特定電子メール法での迷惑メール規制 [検討]
メールについては、同意のない者へのメール送信が、
平成20年の特定電子メール法で規制されることとなりました(下図は総務省のHPからダウンロードした「特定電子メール法の概要」となります)。
ところで、業者が、潜在顧客に対し、勧誘のため一方的に FAX を送りつけてきたとして、
顧客が業者との取引を そもそも 希望していないのであれば、
勧誘方法が メールによるか、FAXによるかなど関係なく、
顧客からすれば、無理強いをされていることに 何ら変わりがありません。
業者が顧客からの希望がないのに勧誘をすることを、不招請勧誘(ふしょうせいかんゆう)と言いますが、
営業のためのメールの送信も、FAXの送信も、
この不招請勧誘が問題となっている一場合であると言えると思います。
現時点において、
(前記したとおり、)スパムメールの送信は特定電子メール法で規制されることになりますが、
迷惑FAXについては野放しです。
送信手段の違いで、一方は規制されるが、一方は規制されないというのは何か変ではありますが、実際です。
この不招請勧誘については、
内閣府で開催されていた 消費者契約法評価検討委員会 の第7回(平成19年6月26日)消費者契約法評価検討委員会配布資料をみて見ますと、
EU指令において不招請勧誘制度が導入されている電話勧誘、ファックスによる勧誘、Eメールによる勧誘の場面)については、わが国でも早急にこれに対応する制度を準備するに値するものと思われる。
との迷惑FAXを規制すべきではないかという意見も出されていたようです(配付資料「3.『不招請勧誘』の103~108頁あたり」参照)。
ですが、最終的な同委員会の報告書(「消費者契約法の評価及び論点の検討等について」)では、
消費生活相談件数のうち、訪問販売や電話勧誘販売に関する件数は、継続して一定の割合を占めているところであるが、
不招請勧誘に関するルールの在り方等については、事業者の営業活動の自由に対する過度の制約になってはならないという要請に配慮する一方で、
不招請勧誘は断れない消費者をターゲットとして勧誘する傾向があると考えられることをも踏まえつつ、
本法上の困惑類型(第4条第3項)の規定の在り方について検討するのと合わせて、引き続き検討すべきである。(同報告書29頁)
との、訳がわからない玉虫色の表現となってしまっています。
「第7回消費者契約法評価検討委員会議事録」(30頁以下)を読んでみても、
不招請勧誘の規制が事業者の営業活動の自由を不当に侵害することになる
などと述べている委員は1人も出てきません。
なのに、報告書の内容は玉虫となってしまっているわけです。
消費者契約法評価検討委員会に潜んでいた、
事業者の営業活動の自由を礼賛する委員
が、不招請勧誘を規制する動きをとどめてしまったということになります。
「すべての人にとって良いこと」は存在しないということなのでしょう。