270円』、『居酒屋』で行こう 」
となったのではないかと想像します。
プレスリリースぐらいあってもよさそうなのですが、それがないため、残念ながら、想像するしかありません。