SSブログ

「ほけんの窓口」を よく見かけませんか [感想]

最近、「ほけんの窓口」の店舗をよく見かけないでしょうか。

一等地にあったサラ金の店舗が撤退後、借り手が決まらず空室のままか、と思ってたら、

気付いたら 「ほけんの窓口」が いつの間にか出店していたということが、私の身近で何件かありました。

今から10年ほど前の ラサ金の出店ラッシュを思い出します。

「よほど儲かっているんだろう 」と思って、今年の7月頃から「ほけんの窓口」には注目をしていました。

新聞横断記事検索で、「ほけんの窓口」の記事検索をし、調べてはみたのですが、「これは」という記事が見つかりません。

というか、記事自体があまり見つかりません。

  

ニッキン(金融専門紙ニッキン)が、何本か記事にしていますが、

例えば今年4月20日の記事ですと、

ほけんの総合グループは4月1日に、ライフプラザホールディングスから商号変更した。

00年3月に来店型保険ショップ1号店を開設して以来、ショップ展開は261ヵ店に拡大(4月21日現在)。

08年7月から銀行の別動体代理店などを通じた、アライアンス事業に注力する。

12年3月末時点で8行・同代理店3店と提携。派遣社員による窓口販売支援や「ほけんの窓口@銀行名」などの保険販売ノウハウを提供、集客力を向上する。

業容の拡大に伴い 5月7日には渋谷ヒカリエに移転する。

という内容の記事です。

「急成長中で、店舗展開に加え、銀行との提携に力を入れている」

というありきたりの内容で面白くも何ともありません。

保険を売る力があるので、儲かっていることぐらいは分かります。

知りたいのは、

「ほけんの窓口」が「保険を1件売ると、どの程度儲かるのか」

という下世話なことです。

ですが、そもそも、保険という商品を卸す、保険会社自体が、

保険を売るといくら儲かるのか、保険の原価と儲け

を全く公表していません。

  

生命保険については、

平成20年11月に、ネット生保のライフネット生保が、付加保険料の内容を公表しました(2008年11月21日のニュースリリース「徹底した情報公開を目指すライフネット生命保険、付加保険料率の全面開示へ」)。

その当時、ライフネット生命の公表は、業界のタブーに触れたということで、それなりに反響を呼びました(週間ダイヤモンド2008年12月8日の記事 「業界初!“保険の原価”を開示したライフネット生命に怨嗟の声 」参照)。

ですが、結局、それっきりでした。

ライフネット生保に続いて付加保険料の内容を開示する生保会社は一社もありませんでした。

  

ライフネット生保の副社長である岩瀬大輔氏は、「生命保険のカラクリ」(文春文庫)という著書の中で、主要国における生保市場における、新契約の利益率を下図のように整理をしています(同所48頁)。

世界の生保市場の収益率.jpg

日本の生保市場における新契約の利益率は約9%で、他の主要国と比較すると、ずば抜けて高いということのようです。

  

生命保険会社間に、

収益率 利益を削ることによ って競争をしていくよりも、

みんなで高い収益率 利益率を保って共存共栄をしていく方がお互いのためになる」

との暗黙の了解があってか、

ライフネット生保に続いて、付加保険料を公表する生保会社は一社もありませんでした。

  

卸しがそんな考えなので、 代理店手数料についても開示するという話はタブーということなのでしょう。

代理店手数料は、相当高いのだろうと推測できますが、

生保会社の儲け > 代理店手数料

という図式となるわけなので、生保会社の儲けを推測させることとなる代理店手数料には、指一本触れるわけにはいかないということなのでしょう。

 たから、生保の代理店手数料のデータが、ニッキンの記事にはまったく出てこないんだろうと思われます。。

 

  

以上、生命保険の代理店手数料についての話となりましたが、損害保険会社も付加保険料を開示していません。

その点では、生保会社と同様です。

損保会社の場合も、

損保会社の儲け > 代理店手数料

という関係にある点では一緒です。相当、付加保険料を取っているはずです。 

  

  

最後に、岩瀬大輔氏の「生命保険のカラクリ」についての書評です。

この岩瀬氏の「生命保険のカラクリ」は日本の生保業界の実態に切り込んでいる名著だと思います。

読まれていない方には読まれたらどうですかと強くお薦めできる本です。

あとはアマゾンの書評でも読んでみて下さい。

生命保険のカラクリ (文春新書)

生命保険のカラクリ (文春新書)

  • 作者: 岩瀬 大輔
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/10/17
  • メディア: 新書